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一太刀の英雄
どんな攻撃も歯が立たない。いくら準備したって無駄だったのかもしれない。
しかしここで諦める訳にはいかない。エレノアに・・・。
「おい。回復薬をくれ!・・・・おい!!」振り向くと仲間は塵と化していた。
そりゃ、無謀か・・・。
(人間貴様は面白いな。我が子を攻撃すれば勝機も見えていただろうに。それをしなかった。)
「そんなの人がする事じゃないだろ。」
(少し興味が出てきたがもう終わりにしよう。)
ただでは死なん!!せめて一太刀!!
周囲の壁を足場に駆け上がると龍の頭上にたどり着いた。
「喰らえー!!」無我夢中で振り切った剣が龍の目を切り裂いた。
(くっくっくく!!アハハハハ!!おもしろい!!おもしろいぞ!)
魂を震わすほどの一撃だった。貴様は我が眷属にしてやろう。
体が光輝くと手足が龍の様になっていた。
なに、すぐ元に戻る。それは選別だ。
我はあと数年は眠りにつく。それまで現世を謳歌せよ。




