表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
403/755

サラさん、視える

 さあ、めくるめく時間の始まりだよ!!

「待って、待ってください!!」

 サラさんがオレの胸に手を当て、距離を取ろうとする。

「なに?どうして?」

「だって、外に人がいます」

「大丈夫、いないから。いても気がつかないから」

 実はいます。オレは気がついてます。でも性欲に負けて、そんなの無視してます。

「ダメです。ダメですって!外に人がいますから!」

「どうして分かるの?」

「ハイ、なんとなく分かるようになってきたんです!」

 は?なんと!分かる!と。


「大聖堂の浄化始めて、視ることを意識するようになってから、なんとなくいろんなモノが視えるようになってきたような気がするのです。だから今も意識しているためなのか、外に人がいるのがなんとなく分かってます。いつもじゃないけど、意識すると分かるようになったというのか、マモル様には及びませんが、分かるようになってきたと思います」

「それは、どのくらい離れていても分かるの?」

「まだ全然。今、ドアの外に人がいるかしら?くらいの感じです。でも、前はそんなことまったくなかったのですよ」

 もしかするとオレのレーダーと同じようなものだろうか?


「サラさん、他に何か違ったことはないの?」

「えーーと、マモル様を視て、マヤさんを視て、何か雰囲気が違うことが分かるようになりました」

「雰囲気?」

「そうです。まだ、自分でもよく分からないのですが。人間って一人一人顔が違うように、その人の持つ雰囲気というのか纏っているものが違うというのか、それが分かるようになった気がします」

「うーん、説明されていることがよく分からない」

「うふっ、私もよく分からないので上手く説明できていないですね。申し訳ありません」

「でも、オレもそれって興味あるから、また教えてね」

「はい、分かりました。これは日々、進化しているというのか開拓しているというのか、視えるものが違って来ているので、もう少し上手く説明できるようになったら、お話します。あら、外にいた人がいなくなりましたね?」

「そうだね、じゃあ始めようか?」

 誘ったのにサラさんはキッとした顔になって睨んできた。

「ちょっとダメです。今日はもう寝ましょうよ?」

「でもさぁ、神官長に呼ばれて目が冴えてしまったよ」

「それはそうなんですけど......」

「なら、することして、少し体力消耗して寝ましょうよ」

「男の人は出しっぱなしで良いんですけど、女の方は後始末が大変ですから......はぁ」

「でも、気持ちの良さは男より女の人の方が何倍も大きいから」

「男の人がどのくらい良いのか私は知りませんから」

 確かにそれはそうですね。男は女の人の喜ぶさまを見てるけど、女の人は男の喜ぶのは分かりにくいもんね。

「ですから、今日はもう眠りましょう」

 仕方ないなぁ、サラさんのノリが悪いのでガマンして寝よう。

 そう思いながら目を閉じるとなぜか、簡単に眠りについてしまった。


 目が覚めたのは夕方、もう日が暮れかかっていた。マヤさんのイベントがあったせいか、自覚している以上に疲れていたのかも知れない。サラさんはベッドから出て化粧を済ましていた。サラさんがベッドから出るのさえ、気が付かなかったというのは初めてだろうか?普段は、サラさんが起きるのに気が付いて、もう一度起こされるまで寝るのがルーティンなんだけど。


「マモル様、起きられましたか?おはようございます」

「うん、おはようございます。何かあったかな?」

「そうなんですよ。たぶん、部屋の外にゾイさんが待ってます」

「ゾイさんが?(とレーダー働かせてみると)ホントだ、いるみたい。なんでだろ?」

「本人に聞いてみないと分かりませんが、ポツン村の神官派遣のことではないでしょうか?」

「ええーーー!?もしかしてマヤさんの代わりにゾイさんが来たい、っていうのかな?」

「そうかも知れません。もしくは、マヤさんと一緒にゾイさんも来ると言うとか?」

「ゾイさんなら来なくていいけどな。だって神官の仕事がちゃんとできそうにないよね?」

「私もそう思います。失敗しても笑ってごまかしそうですし、計画をキチンキチンとこなしていくこともできそうな気がしません。マヤさんの足を引っ張るだけのような気がします」

「そうだよね、オレもそう思う(けど、あの胸はなぁ、なかなか得がたい)」

「でしょう。ではここで、ピシッと断りましょうか?中に入れますね」


 サラさんがドアを開け、外に顔を出すとゾイさんがいて、一言二言話をし、ゾイさんを中に入れた。

 ゾイさんが入ってきたのはいいけど、来ている服が問題だ。下は膝まで隠れるスカートだけど、上がスゴい。いや、ゾイさんが着るからすごいんで、サラさんが着るとスカスカの隙間だらけの服で、それはそれでスゴいんだけど。


 まず胸がパンパンで服からはみ出そうになっている。この服って、サイズの小さい夏服とかじゃないの?明らかに胸のサイズに服が合ってなくて、ボタンが文字通りはち切れて飛びそうになっている。ボタンとボタンの間が開いて、微妙に肌色が見えているというか......。おまけにノースリーブで胸元も脇も中が見えそうで見えないという絶妙の視覚効果が生まれている。もちろん、それは男限定のものであるから、サラさんは露出の多さに顔をしかめている。


 ゾラさんの胸の谷間がスゴい。頭を下げたとき谷間がよく見え、もう少しで頂きが見えそうになった。谷間の中に手を入れたいという男の煩悩がうずく。意図してか、身体をひねってサラさんを見たときの脇の絵がスゴい。脇からも手を入れたくなるって。そしてその奥に有る物を揉みたくなるって。それって仕方ないことでしょう?サラさんの冷え切った視線さえなければ、手が動いていたかもしれない。

 サラさんの背中から、ゴゴゴゴッと言うような音が聞こえ、冷気が部屋中に広がって来ている気がする。ゾイさん、この冷気を感じてください。空気を読んでください。何も言わず帰ってください。あなたの存在そのものがトラブルの種なんです。お願い、忖度して、よろしくお願いいたします。


 オレとサラさんが並んでベッドに座り、向かい合って椅子にゾイさんが座っている。

ゾイさんはサラさんの威嚇を物ともせず、というか、まったく無視してオレを直視してくる。ちょっと胸元を指で広げながら。日本でこういうのに乗ってしまうと後でセクハラという災いに巻き込まれるヤツだ。


「タチバナ様、よろしいでしょうか?ご相談があって参りました」

 グイっと近寄って来たんですけど。もう膝が付きそうです。あなた、サラさんがオレの妻って知っているでしょう?それならどうして色仕掛けで臨んでくるのですか?ゼッタイに失敗するパターンだと思いませんか?


「ゾイさん、どういう用件でしょうか?」

 オレが口を開く前にサラさんが敵意丸出しで質問した。そして側に来てオレの腕を抱え込む。ゾイさんに比べて遙かに低い胸の谷間?いや、丘の間に腕を挟んでくれる。


 ゾイさんはサラさんをチラリとも見ることなくオレに向かって、

「タチバナ様、私はタチバナ様の妻になりますから、何番目でも構いませんので、ポツン村に連れて行ってくださいとお願いしましたよね?」

 頭をかしげてあざといポーズを作って訊いてくる。コワイ。


「は?そんなことは聞いておりませんが?」

 オレが何か言う前に、サラさんが断言する。オレは妻にするとは言われてないし、連れて行くとも言ってないよ?勝手に話を作らないで!?サラさん的にはオレが失言して言質取られる前に、はね除けてしまおうと思っているようだ。


「私はタチバナ様に伺ったので、サラ様に聞いたのではありません!!」

 ゾイさんは目を吊り上げて言い放つ。

「私はマモル様の妻であり、マモル様の気持ちを代弁しております」

 負けずにサラさんが言い返す。

「タチバナ様は何もおっしゃっておられませんよ?いくら妻とおっしゃいましても、タチバナ様の気持ちが大切でしょう?横から口を出さないでください!」


 なんちゅうか、火花が視える気がする。目に魔力を集めなくても視えるやつ。ゾイさんとオレって、一緒に浄化した関係だけなのに、何を自信持って発言してくるか不明なんですけど。

「タチバナ様、どうでしょう?私をポツン村に連れていっていただけませんか?私のような若い女が妻に加われば、甘い甘い生活が始まりますよ?生活に張り合いできますから」

 と胸をポヨンポヨンと下から持ち上げてみせる。あ、ゾイさん生乳じゃないですか?てっぺんが布越に見えてますよ。ポツンと一軒家が見えてます。揺らすと、揺らすとですねぇ、現物が見えそうで見えない状況じゃないですか?三直三現、いや何を言っているんだオレは?ダメだ、ちょっと混乱している。こんな直接的なアピールって初体験なんだもの。


「お、お、お、オレ、オレは......」

「ダメです!ゼッタイにダメです!!今は3人の妻で仲良く暮らしているんだから、ダメです!!!!」

 サラさんが絶叫した。館中に響いたんじゃないかってくらいの大声で。オレの腕をぎゅうぅぅぅぅと抱え込んだのは良いけど、手がサラさんのお姫さまに強く当たる格好になってしまった。サラさんが興奮しているせいか、スゴく熱くなっている。布越しでも分かるくらい、湿って熱くなっている。その熱さを感じてオレの頭が冷えた。


「ゾイさん、あなたは連れて行きません。もしポツン村に来たいなら拒みはしませんが、何か手に職を付けて来てください。ポツン村の神官の職は埋まりましたから、それ以外の技能です。オレの妻っていうのはゼッタイにありませんから!宜しいですね?」

 とオレはピシャリと言った(つもり)。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ