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信忠様の葬儀、そして

 葬儀までは何事もなく、静かに進んだ。武道館ほどの広さの広間で、はるか彼方で何か行われているのを見ているという、マイクがないと(マイクじゃないPAだわ)何も分からない。

 セレモニーとして粛々と行われているようだった。周りは結構ザワザワとしていて、途中から領主としての就任式が行われていると周りが教えてくれた。その後、公爵の叙爵が王の代理から行われたようだった。やっぱり、どこにも博識の人はいて、いろいろと解説してくれるので、豆粒にしか見えない人たちが何をしているのか、よく分かった。

 焼香というものがなく(当然だが)信忠様の棺の所に行って、何か声を掛けるなんてことはまったくできない。たぶん、前列の方の偉い人たちが、儀式を行って終わるそうで。


 座っているだけの儀式が終わり、宿舎に戻った。もちろん、安全に。ま、何かあるとしたら夜なんだろうな。夜にでかけなければ、何も危ないことはないのだろうと思うし、ギレイ様がオーガに帰るまで、ずっと宿舎にいれば安全だろうと思う。

 そんなとき、ロマノウ商会から支店に来てくれと招待がある。会頭が来ているので会いたいという。明らかに、罠のように思える。しかし、昼に行くのなら、人混みの中だし、それほど危なくはないだろうと、これまで平穏にきていたので少し油断しながら承諾を伝えた。向こうの罠に乗ってやれ、という甘い気持ちがあったことも否定できないけど、反省。このときのことを考えると1人で行って良かったと思う。従者を連れて行かないのは貴族にあるまじき行為なのだが、未だ馴染んでいなくて1人の方が気楽なもんで。


 約束の時間に間に合うよう昼過ぎ、宿舎を出てロマノウ商会ギーブ支店に向かう。領都は葬儀と就任式の出席者が滞在していることもあり、ごった返している。確か、あの交差点をまっすぐ行ったところに見えるあの館だよな。交差点を右に曲がればリファール商会だったよな。

 何か変な感じがずっとしていたが、今やっと気が付いた。みんな同じ方向に向かって歩いていて、反対方向から来る人がほとんどいない。みんな、オレに歩調を合わせて、一団となって進行している。年寄りだったり、親子連れだったり、カップルだったり、1人の男や娘が、オレのスピードに合わせて、一緒の方向に歩いている。

 突然、ナゼかオレの前に人が1人、通れる道ができた。その向こうから、若い男が走ってくる。

「どいた、どいた、危ないぞぉ!」

 叫びながら走って来ている。手に持っている鞄に片手を入れている。誰が見ても不自然だろう?何が危ないと言うんだ、オマエ自身が危ないというのか?

 ヤツはオレを目がけてきているのは一目瞭然だ。オレは剣を4次元ポケットに入れているから、一見手ぶらで何も持っていない。無防備にしか見えないだろう。道の両側の人は、走って来ているヤツの仲間なんだろう、ニヤニヤ笑っている人もいるし。


 ヤツはオレの手前5mほどまで来たら、鞄から30㎝ほどの剣を出し、鞄を投げ捨て歩き出した。ニヤニヤ笑いながら、歩いてきやがる。周りはびっしりと人垣ができ、オレが下がろうとしたら、後ろから腕を掴まれ、動くこともできなくなった。仕方ない、何もせず、このままヤツに刺されて死ぬわけにはいかないんだ。

『Die』

 後ろの、オレの腕と肩を掴んだヤツらに魔力が流れ2人が崩れ落ちる。何が起きたんだ?って顔を横のヤツがしている。正面の剣を持ったヤツが突っ込んでくる。

「ヤァァァァ!!」

 と突き出してくるので、しゃがんで剣を躱し、そいつの腹に手を当てる。

『Die』

 そいつは、そのまま倒れ込む。

 このままじゃ、こいつの他に襲ってくるのがいるかも知れない。鞄に手を突っ込んでいる男が見える。

 さっさとこの場を離脱した方がいいだろう。4次元ポケットからシュールストレミングの瓶を出し、倒れているヤツの手に持たせ、蓋を取る!

 とんでもない悪臭がたちまち広がり、周り10mくらいの人間が咳き込み倒れ込む。そんな中、呼吸を止め、オレは通りを走り右に曲がろうとしたとき、バリケードのように人が柵のように腕を組んで、ロマノウ商会に行く道だけ人を集めて包囲して、罠を準備していたのか。リファール商会に行けないようにバリケードを作っているんだ。リファール商会に曲がろうとしたら、通さないつもりだったのか。手を組んでる男たちの顔にシュールストレミングの瓶の蓋を当てると効果てきめん、のけぞって倒れた。蓋に汁が付いていたんだから、それを鼻に押しつけられりゃ、卒倒するわね。

 蓋は倒れた男のポケットにそっとしまっておく。きっとトラウマが生まれたと思うけど、死ぬよりは良いでしょ。


 少し走る。確か、ここがリファール商会か?玄関の表札に書いてある。

『Clean』

 と唱え自分の身体を洗浄し、顔をしかめている門番に名前を告げる。そうすると、すぐに中に入れてくれたので、門番も手を引いて中に連れ込む。門番さん、あの悪臭の餌食になりたくないでしょ?

 

 中には支店長のエミールさんがいた。

「何が起きましたか?」

「実はロマノウ商会から、支店に来てくれと連絡があり、向かっていたのですが、すぐそこの通りで、周りを囲まれ殺されそうになりましたので、脱出してきました。抜けるとき、どこからか悪臭が起きましたので、外は大混乱になっていますよ」

「悪臭で大混乱ですか?糞尿とか何かでしょうか?」

「いや、あんなものじゃなく、もっとひどい臭いですよ。倒れた人もいました」

「え、そんなものすごいものですか?しかし、失礼ながらマモル様は何も臭いはしないようですが?」

「ええ、それは私は魔力持ちですので、臭いを消す呪文を唱えました」

 支店長は頷いて、部下に指示を出す。

「あぁ、なるほど。すまないが、ジョン、表の様子を見てくれないか?扉を大きく開けてはいけないよ。少しだけだ、開けるのは」

 門番の男性が、扉を少し開けた途端、店の中に悪臭が入ってきた!?みんな一斉に顔をしかめ、鼻をふさぐ。申し訳ないので

『Clean』

 と唱えると、悪臭はかき消えた。

 エミール支店長は少し目を見張って、

「便利なものですね。私も使えるようになりたいものです」

 と言うことですが、それは遠慮してもらう。できるかも知れないけど、男の手を握って魔力を流すって、考えただけでも気持ち悪くて。ま、支店長の奥さまや娘さんならいいけど。

 それはともかく

「外は大変な臭いのようです」

 と門番のジョンさんが泣きそうです。鼻の奥に臭いが残っているんでしょうか?そこまで魔法は効かないでしょう。あ、これか、

『Cure』

 ジョンさん、効いたようですね。笑顔が戻りました。

 また、少しずつ臭いが入って来たような気がするのでもう一度、

『Clean』

 と唱えると、空気が清浄なものに変化した。そしてお願いをする。

「すみませんが、ロマノウ商会とギレイ男爵様の宿舎に私がリファール商会にいることを連絡してもらえますか?」

「承知しました。あと、イズ公爵様にもご連絡しておきます。その上で、明日、当商会の馬車でブカヒンの町までお送り致します。その後は、ロマノウ商会の船でタチバナ村に帰られるということでよろしいでしょうか?」

「結構です。よろしくお願いいたします」

「了解しました。では、連絡させるとともに、表の様子も見させてこさせましょう」

「え、今すぐでなくていいですよ。外に出ても大丈夫でしょうか?」

「はい、大丈夫でございます。裏口から出させますので。まさか裏口まで臭いは回っていないでしょう」

 エミール支店長が指示を出して、人が出て行った。


 しばらくして連絡に行った人が戻ってきた。興奮して真っ赤な顔で報告するには、

「外は大変な騒ぎになっています。悪臭で通りは人っ子一人いない状態で、遠目ですが、交差点の辺りに数人倒れているようです(死んだ人と悪臭に気絶した人がいるのね)。衛兵が近寄ろうにも臭くて近寄れない、ということのようです。

 どこから悪臭がでたのか、誰も分からず、何の臭いかも分かりませんので、とにかく臭いが薄まるまで待とう、ということのようです」

「そうか、それで連絡してくれたか?」

「はい、イズ公爵様、ギレイ男爵様、ロマノウ商会に連絡いたしました。特に、イズ公爵様は直接、お目通り頂きまして、ご連絡しました」

「そうか、よくやってくれた。それと、ここを見張っているような者はいなかったか?」

「それは分かりません。見張ろうにも臭くて近寄れないですから、いないと思いますが」

 いや、悪かったね。外に出て、臭いを引きずっていないかと思ったけど、大丈夫みたいだし、外はパラパラ雨が降ってきたみたい。やっと、悪臭は流されるだろうな。


 翌朝、送ってくれる馬車を待っていると、豪奢な馬車が中庭に入ってきた。商社の実用的な馬車でなく、無駄に豪華で馬も4頭立てになってるスゴいヤツです。確か、外国の大使が着任して天皇に挨拶に行くときに乗るヤツみたいなの、一度ニュースで見たなぁ。アメリカのケネディさんが大使として着任の挨拶の時じゃなかったっけ?

 それで、この馬車は誰が乗ってるの?何しに来たの?もしかして?と思っていると、御者台から御者が降りてきて、

「マモル様、おはようございます。イズ公爵様がブカヒンの町までタチバナ様をお送りされると申しておられます。さぁどうぞ、中にお入りください」

 と扉を開けてくれました。これは断るという選択肢のないやつですよね?馬車は中は内装も無駄に豪華です。ドアと呼ぶには恐れ多い、扉です。へ?と思い中を見ると、イズ公爵様が、おいでおいでをされています。

 横のエミール支店長を見ると、首を横に振り、

「公爵様にご連絡致しましたら、どうしても一緒に帰ると仰せられましたので、私どもではいかんともしがたく、ぜひご一緒くださいませ」

 と言う。

 なんと、ブカヒンまで、何泊かあると思うけど、ずっと一緒に行くんですかい!?これって、社長や会長と一緒にグランクラスかグリーンでヒラのオレが同行出張で移動するのと同じじゃないですか?社内販売もないし、個室でお付きの人と3人というのは、要は暇つぶしの相手をせよ、と申しておられるのと一緒ではないでしょうか??


 個室に斜め向かいで座るというこの地獄、イヤそんな失礼なことはありません、恐れ多い。助けて頂き、誰も絶対に手出しできない手段で脱出させて頂くという、ご厚意に対し、どうやって報いれば良いのでしょうか?数泊の間、どのように沈黙せず過ごせば良いのかと、心配されます。どうせ、イズ公爵様は旅の暇つぶしも兼ねて気楽な感じで乗せただけと思いますし。珍しい動物を見るような感じですよね。そんなこんなで、商会を出発し、ギーブの外に出ることができました。


 そうは言っても、積もる話があるわけで、サトウキビの話が出るわけです。

 ポペ村での栽培が順調にいっていること、農場拡大を倍々ゲームで進めていて、儲けが尋常じゃないくらい上がってきているとのこと。だって、スタートはそこら辺にあるサトウキビですけどを植えて、オレがゴニョゴニョ言ったら、どんどん成長して、あっという間に収穫できるなんて、魔法のようなもの?なんだから。後は虫や病気さえなければ、儲かるだけなんだもの。


 お陰で、ブラウンさんに回す資金が潤沢で、ブラウンさんの提唱したヘルソンでの上下水道の整備、ゴミの始末、スラム街の整備が予定より早く進んでおり、効果はまだ見える形では上がっていないが期待しているとのこと。

 それよりもブラウンさん夫妻の医療技術の高さが注目している、とのこと。外科手術の凄さが驚かれているそうだ。凶賊の根拠地に討伐隊が向かったときにブラウン夫妻が同行したそうだ。最初は、2人の異形から(背の高さ、横幅、皮膚の色、顔つきなどなど)敬遠され近寄る人もいなかったそうだが、凶賊との戦闘が起き、大けがをした者を手際良く治したことに対し、一同が感嘆したそうだ。特に、この世界では腹を斬られて腸が体外に出た場合、ひどい苦しみが2,3日続いた後必ず死ぬということになるので、腹を斬られるとトドメを刺して、苦しませず済ませるということが当たり前だそうだ。

 しかし、そういうケガ人が運び込まれたとき、ブラウン夫妻は何か呪文を唱え、腹を塞いで、元通りにしたということだ。ケガ人がすぐに歩けるということはないが、2,3日もすると座れるくらいに復活したという。神の御技でないかと感謝されるくらいの奇跡を起こしたと言われたらしい。それ以来、貴族の信用が手の平を返したように広まり、活動の理解度が上がったという。

 さすがに切断された腕を元通りくっつける、ということまではできないが、皮一枚でもつながっていれば、元通りとはいかないまでも、かなりの復元が起きるようで、それでもこの世界の人にしてみれば、神のようなものだという。このブラウンさん夫妻を連れてきてくれたことだけでも、オレの功績は大きいものだと笑われる。


 よくある異世界ノベルのように、魔法の力で切断した腕から、新しい手が生えてくるなんてことはないらしい。あれはいくらなんでも無理だろうと思う。ブラウンさん夫妻は2人で、洗浄、麻酔、縫合、といった手術の処置の呪文を2人で分担して使っているんだろうな。最初は魔力の量が少なくても、2人で分けて使えば、魔力切れで倒れるリスクもなさそうな気がする。


 サトウキビとブラウンさん夫妻のことだけでも、タチバナ村まで送ってもいいくらいなのだがな、と言われて、かなり本気にみえたのだが、それは遠慮した。ギーブからタチバナ村まで馬車で半日だが、それをやってもらうと、あまりに見え見えでしょうし、さらに恨み買いそうだから、遠回りだけど、ブカヒン経由になるのは仕方ないでしょ。


 イズ公爵様から、サトウキビの次に何かないか?と聞かれる。香辛料を織田領(今ではアレクサ公爵領)とロマノウ商会で独占しなくても良いのだぞ、と凄まれるが、今のところ採算ベースに乗って出荷できるくらいになったのは胡椒と、クローブと唐辛子くらいだから、もう手駒がないし。生糸はヒューイ様のところの特産品になりつつあるし、紙はこれからだしなぁ。そのうち、考えも変わるかも知れないけど、偉い人にあまりいい話をすると、自分の都合のいいように拡大解釈されるから、決定するまで秘密にしておく方がいいから。


 いろいろ考えていると、イズ公爵様から「塩のなる木はないのか?」と聞かれるのだけど、たぶんないよね。前の世界ではなかったけど、案外この世界ではあるのだろうか?この世界でもやっぱり、塩田か岩塩だと思うけど。


 あと、参謀本部の話を聞かれた。信忠様の前で話しただけなのに、どうしてオレが知っていると聞いたのか?と驚くばかり。情報源は秘匿だそうで、それはそうとして、知っていることを話すと、どんどん顔つきが悪くなる。苦虫をかみつぶしたような顔で、

「まことに残念だが、この国では無理だ。金がかかりすぎるし、人がいない。せめて私の領で組織を作ってみよう。しかし、最初は遊びのようなものだ。10年くらい経ってやっと効果が見えるものかも知れぬな。それが実現できる、国力というものが羨ましいな、ゴダイ帝国が本当にそれを実現しているとしたら、怖ろしいことだ。ヤロスラフ王国が呑まれてしまうかも知れぬな。私の力で国を守ることはできぬが、せめてわが公爵領を守れるよう備えておこう」

 ということを言われた。参謀本部の話で危機感を持った貴族の人はこれで4人目か。たった4人ということかも知れないが、他にいてオレが知らないだけかも分からないが。

 

 その後、この世界に降りて来てから、ルーシ王国のことを根堀り葉堀り聞かれた。そして、

「マモルの降りた村の現在のことを知っているか?」

 と聞かれた。まさか、この方が知っているはずもなかろうと思ったが、知らないと答えると、

「そうか、私の知っていることを教えよう。 あの村は現在、誰も住んでいないようだ」

 そうなのか、なんとなく、そういう予想はしていたが、やっぱりそうか。前に聞いた話とは違わないけれど。

「あの村にシュミハリ辺境伯領から調査が入ったそうだ。しかし、うまく調査できなかったようで、村の香辛料の木も全部ダメになったらしい。そのため、胡椒を調達するという目的はまったくできていないらしいぞ。それで結局、胡椒は諦めることにしたらしい。マモルがいたときは、すぐそこに胡椒のなる木が見えていて、栽培が可能に考えていたらしいが、みごとに失敗して、担当のものは責任を取らされたらしい。事業を進めようとした宰相も失敗の責任を取って、替わったようだな」


 まったくできていない、のか。しかも担当者が責任を取らされたというのか?ポリシェン様が責任を取ったのだろうか?宰相が代わったというから、リューブ様のことか。

 胡椒の木が全滅したというのは、もしかして、バゥの言っていた、オレがいないと育ちが悪くなったというヤツが、その後も続いたということなのか?そして村には人がいなくなったのか?

「すみません、あの村は無人になったということでしょうか?」

「はっきり分からないが、そのようだ。元々、あの村は人が住むと認識されていない村のようだから、何人住んでいるということも分からなかったらしいな。

 であるから、人が住んでいない村は、死のうが行方不明になろうが、ゼロはゼロということらしい」

 そうなのか......やはり、一度見に行きたい、無理か?


 それと、オレは何も言わないのに、オレがアレクサ様から命を狙われ続けることについて言われた。

「アレクサがマモルを狙うのは、タチバナ村を直轄地にしたいからだろう。

 最初は、単に目障りなヤツ、くらいだったのだろうが、今は直轄地にして自分の息のかかった者を派遣したいと思っているだろう。納められている税(胡椒を現物で納めている)の他の生産品について、どれくらいあるのか領都の方では分からず、推測するしかない。アレクサから見て、タチバナ村は金の卵を産む雌鶏にしか見えないが、その金の卵は一部分しかアレクサの元に届かず、ほとんどがマモルのものになっているように見えるのだろう。

 オダが領政をやっている時は、タチバナ村が発展すれば領全体の経済を押し上げると考え、マモルに任せていたのだろう。実際、それで予想以上にうまく行き、ハルキフにも影響が及んだ。さらにマモルをうまく使えば、どれだけでも領経済に貢献してくれるのに、アレクサはタチバナ村の今の農産物を掴みたくなったのだ。マモルが当たり前に思っていることが、この世界では当たり前でないことがまだまだあるだろう。

 アレクサの気持ちが分からないでもないが、もう5年も待てば、タチバナ村は大きく発展してオーガくらいの町になるかも知れないのにな。 目先の欲に釣られてはならない、ということを余は今、目にしているのだ」

 

 なるほど。


読んでいただきありがとうございます。

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