アンとオレの夜
食事が終わって、アンが食器を片付けに行ったとき、婆さまがオレに話しかけた。
「なあ、マモルよ。マモルはアンのことをどう思う?」
「どうって、別にどうも思わないぞ」
「いやさ、マモルが良ければアンと一緒に暮らしてやってくれないか?」
「オレがか?」
「そうだ、マモルが、だ」
「んんんん、そうだなぁ、嫌いというわけじゃないから、ダメじゃないけどな」
「マモルのいた世界がどうだったか知らないが、ここでは男は14,15くらいで、女は12,13で一緒に暮らし始めるんだよ。前にも言ったが、アンは15のときに前のダンナと暮らし始めた。けれど、2年で死に別れてしまった。そのあと、他の男と一緒になっても良かったが、たまたま縁がなかったか、アンの気に入った男がいなかったか、1人でいて、そのうちワシらと暮らしとった。このままじゃ、かわいそうかの、と思っておったらマモルが来たんじゃ。
マモルが来てから、この村にも良いことが続いているが、アンもマモルの世話をうれしそうにしておる。アンがイヤじゃったらエエが、もし好いとったら抱いてもええんじゃ」
アンが嬉しそうにしている、あれが?あれで?
「一緒に暮らすということは抱いてもいい、ということか」
「この村ではそういうことじゃが、それはマモルがいた世界でも同じじゃないのか?」
「まぁ、確かにそうだな」
「なら、ええじゃろ」
この村にいるなら、こういう話もでてくると思ってたけど、やっぱり出てくるよな。まぁ、アンならいいか、と思うがあんな小さいのでいいのか?とも思う。ただ身長が140cmほどしかなく、胸もないし尻もない、いたってスレンダーな体型でいわゆるロリなんだけど。そうは言っても、アンは一度結婚してるから、やってることはやってるし、そっちの心配はしなくていいんだろうが。
「夕べ、もしかしたら、マモルがすぐにアンを抱くかも知れんと思っていたが、そうはならなかったとアンから聞いたんじゃ。ならなくてもいいが、マモルが早くここ馴染むなら、誰かと一緒になった方がエエじゃろ」
そう言われればそうだよな。ちょっと意味が違うけど外国語をマスターするのは、その国の恋人を作るのが一番早い、というのと同じなんだろうな。
日本にいたときの会社の上司が、中国に行くことが多くなって『やっぱり中国語をマスターしないといけない』という話が出てしばらくしたら、その上司がみるみるうちに中国語が上手くなって、部下はみんな驚いたんだよな。『仕事できる人は違うな』とか尊敬のまなざしで見て。中国人と話をしていてもリスニングもトーキングも、ほぼできていて、みんななんでだろ?って疑問に思って。
しばらくしたら、上司が離婚したという噂が流れて来て、理由は中国人の若い女の子と関係を持って、語学を教えてもらう代わりに金銭的援助をするという、ギブアンドテイクという羨ましい関係が続いてたけど、ある日中国人の彼女が上司のスマホに電話してきたのを、横で聞いていた奥さんが疑問に思って調査したらバレてしまったって。
女子社員は全員大ブーイングだったけど、若手男子社員は『あの人すげえな!!仕事もあっちも、できる人はできるんだ』と感心してたけど。
とにかく、現地の恋人から言葉を教えてもらうのが一番、というのがよくわかった事例だったな(実話です......)。
「まぁ、いいけど、婆さまよ。オレは『降り人』だから、ここにずっといるとは限らないんだろ?何かがあって、違う所に行くかも知れないが、それでもいいのか?」
「そんなことはエエよ。死んだりすることもあるし、そのときはその時じゃ。アンもそれは分かっとるよ。種を残してくれるだけでもイイんじゃ。血が濃くならないようにの」
なんとも率直なことを言われる。
「それなら、いいか、分かったよ」
「それなら頼んだぞ」
ジンが話に加わってきた。
「マモル。オレからも頼む。オレも1人だがアンが1人でいることが気になっていた。マモルと一緒に暮らすなら、少し安心だ。じゃあ、今晩も、これからもずっとマモルの小屋にアンを泊まらせるからな」
「こういうのって、何か式のようなものはあるのか?」
「なんだ、式ってのは?」
「オレのいた世界では結婚式と言って、一緒に暮らし始める2人が神さまの前でずっと一緒に生活することを誓うんだ」
「よく分からんが、それは貴族様がするものかの。ここではそんなことはしないぞ。暮らしたいと思った2人が、一応村の長老に言えばいい。それだけで済むことだ」
「そうなのか、祝ったりしないのか?」
「確かにめでたいことだのう。しかし、何か祝ったりすることはないよ。一緒に暮らし始めても、明日にはダンナが死んでしまうかもしれんからな。祝ってすぐ死んじまったら、それは何をしているのか分からんことになるじゃろ?それなら、何もしないのがエエよ」
「それもそうだな」
アンが戻ってこないので、オレは小屋に戻って考えていた。
誰かと一緒に暮らすというのは、前の世界で家族と暮らした時以来だ。大学時代、恋人と同棲しようか?という話があったときもあったが、どっちの部屋に住む?とか、色々面倒なこともあって、止めた。この世界に来て、倫理観が違うとは言え、4日目でこうなるとは。
アンを抱くのか。それは結構、問題なんだよな、臭いが。離れている分にはいいけど、近いと体臭が気になる。ついでに口臭もだ。キスしたとき、口臭がひどいと萎えてしまうかも知れない、いくら25才のオレでも。『Clean』をアンにかけて、臭気を消すことができるか?これをやってみるしかない、アンに知られないように。もし、できなかったら文字通り、一つ小屋に暮らすが身体の関係はないということになる。そう思うと練習しておこう。
『Clean』
お?できるよ。呪文が効いているのが分かった。やっぱり性欲というバネがあるとできるようになるのか?性欲は偉大です笑。
アンが小屋にやってきた。少し緊張しているかな?
「水浴びて、身体洗ってきた」
そうなのか、だから来るのに時間かかったのか。もしかして、昨日もそうだったかな?ちょっと申し訳ない。
でもなんか、うれしいね。小さい灯りを囲炉裏に置いて、アンは立ってる。心なしか、いつもよりも表情は堅いように見えるけど、かわいい気がする、やはり中学生くらいにしか見えないけど。
アンはずっと立っているので、オレのベッドの横を空けて、ポンポンと叩いて座るように示す。アンは無表情のまま、オレの横に座る。あ、これはダメだ、臭い。自分の臭いがなくなったせいか、アンの臭いが臭い。身体を洗ってきたから、まだ体臭はしないけど、服が臭いし、口臭も臭い。やっぱりここは『Clean』を使うしかないよな。アンに知られてしまうけど、ここは仕方ないだろう。
「アン、ちょっと口を開けてくれ」
「?????」
「口を開けて、オレの指をくわえてくれ」
「何をするの?」
すっごい怪訝な顔をしている。薄灯りでも、なんじゃそれ?という顔をしているのが分かるよ。
「オレの世界の、男と女が一緒に住み始めるときのやり方なんだ」
適当に理屈を付けて、とにかく丸め込もう。
「そうなの?分かった(もしかして変態?)」
アンは小さな口を開け、オレの人差し指を咥える。
「アン、ちょっと目を閉じていてくれ」
アンは言われた通り、目を閉じた。
『Clean』
お、できたぞ、うまくいった、うまくいったと思う。
「アン目を開けていいぞ。指を咥えるているのも止めていいから」
アンは言われたとおり、目を開け、口を空けて指を出した。顔には????の文字が出ているように見えるが、オレにかかる息は全然臭くない、成功だ!
アンを抱き寄せる。アンは座っていても小さくて、オレの胸の少し上くらいしかない。アンを抱きしめながら背中に指を当て
『Clean』
と唱える。せっかく身体を洗ってきてくれたけど、やっぱりどこか臭いところがあったら残念だから、ゴメン、アン。
呪文のおかげもあって、アンから臭いがしなくなった。臭いというより女の匂いがするような気がする。おあつらえ向きに灯りがだんだんと小さくなってきた。
アンの頬を手で挟み、オレに引き寄せる。アンは目を見張って
「待って。明るい、火を消す」
と言った。そうなの?ちょうどいい明るさなんだけど、アンには明るいのか?この世界では真っ暗の中でするのが常識なのかしら?あ、もしかしたら、ご近所の方たちの観戦者、聴取者の方たちがいらっしゃっているのかしら?声が漏れるのは仕方ないけど、見えるのはどうも良くないと言うことかしら?あぁ、Silentが欲しい、見えなくするのは何だろう?バリア?遮断とか言うのか?誰か教えて!
ギュッと抱きしめると、おずおずとオレの背中に手を回してくるアン。身体を離して頰を手で挟みキスをしようとすると、
「え?」
と言われた。
「どうして?ダメなのか?」
「したことない。臭いから」
なるほど、そりゃあ、今までそうだったろうな。と言うことはアンのファーストキスってオレ?だからどうした?という声が聞こえてきたような気がするけど、
「黙ってオレの言いなりになってくれ」
「......」
沈黙はイエスってことなんだろう。そのまま口づけをすると、強ばっていたアンが緩まる。
「臭くない」
「だろ」
も一度キスをして舌を入れると、アンが驚いて目をまん丸に開けるけど、お構いなしにアンの舌を捜して絡ませる。
「うううううぅぅぅぅ」
何か言おうとしているけど、知ったこっちゃない。アンの口の中をなめ回し、アンの舌を絡めてなめ回す。久しぶり過ぎて抑えが効かないよぉぉぉぉ!?
キスしたまま手をアンの胸に持って行くと、そこはほぼ平面のちょっと緩やかな丘があった。見た通りである。でもちゃんとポツンとした頂きがあって、存在を主張している。わずかでも触り応え、揉み応えがあるのって嬉しい。頂きをゆっくりそっと丁寧に刺激していると、
「......あ、あ、ぁぁぁ」
キスしている口の中から声が漏れてきた。これ、これだよ。こうなってくると、もう一つの丘の頂きを口に咥えたくなってしまう。どうしよう、久しぶりすぎて、嬉しくて、楽しくてならない。
頂を咥えると、手は自然と下の方に伸びていくわけで、上の口から甘い声が出るようになったから下の方のお口はどうかな?と手を当てると、湿ってきていた。
良かったぁぁぁぁぁ-----!!!!と思いつつ、お口に刺激を微妙に与えていると、よだれがこぼれてきて、指に当たるモノが出て来た。おぉ、これは「私を可愛がってくださいねエヘヘ」と言っているに違いない。まずは指でほぐしてやらないといけません!?
「なにをしてるの?ダメ?なに?」
とアンは言うけど、そんなの聞く耳は持っておりません。
そうやって夜は深まっていく。




