第2話 赤い月
この世界の時間は残り僅か・・・。
ここに世界を変える事が出来る伝説の剣がある。
この剣を手にする事が出来る者は祝福された者。
しかし使う為には最愛の人をその手で殺めなくてはいけない。
さて、君ならどうする?
さあこの手を取り給え。
力はこれから必要になる。なら、なくてもあって困るもんじゃない。
その手で最愛の人を殺すか?それとも剣を使わずに世界を救う事が出来るのか?
時間は限られている。敵は強大で仲間もいない。目の前には全てを救う事が出来る剣がある。
さあ、君ならどうする?
気が付くと剣に手を伸ばしていた。
それでいい。
ではこれから君に力を与えよう。
二つの星が重なり世界が暗黒に飲まれる時我が名を呼ぶがいい。
我の名は・・・・。
また同じ夢だ。
「リュウ大丈夫かい?」
「二人ともありがとう。悪い夢をみたんだ。」
「リュウ左目が真っ赤だよ?」
「どうしたんだろう?ばい菌でも入ったかな?」
右目を閉じると二人の姿が消えた。正確には二人の代わりに小さな光が漂い人の形を模っていた。
右目を開けると視界は元に戻っていた。
翌日みんなが集まる中右目を閉じてみた。
昨夜と同じ様に小さな光が見える。
仕事をしていると酒場に一際強い光が二つ見えた。
これは何なのだろう?
光り方も様々で小さい光や大きい光中には黒い光も見えた。
見ていると不思議で綺麗だった。
しばらく見ているとトンガの光が小さくなった。
「おい!リュウ!!サボってると鞭を喰らうぞ!!」
「ああ。そうだな。」
次の瞬間鞭がトンガを襲った。
「トンガ!!」
「お前はいつまで運んでんだ!早く運べ!!」
鞭は何度もトンガを襲った。
僕はトンガの前に立ち、奴隷がやってはいけない事をしていた。
「もうやめろ!!」
「ホウ・・・リュウはいつからそんなに偉くなったんだ?」
「いいんだ。すぐに運びます。」
トンガは立ち上がり2歩進んだ所で倒れた。
その日トンガは帰らぬ人となった。
涙が止まらない。とにかく涙が止まらなかった。
僕は反逆したと見せしめに外に貼り付けにされていた。
格子状の窓から親指を立てる仲間が見えた。
今日の月は赤く染まっていてまるで血の様だ。
空を見上げ僕は思った。
もしここから出られたら。あいつは何がしたかったのかな。