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駄女神退場

 「そこまでじゃ」


 悠真とメルだけだったその場に、音もなく突然1人の老人が現れた。


 「メルよ、お前の管理者として取り組む姿勢が問題だと、再三通告したはずだが一向に改善がみうけられんのだが、なぜじゃ?」


 老人は真っ白で立派な顎鬚を撫でながら問う。その姿には威厳を感じられ、この人には絶対に逆らってはいけないと雰囲気だけで感じられる。


 「シ、シード様! これには訳がありまして……なんと言うか……その……」

 「ほう、何かしらの理由があるわけだな。とりあえず一旦その理由を説明せい」


 シードと呼ばれた老人は、いつの間にか出現した立派なソファーに腰掛ける。


 「えーっと……実はですね……えー……申し訳御座いませんでした……」


 いつの間にか額に大量の汗をにじませたメルは、最敬礼で謝罪した。


 「今回の件、少し前から見ておったが、十分な説明をせずに行う転移は、『転移に関する規則』に違反していることは把握しておるな? しかもスキルを与えずに転移を行っても、十分に魔物の討伐やダンジョン攻略ができないじゃろ。怒らないからなぜそんなことをしたのか正直に話してみろ」


 シードはメルに優しく問いかけるが、その目は笑っていない。全て解っているんだぞと言いたげな表情で、メルの返答を待っている。


 「い、異世界人が苦労している姿を観て楽しもうと……それと、もし活躍しなかったら、そのときにスキルを上げればいいと……その方が私への信仰が高まるかなと……思いまして……」


 マッチポンプ作戦を、メルが自ら露見した。


 「メル、現時点を持ってアマルテア管理者の任を解く。下積みから出直してこい」

 「えっ……そんな、それだけは――」


 シードがメルに右手をかざすと、忽然とメルの姿が消えた。




 「さて、自己紹介が遅くなってすまんが、わしはアマルテアを含むエリアを担当しているエリア担当神のシードじゃ。以前からこのアマルテアの監査で、あやつの姿勢に問題ありと指摘しておったのじゃが、全く取り組んでおらんかったようでの。悠真とやら、この度はわしの管理不足により迷惑をかけてすまなかった」

 「ちょっと待って下さい。あの駄女神を助けるつもりは全く有りませんが、詳細を聞かずに同意した俺……私も悪いのですし、神様に謝罪して頂かなくても地球に帰して頂ければ――」

 「それなんじゃが、一度この場所にくるともう地球には帰せないんじゃよ。すまない」

 「そうですか……」

 「それでじゃ、あやつの説明だけでは色々と不足しているからの。わしから改めて説明させて貰うが、事の始まりはの、人口や世界の発展に合わせて創造神様が設定した、魔素の発生速度を記載した指示書を、あやつが紛失しよってのぉ……」


 詳しく話を聞くと、駄女神が適当に設定したため魔素が想定よりも早く溜まってしまい、魔物の数、ダンジョンの発生率などが高くなり、人類の繁栄を妨げる要因になっているらしい。

 そのため、対応策として魔素の発生速度のバランスが取れるように、現地で魔物の討伐とダンジョンの攻略によってサポートして欲しい、人類の繁栄に力を貸して欲しいというのが今回の経緯らしい。


 「そしてスキルなんじゃが……」


 ユニークスキルのエディットと、鑑定S、生活魔法を貰えることになった。戦闘に関するスキルが無いなぁと悠真が不安に思っていると、転移する際に上位互換スキルの戦闘の心得Eと魔法の心得Eが付与されるらしく、重複してしまうためここでは付与できないみたいだ。他にも転移者は現地人と比べスキルを習得しやすいみたいだ。


 「さて、準備はこれで終わりじゃが、今回のお詫びとして、身体能力を強化した上で若返らせといたぞ。ほれ」


 悠真の目の前に姿見の鏡が出現した。


 「若けぇ! 18歳くらいか? なんか身体がスゲェ軽い!」


 身体の調子を確認するために悠真は走り出し、全盛期と比べても体力が全然衰えていない、むしろ全盛期の頃以上に体力があるように感じた。


 「気に入ってもらえたかの? こっちの準備は全て終わってるからいつでも転移可能だがどうじゃ?」

 「有難うございます! 今なら何でもできるような気がします」

 「気に入ってくれて何よりじゃ。さて、それでは転移に移るがよいかの?」

 「お願いします!」


 若返った興奮が冷めていないのか、悠真はウキウキとした表情で早くアマルテアへ行ってみたい、そんな気持ちが雰囲気に表れている。


 「こっちでも対処はするし、わずかだがサポートもする。アマルテアを頼むぞ」


 シードはそう言うと、右手を悠真にかざした。

ここまで読んで頂き、有難う御座います。

次から2章になり、ダンジョン討伐に挑戦します。

引き続きよろしくお願いします。

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