エレノア2
どうやってここに来たかも定かではない程俺は舞い上がっていた。
店の中に入ると仲間が丸テーブルを囲んで飲んでいた。
「遅れてくるなんて珍しいな隊長?」
一番初めに声をかけてきたのは戦士のゴルだった。
「これはなんていったらいいんだろう。胸が苦しい。僕は恋をした。」
「恋か!!懐かしい響きだ。」もうへべれけになっているのが魔道士のジイ
隣で呆れているのがシーフのマルン
「馬鹿らしい。さっさと仕事の話をしましょう。」
俺は隊長なんて呼ばれているが俺の仕事は、しがない一兵士より格下の冒険者だ。
この国では階級が存在する。
王族・貴族・官僚・平民・奴隷の順で俺は奴隷上がりの平民砦を守る兵士は官僚扱いだ。
仕事は危険な内容の物が6割残りの4割は個人からの依頼で誰もやらない仕事を請け負っている。
「こんな商売だ。夢ぐらい見てもいいだろう。」
「仕事の話をしよう。今回の仕事は討伐だ。」
「討伐?」
「ああ。報酬が5000金貨だ。
「5000!!本当か!!それだけあれば引退できるな!!」
「しかし相手は龍だ・・・。」
「龍か・・・それは厳しいな。」
皆の笑顔が一瞬にして真顔になった。それは当たり前の反応だった。龍は強い。この世の食物連鎖の頂点に君臨し知能も人と同様かそれ以上。一部の国では神と崇められているほどの生物だ。
「龍の鱗は硬い。それなりの武器が必要だ。それに住処がどこか分からない。」
窓の外に見える山を指さし「あそこに遺跡があるらしい。そこが住処だという事だ。」
「準備期間を考えると一ヶ月はかかる。それまではここを拠点にする。」
皆ニヤニヤしている。
「隊長の恋の為だ仕方ない。」
「バカ!!そんなんじゃない!!仕事だ!!」
しかし、それから毎日のように春風亭に通った。
何度か顔を合わせるうちにやっとエレノアとデートの約束をした。




