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ヨハネの腕試し1

 ミンとは夕食後もずっとイチャイチャしてしまって、そのまま寝てしまった。することは夕食前の1度だけで、あとはずっとスキンシップでとどめている。この年になってミンとイチャイチャできるってことに、自分でも驚いている。ついさっきまで父娘というカテゴリーにいたのだが、一線を越えると恋人同士になるという不思議。ミン視点だと、ほぼ恋人という扱いだったようだから、あまり違和感はないみたい。父と娘という禁断の恋を越えるプレイ、なんてことはしない。将来は分からないけど。

 そんなこんなで、幸せな夜が過ぎ、朝食後、ギレイ様に呼ばれてヨハネの腕試しが始まった。まだ腹に入った朝食がろくに消化できていない(オレは。ヨハネも同じだろうけど)のに激しい運動していいのか?と思うが、こっちの都合は考えてもらえず、中庭に行くと、ヨハネの対戦相手とおぼしき方々がすでに準備運動よろしく、模擬戦?をやっておられた。確かに食堂まで、声が聞こえていたもんなぁ。ちなみにミンはまだ少しがに股のままオレの横に立っている。


「マモル、朝早くから済まないな」

 とギレイ様が言われるけど、済まないと思うならもう少し遅くしてもらいたいと思うけど、きっと済まないというのは社交辞令だけなんだろう。

「今日は希望者が4人いたので、4人と戦ってもらう。4人に勝てばヨハネを同行させる。ちなみに大公様も興味を持たれたので、見ておられる」

 とギレイ様が顎をしゃくるように合図をされた方向を見ると、大公様が手を上げて笑顔を見せておられる。

「大公様の都合で、この時間になったのだ。と言ってもたっぷり時間は取ってあるので、思う存分やってくれて構わない」

 たっぷり時間があるというのは、4人だけじゃなく他にも希望者が出てくれば、その数だけ模擬戦をやるということになるのだろうか?もしヨハネが負けると、ヨハネを除いた従者の中で模擬戦やって勝ち抜いた者が同行してもらえると言うことなんだろうか?

 それにしても観戦者は見事に男ばかり。いや、ミンが1人だけ女で他はみんな男という男密度の高い状況だ。大公様の侍女たちでも見に来れば、花があるんだろうけど、見事に男ばかりで男臭さにめまいがする、ことはないが。ヨハネがもっといい男なら侍女たちも来たんだろうけど、ヨハネの外観は普通のおっさんだからウケるはずがない。ウケの悪いオレが言っても仕方ないが。


「さあ始めようか。まずは、ロッジからだ。ヨハネも適当に武器を選んでくれ」

 ギレイ様から紹介された人はもちろん顔見知りで、ギレイ様の側近の1人だ。側近に選ばれているくらいだから、文武両道ということなんだろう。おまけに1番手に出てきたと言うことは、やっぱかなりの腕前ってことだろうし。オレやヨハネのような、どこの馬の骨とも分からないヤツに大公様やギレイ様の身を預けるなんてことは、容認しがたいことだろう。ここは一つヨハネを気持ち良く打ち据えて、お供の役をゲットしようと思っていることが顔に出ている。


 それでロッジさん、木剣だけど90㎝はあろうという大型剣を持っている。ということは普段使いもその長さの金属剣ということだろうか?口に出せないけど、式場に剣は持ち込めないだろうし、そんなデカい剣で雌雄を決するというのはどうなのだろうか?まぁ、オレがポケットに入れて持ち込めば武器の持ち込みが認められなくても、携帯しているのと同じなんだし、他にも魔力袋を使える人がいれば、武器不携帯なんて絵に描いた餅ですわな。もちろん、主催者も承知の上のことなんだろうけど。


 余談はさておき、ヨハネの手に取った剣は刃長が30㎝ほどの剣と言っていいのか、ナイフと言って良いのか、オレ的には包丁のようなモノである。腕試しは別に非公開にはなっていないので、大勢ギャラリーがいる。当然、ヨハネの武器に対して容赦ない口撃が浴びせられている。ロッジさんだって「バカにしてんのか?」くらいのことは思ってるようで、顔を赤くしている。手がプルプル震えている。まさか、ヨハネは相手が頭に血が昇るように考えて武器を選んだんじゃないよね?よくある、対戦相手の気持ちを普通じゃなくして普段の技倆を発揮できなくするとか考えているとか?オレは正直言って、ヨハネの腕前って良く知らない。そりゃ、一緒に戦うことはあるけど、こういう場の戦いをどうするのか、初めて見る。そもそも模擬戦というモノを見ることもなかったし。


「では準備は良いか?」

 とギレイ様が言うが、ルール説明とかなくていいの?寸止めするとか、顔や頭に当てないとか、決めとかないの?防具も何も付けてないんだよ?

「ハイ!」「了解しました!」

 2人とも良い返事をするが、どこまでしたら決着つくのか分かっているということなんだろう、オレは知らんけど。

「礼!始め!!」

 ギレイ様がかけ声を掛け、始まった。ロッジさんが剣を頭の上に引き上げた時、決着がついていた。

 文字通り、目にも止まらぬ早さで(オレには何も見えなかったが)ヨハネがロッジさんの後ろに回って首筋に木剣を当てていた。これは良くある縮地か?それとも神脚か?それともワープか?とにかく、ヨハネ以外はみんな驚いていた。

「なんだ?」

「何が起きた?」

「どうした?」

 誰も見えなかったようだ。オレでさえ見えなかったから、他に見える人が、そうそういたとは思えない。オレだって、事前にこうやると聞かされていたら、見えた可能性もあると思うが、初見だと無理だった。

 それはギレイ様も同じだったようで、何も言葉が出て来ないで黙ったきりだ。ヨハネはあんまりロッジさんの首に剣を当てているのも失礼と思ったのか、剣を外し1歩下がって立っている。


「ギレイ様?」

 ちょっと場の空気が凍ったのでオレが声を掛けると、ギレイ様のフリーズが解除されて、

「あぁ、ヨハネの勝ちだな。それで良いか、ロッジ?」

 とやっと言われた。勝ち名乗りを上げられたけど、ヨハネはニコリともしない。当たり前って顔をしている。

 片やロッジさんは、未だにフリーズが融けていないようで、首をさすっている。ただ、よくある「こんなことは納得できん!もう1度だ!」なんてことは言わず、ちょこんと首を下げ、退場して行かれた。そのロッジさんを迎えた人たちがロッジさんにいろいろ聞いているが、ロッジさんは首を振るばかりだ。


「次、いいか?ゲイル、来い」

 ギレイ様が声を掛けると人混みの中から、ガタイのいい兄さんが出てきた。顔は知ってたけど名前は初めて知った。いや、聞いていたかも知れないけど、忘れていただけかも知れない。

 とにかく、いつも朝の食事前に、長くて(1m越えか?)厚い剣を軽々と振っている人である。木剣でもあれと同じので叩かれると骨が折れただけで済まないような気がする。でもノベルの通常の流れではヨハネが勝ち進むんだよなぁ?

 

 



 

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