第13話 罠
「ここがグランドゼロ?」
ジュラが警戒を解かないのも分かる。
何もないのだ。隠れる場所もなければ草の根一本すら無いただのクレーター・・・。
「エマはどこなんだ?」
「大丈夫ですよ。場所もわかっていますから、ほら!調度あそこに。」
指さした場所にクラナダとエマが居た。
エマは猿ぐつわをされ拘束されている。
「やはり、彼女は裏切っていませんでしたか。」
「やはり?どういう事だい?」
「ここは彼女たち神の使いには少々不便な土地になっていまして魔力が無いんですよ。」
「魔力がない?」
「ええ。私もここでは役立たずですから。出来る事はあのエマさんですか?あの猿ぐつわを外すくらいしか出来ません。」
杖を前に出し呪文を唱える。『クーア』エマの猿ぐつわが外れた。
「ジュラ!!これは罠よ!!」
辺りを見渡すと兵士が取り囲んでいた。
(やはり何もない場所で出来る事と言えば退路を塞ぐこと、人質を取る、それぐらいしか出来ないか・・・。)
「想像通りの罠でしたね。あとは頼みますよリュウ。」
「クラナダ!!エマを離すんだ!」
近づくとクラナダは酷い火傷を負っていた。顔の半分は爛れているし、よく見ると両手は包帯が巻かれ醜悪な笑みを浮かべ涎を垂れ流しながら叫んでいた。
「今日こそおおおおお!!復讐の時いいいいい!!貴方が泣いて跪く姿を見れるうううう!!」
涎が足元に落ちると我に返ったようだった。。
「失礼・・・少し興奮してしまいましたわ。死になさい。」
手を挙げると兵士が襲い掛かってきた。
「石龍!!エマを守れ!!」
地面からエマを囲うように石が隆起した。
「父さん!!」
「ざっと1000人ですね。これは予想外でした。」
徐々に距離を狭めてきた。
「敵の指揮官は?あそことあそこ、それにしてもよく隠れていましたね。」
「関心している時ではありません!!」
「息子に怒られてしましました。やることはやりますよ!」
空に向かって火矢を放つ
すると騎兵が突っ込んできた。
「クラナダこれが罠だよ。」
金色の甲冑が目の前で止まる。
「王子!!お久しぶりです。」
クラナダが笑っている。
「これで舞台は整った。」
「エマさんこちらに!」
石龍もういいぞ。
石の防御壁が消えていく。
中からエマさんが出てきた。
「ごめんなさい。」
そう言うと短剣を握り襲い掛かってきた。
「ごめんなさい。ジュラに謝っておいてね。」
手にしたナイフから温かい血が伝わってきて我に返った。
バーン王子が大声で怒鳴っている。
「今は感傷に浸る時では無い!戦え!!」
弓矢が飛んでくる。
「龍よ力を貸せ!!」左目が深紅に染まる。
「石龍、起きて皆を守れ!!」
(もう乱暴なんだから!そんなとこもスキ!)
地面から大きな壁がが現れる。
「水龍!!敵を分断しろ!!」
同時に水柱が敵の足下から噴き上がる。
(完了しました。)
敵の指揮官が慌てふためいている。
「これは!!なんだ!!見たことも無い!!神の御業か!!」
スキンヘッドの男が何か言っている。
「スゲーな坊主!!とりあえず今のうちに逃げるぞ!!」
(逃げる?僕が?我に仇なす者は・・・・。)
「・・・アレだけは許せない。」
「赤龍・・・力を・・・・。」
(よいのだな。)
頷くと片目が赤く輝いた。
「そのまま消し炭になれ。」
クラナダは音もなく崩れ去った。
「ジュラすいません。エマは僕をかばって・・・。」
「ありがとな・・・リュウ。」




