村づくりが始まる
田植えが終わってから、5月、6月と週末は田んぼに出ることが多くなりました。雨が降ると休みですが、それ以外は今は除草剤をまいています。畦、農道、休耕田など除草剤をまかず、草刈りをする田もあります。大規模でやっている所は、機械が主体ですが、うちは7反歩ほどなので、田んぼの中をひたすら歩き、除草剤をまいています。もうしばらくすると殺虫剤をまき、草刈りをして除草剤をまき、という繰り返しで秋の収穫につながります。
雑草ほど稲は育たないなぁ、といつも思いつつ、炎天下週末の農作業にいそしんでいます。
ポツン村に出発の朝、みんなはブカヒンの門の外に揃って、やる気満々、晴れやかな顔で揃っていた。ブカヒンの町の中で、何も心配しなくていいが、窮屈な生活から大空の下で多少は身の危険があるけれど、自由な生活が待っている。どんなに貧しかろうと、ルーシ王国で最貧の暮らしよりはマシであろうから。
半日掛けて着いたポツン村は、ブカヒンに近いにもかかわらず、元の住民の家が10軒足らずと新築の家が20軒あまり建築中であった。
馬車が着くと、村の住民がゾロゾロと集まってきて、珍しい者を見るように眺めている。家の建築現場からも人がやって来て、親方らしい男が声を掛けてきた。この馬車の責任者は誰だ?と聞いてきたので、マモルが出て行く。
「やっと着いたかい、待ってたぜ。あんたたちがタチバナ村の人たちだろう?家はまだ建築中だが、あと10日もあれば終わるはずだ。あんたたちも手伝ってくれれば、もっと早く終わるぜ、よろしく頼むな」
「そうか、私がマモル・タチバナだ。よろしく頼む」
名前を聞いて、ピンと来るものがあったのか、姿勢を正して、おまけに口調まで改まって、
「おーこれは、貴族様ですかい。オレはアーダムと言います。よろしくお願いいたします」
「あぁ、別にかしこまらなくてもいいんだ。それで、あなたたちは、どこまでやってくれることになっているんだ?」
「えーと、オレたちは家を建てて、村の周りに柵を作って、あと香辛料の畑を作って来いと言われてます」
「そうなのか、済まないね。それで、いつからここに来てるんだ。昨日、一昨日じゃないだろう?」
「それは5日前からです。オレたちが集められて、すぐに出発して、ここに来たら資材も届いていて、急な話だったですけど、準備はしてあったぽいですよ?」
はー、もしかしてということで準備されていて、クルコフ子爵様が帰ってこられる前に、計画にGOがかかったてたのか。オレが呼ばれたときには、計画が実施進行してたからオレにNOという余地はなかったってことね。そこまで考えてもらっていたことに逆に感謝すべきだろう。少しでも連れてきた人を食わせて、夜露をしのげるようにしないといけないのだから。ここまでやってもらったことに感謝しないといけない。そんで、オレに期待されていることはタチバナ村で上げていた税収を早く生み出すことなんだろう。とは言っても、見渡す限りの草原だから、耕すことから始めないといけない。
タチバナ村のときはロマノウ商会の支援があったけど、今回はロマノウ商会に加えてリファール商会も支援してくれているので、当面の金銭面は心配していない。とにかく人を送ってもらうことが必要とされている。オレはタチバナ村のときと同じで、鍬とスコップに魔力を込めとにかく掘って行きます。
ネストルが死んだことで、村の行政上のトップがいなくなってしまった。となると、バゥやミコラが年配だし担ってくれれば良いのだが、そっちの方は期待できず、残った選択肢はサラさんとオレは考えた。男尊女卑きわまりないこの世界で、女性を村のトップに据えるというのは、男どもから反対の声が上がる、と思ってた。が、誰も何も言って来なかった。ま、もし文句言ってきたら、サラさんの代わりにオマエがやれよ、と言うつもりだったし、広言していたので、バリバリ仕事をこなすサラさんを見ていると「オレには無理だわ」と思うと思う。タチバナ村の時もそうだったけど、一から村を立ち上げるのってどれだけ手があっても足りない。寝る間も惜しんで、という言葉がぴったりのブラックな環境でサラさんは働いている。オレのすることって、サラさんの疲れがとれるよう『Cure』を掛けるくらいだし。ただし、あまり効いているようには見えない。
オレがもっと事務処理の力になれれば良いのだけど、この世界の文字を見ているとすぐに頭が痛くなってくるんだよなぁ。オレグやリーナさんが少しは力になっている、と思う、思いたい。でも、サラさん完璧主義者だからオレグの作った書類見て、もう一度自分で作ったりしているんだよなぁ、トホホ。
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