第6話 息子で弟子になった少年
城に着くと裏口で降ろされた。
「すまないリュウ。私はこれから政務がある。レイモンド任せたぞ。」
「お任せください。」
「これからリュウ君はここで暮らすことになります。わからない事や困ったことがあれば私に言って下さい。」
「ここはメイドや庭師、業者が出入りする勝手口です。普段はここから出入りしてください。」
「リュウ君の部屋は私の隣です。ここは私の研究室として使っていたのですが最近は忙しくて使っていないのでリュウ君の部屋にしようと思いまして。」
扉を開けると本や怪しげな装置、そして異臭がした。
呆然と立ち尽くす僕にレイモンドさんは肩を叩き遠い目をしながら呟いた。
「まず掃除から始めたほうがいいですね。」
僕は頷いた。
しばらく掃除をしているとある疑問が湧いてきた。
「あの?僕はこれからここに?」
「そうだよ?ああ隠れて貰うけど城の中で隠す。灯台下暗し作戦だね。」
「君はこれから私の息子になるんだ。筆頭魔導士の子供だ手を出しづらくなるだろうし。」
「それに優秀な弟子を持つことにもなる。私にとってはいい事尽くめだな。」
「どうした?リュウ君そんな顔をして?嫌なら断ってくれても良いんだ。」
「いえ・・とても嬉しいです。あのなんて言ったらいいか。」
「そう身構える事はない。大丈夫何があっても僕らが君を守るから。」
そう言うとレイモンドさんは優しく微笑んだ。
一通り掃除が終わった頃にはもう夜だった。
「ん?リュウ君左目が赤いね?掃除の時に埃が目に入ったのかい?チョット見せてくれるかな?」
そう言うとレイモンドさんは杖を振った。
杖に光が集る。
「どれどれ・・・・!!!ん?あれ?いやでも・・・。」
「実は数日前から目が赤くなってきてるらしいんです。病気・・・・ですか?」
「もしかして君は魔力が見えるんじゃないかい?」
「左目だけで見ると光が見えます。」
「本当かい!!その光が魔力だよ。魔力が消えるとその者は消える。人なら死ぬし、物なら壊れる。普通は見えない物なんだ。」
「これは驚いた・・・。君の眼は『赤龍帝の瞳』と言って伝説の代物だよ!」
「赤龍帝の瞳?」
「ああ!!こうしちゃ居られない!リュウ君!!私は少し調べ物があるから休んでいてくれ。」
「あと食事は王子とするから待っててね。」
そう言うと隣の部屋に行ってしまった。
赤龍帝の瞳か・・・。もう少し早く知っていればトンガが死ぬことも無かったのかな。