五七話 残り香を感じて
一年生だけは、忙しく色々な行事をこなす。
クラスが仲良くなる為に、果物狩りと飯盒炊飯などで打ち解けを狙う。
さらに部活動も決まりだし、徐々に学校に慣れ始める。
入学式から二ヵ月ちょっと経った。
普通に生活する者、目立つように粋がる者、それぞれが自分の思い描く思考で行動していく、が、そこはやはり、行き交う人が多いのでぶつかり合う。
君鏡と葉阪はいつも通りに食堂へと向かっていた。
すると何やら人だかりが出来ていて、騒がしく生徒の声が響いてきた。
「あ? しらねぇよ。先輩だからって調子こいてんなよ。俺らがどこに座ろうが勝手だろ? 大体よ、先に座ってたのは俺等だし。順番的に言えば、俺らがあってるだろうが」
「うるせぇな。ここは市来さんの席なんだよ。予約席に順番関係ねぇンだよ。指定席にザコ風情が座ろうってのが間違いなんだよ。自由席に座れザコ」
竹海周平と滉司の双子だ。
竹海兄弟が口喧嘩しているその後ろを、ポケットに両手を突っ込んで通り過ぎる市来、そのままいつもの自分の席の前まできた。そしてそこに座っている者を蹴り退かすとドサッと腰を下ろした。
「痛ぇえな。いきなり何すんだよ」
「あ、わりぃ、言い忘れてた『退け』これでいいか? つい口より先に手が出ちまったわ」
それを見て市来のグループが笑う。だが一年生達も負けずに吠える。
各中学校の悪が集まり群れているようだ。どれくらいの強さかは分からないが、自分達は強いぜとギラギラした目で市来達を睨む。
毎年同じようなことが繰り返される。これはどこの学校でもという訳じゃないが、偏差値の低いこの進卵学園では必ずそういう輩が紛れてくる。
「先輩。先輩がこの学校で一番強い人っすか? そんなら、俺等はアンタをシメさせてもらうけどいいよな? あれ? ビビっちゃった? まさか年下にターゲットにされると思ってなかったってか? 残念、俺達は先輩とか関係ねェから。目障りな奴は、片っ端からシメるぜ」
市来はずらりと並ぶそれらを見て急に笑い出した。それに釣られて竹海兄弟も。
「何笑ってんだよ」
「は? 別に。それよかよ、先輩がどうこうの前に、何つるんでんの? 言ってることめちゃくちゃだぜ。アハハ。ウケる。お前等、喧嘩するの怖いからつるんでるんだろ?」
「あ? あ? 全然ちげぇよ。俺等はもう喧嘩してとっくに決着ついてんだよ」
それを聞いて更に笑う市来。
「アハハハハッ。分かった分かった。もう邪魔だから行ってイイよ。俺等は今から楽しくメシ食うから、お前等は教室かどっかで食え。ほら消えなっ、シッ、シッ」
睨み合いが続く。治まる気配はない。
一年生グループが、先輩の圧力に引かないで耐えているのだ。ここで引いたら、この先ずっとナメられると。
言い合うそれらは一般生徒と比べて、見た目も体格も厳つくド派手だ。
そして喧嘩慣れしてそうな感じもする……あくまで外見上だが。
激しく、そして乱暴に罵り合う不良達。そんな中、剣道部達が集まってきた。
「どうしたの? 座らないの箱入さん」
「なんか、先輩達がモメちゃってて……。ほら席とか近いし。それで」
「平気だよ。俺達関係ないから」
濱野と裏画が皆を引き連れて、いつもの席へと向かう。
「ちょ~と、ちょっと退いてねぇ、ハイちょっとイイ」
人をかき分け席へと着いた。何事もなく席に着き笑う剣道部。しかし、どう考えてもおかしい。
食堂中がこの口喧嘩に耳や目を傾けているのに、全く意に介さず堂々と席に座っているのだ。逆に目立ってしょうがない。
まるで多くの野次馬の中、いや、燃え盛る炎の真っただ中を、対岸の火事の如く無視して、家族団らんお弁当を食べようとしているような……異様な光景。
「おっい、なんだてぇめぇら。ナメてンのか? オイ、そこのお前等だよ。ザコ、聞こえないのか? お前等ザコに言ってんだよ。自分等がザコだから関係ないと思ってんのか、ふざけんなよ。マジでぶっ飛ばすぞ」
一年の不良グループが剣道部に噛みついた。だが、君鏡も部員達もどのランチにしようか楽しそうに話していて気づいていない。
突然怒鳴られたなら気付くが、すでに口喧嘩の最中であり、ボリュームも口調も一定の流れ。意識していない剣道部が気づくわけがない。
「おい、おいって。お前等に言ってんだよ」
「おい止めろって。剣道部に関わってもロクなことにならネェから。それに俺等やお前等程度じゃ速攻でコッパされっぞ」
市来の台詞に初めて首を傾げた。まったく意味が分からない。
厳つく、見るからに悪くて強そうな市来が、不良グループが、見るからにオタクっぽい者達に負けると言っているのだから。それも今時珍しい剣道部……。
「へぁ? お? 一緒にすんじゃねえよ。なんだてぇめぇら、さっきあんだけ偉そうな口利いて、こんなザコに負けんのか。ダッサ、ザコ、ザコジャン。見てろよ」
そういうと一年の集団が剣道部の座る席へと移動始めた。
君鏡と葉阪と留理と仲地は、先にランチを選び終えて、食券を購入しに席を離れていた。残っているのは男子のみ。
「おい、テメェ等。さっきから何シカトしてんだよ」
いきなり怒鳴られてビックリする三人。三人とも見慣れない相手に上履きの色を確認する。服装は自由だが唯一パッと見で学年が分かる箇所だ。
「一年生? 悪いけど、市来君達と喧嘩してたんでしょ? こっちに飛び火されてもこまるんだけど……。関係ないしさ」濱野はそういって市来を見る。
すると市来は申し訳なさそうに手を合わせて笑う。
どうやら、市来が仕向けた訳ではなく、一年生が自ら錯乱して絡んで来たようだと悟った。濱野は裏画と室巣を見る。
どうしたものかと迷っていると、そこに女子達が戻ってきた。何もないように席に着くが、一年生はそれが気にくわない。シカトされてる感じもそうだが、ナメられているという屈辱感が走る、それもオタクみたい者達に。
入学して一番気になること――それはナメられ馬鹿にされること。
「オイっ、いい加減にしとけ、ゴミ」
そう言って葉阪が持ってきた食器をひっくり返した。葉阪が選ばれた理由は、きっと無意識の選択だったであろうが……一番やりやすい雰囲気であったのだ。
どう見ても留理はヤバイ。更に仲地も普通じゃない。そして今の君鏡も普通ではない。例え強さは分からなくとも、服装も髪型もメイクも大化けしている。
となれば、一番普通でオタクそうな葉阪となるのは、必然であった。
「何やってんだよカス。葉阪さんに謝れよ」
室巣がブチ切れていた。そのことに部員達皆が驚いている。一度も怒ったこともないし、そんなタイプではないと思っていたから。
「聞こえないのかよ。ふざけんなよ、俺達が何したって言うんだよ。いきなり来てわけのわかんネェことしやがって。お前等全員相手してやるから、今から剣道場に来い。全員相手してやるよ」
完全にブチ切れている。ただ、流れからいって室巣が怒っている正当性は食堂で見てる全ての者達には納得がいく。いきなり因縁つけて女の子のランチをひっくり返したわけだ。
「あ? 関係ねェよ。それよりテメェ、本当に俺らとやんのか?」
「なにが『やんのか?』だぁ。やるよ。決まってんだろ。ここまで酷いことして、ただで済ますと思ってんのかよ。全員だ。一人も逃がさねぇから」
室巣の怒りを見て部員達は呆然としていた。
動いたのは市来達不良グループだ。
「ごめんごめん。俺達がそっちに行かせたから。ここは俺達が責任もってシメとくからさ、悪いけど勘弁してくれないかな?」
濱野と裏画が顔を見合わせた後、君鏡と葉阪を見る、そして「どうする?」と是非を問う。
葉阪は「別にいいけど……」というが、室巣の怒りは収まらない。そして部長である君鏡が皆を見渡した。
「そうね、とりあえず今はどうしようもないから、放課後、剣道場に来て貰おうかしら、その時までにはどうするか決めるわ。だから室巣君も今は引いて。市来先輩もそれでいいですか?」
君鏡の言葉に一同が黙り込む。予想外というか、ここで事なかれで終わると思ったのに、答えを先延ばしにした。……少しだけ恐怖が伝う。
「お前等もそれでいいな? いいか帰ったり逃げるなよ。俺等も放課後行くからよ。まぁ校門に見張り立ててもいいけどな」市来が腕組みする。
「逃げるかよ。ちゃんと行ってやるよ。こっちこそそん時ケリつけてやるワ」
話がまとまると、君鏡は自分のランチを葉阪に譲り、零れたおかずや食器などをお盆に乗せて、もう一度食券を買い直す。
その姿を部員達だけではなく、生徒達皆が見ていた。
とても昔の君鏡と同じとは思えない。見た目だけでなく、すでに心も大化けしていた。留理の隣にいた仲地は、君鏡の凛とした背中に痺れていた。
そして、午後の授業も無事に終わり放課後がきた。市来達の群れと、一年の不良達の群れが導かれるように剣道場へと向かう。
噂を聞いた一般の生徒達が野次馬へと変貌し、剣道場付近へ群がる。
「それじゃ、一年生の諸君、入って。あ、おい、ちゃんとお辞儀してからな。剣道場とか柔道場に入る時は、体育の時でも、まずお辞儀ね」
裏画の指示で全員が、面倒くさがりながらもお辞儀をする。
「市来君。悪いんだけど、一般の生徒はシャットアウトしたいから、できたら市来君の友達に外で見張りというか、野次馬の監視して欲しいんだけど」
「いいよ。周平、そういうことだから下の者に見張りお願いしてきて」
「オッケぇ」
剣道場内にはダンス部と、一年生の不良達が約二十人、それと市来と戻って来た竹海兄弟。当然ながら剣道部員。
「で、これからどうするんだよ。ここで喧嘩でもしようってのか? それともここに居る全員で俺らをシメようって腹か? 言っとくけど俺等は大人しくやられるなんてことはしないからな」
濱野と裏画が君鏡の指示で、沢山の竹刀を抱え一年生達の足元に差し出した。
「そんじゃ、これ使ってイイから。ルールはないから安心して。喧嘩と一緒。相手はあそこにいる室巣っての一人だから。覚えてるでしょ? 食堂で怒ってたヤツ」
一年の不良達はあまりのことに驚きが隠せない。市来と竹海兄弟も同じだ。
「おい濱野、大丈夫なんかよ。室巣とかいうヤツ一人でこれ全員相手にすんの?」
「いや、初めは八人くらいかな。ほら、お互いの武器がぶつかって自滅でもしたら大変でしょ? 最初は木刀でって話だったんだけど、箱入さんが誤打して大けがしそうだからって。危ないしシャレにならないでしょ?」
全く言っている意味が分からない市来。その意味が分かっているのは剣道部員とずっと練習風景を見てきたダンス部だけ。
「まぁそういうことだから、喧嘩に自信ある人、八人くらい出てきてくれる。あと素手とかやめてね、話にならないから。ちゃんと武器使ってな。危ないから」
裏画の説明に首を傾げながらも「やってやるよ」と竹刀を持つ。そしてビシビシと床を叩きながら威嚇する。
「戦う人以外は端によって下さい。それじゃ室巣、いいぞ」
「へへっ。これはいい」
「何喜んでんだ室巣。これ、練習にもならないからな、ちゃちゃっと終わらせろ」
室巣を囲むように八人の不良達がうごめく。最初に動いたのは一年生。
しかし室巣は、避けるどころか手首だけを動かしてその攻撃を受けた。
「なん……、っんだ今の? はぁ?」
あまりの室巣の動きに訳が分からない一同。一人ずつじゃ埒が明かないと次々と襲い掛かる。それも容赦なく。
竹刀が当たれば室巣が死ぬんじゃないかという激しい攻撃。口汚く罵り、怒号が剣道場に轟く。表にまで聞こえそうだ。
「このぉ、ゴミがぁぁぁ」
室巣はそれを涼しい顔で受け流す。
「ホント、これじゃ練習にもならないな。お前等もっと本気で来いよ」
「うるせぇ、マジで殺していいんだなぁ」
そう誰かが叫んで、持っている竹刀を室巣目がけて投げつけた。まるで投げやりのように室巣へと飛んでいく竹刀。それを室巣が笑顔で叩き落とした。
「お前な、武器投げてその後どうやってこっちの攻撃防ぐつもりだよ」
大勢の不良達をかき分けて竹刀を放った者へ寄り、室巣が攻撃を仕掛けた。
「ひぃ、ちょっと」地面にしゃがみ込み丸くなって怯えるそれ。
「チッ。もうどけ。選手交代。誰かコイツと入れ替わって。それと、もう少し人数増やしたいから、あと二人入って。十人で」
市来も竹海もこの現状に驚きで言葉が出ない。かつていた床並という存在なら分かるが、今ここに居るのはただの剣道部のはず……と。
一年の不良達は自分達のできる限りの攻撃を全力で仕掛ける。これでもかと。
それこそ懲りずに竹刀を投げつけたりもした。足掻けるだけ足掻いて、それでもなお室巣は余裕。
これが当然だと分かるのは、真面目にスポーツに取り組む者達だけ。
頭でだけで考えて、イキがる不良には理解不能なことだ。
なにせ、卓球選手にピンポン球を投げているのと同じ、バスケ選手や野球選手に遅いボールを投げつけているだけ。
これに対応できないようでは、試合どころかレギュラーにはなれない。
素人のボールにエラー? そんな者は使えない。最低でも自分と同等かそれ以上の実力の者が放つ球や打球を捌かなければ、本当の試合は成立しない。
つまり練習とは、そういったことが出来るようになるまで、頭も体もそれを覚え込み、体の芯まで染み込むまでひたすら反復練習するのだ。
室巣にとって、こんなまっすぐで意味のない攻撃は、遊びにしかならない。
スポーツで最も瞬間速度が速い球を操る競技はバドミントンで、シャトルに着いた羽根で減速はしてくれるものの、その領域はヤバイ。がしかし、競技者に聞けば一目瞭然だが、速いだけなら対応できると答えるだろう。
どんなスポーツも相手との駆け引きや戦略が信じられないほど勝敗を左右する。
何が言いたいかと言えば、全てのスポーツと同じで、室巣に対してはクイックやフェイントを入れなければ話にならない。それもとんでもなく巧妙でトリッキーなレベルのものを、更に緩急も強弱も。
サッカー選手やバスケット選手相手に、ど素人が普通に突っ込んで、ドリブルで抜ける可能性は何パーセントあるといえば分かるだろうか。
つまりそういう話である。
たった数分で一年生達はヘトヘトになり、床へとしゃがみ込んだ。
「なんだよもう終わり? まだ始まったばかりだけど」
室巣が一人佇む。そこに君鏡が近寄ってきた。
「皆、大丈夫? 悪いけど、今日はまだ付き合って貰うわよ。例えゲロ吐いても、動ける間は動いてもらうから。濱野先輩、悪いんですけどこの子達にジュース買ってきて貰えますか? できたらスポーツドリンク系で」
「オッケ~。おごっちゃう」
ゾッとする会話だった。
「箱入さん、次ぎ私もやりたいんだけど。御飯ひっくり返されて、ちょっと制服も汚れちゃったし。いいよね?」
葉阪のそれに笑顔で頷く君鏡。室巣も仕方なく入れ替わる。
「ふぅ、忘れてたよ。これがあの剣道部だったわ。谷渕先輩が絶対に関わるなってあれほど言ってたのにな。スカル・ピエロが襲って来た時に嫌ってほど分かったのに、床並がいなくなって平和ボケしてたわ。マジで……俺ってバカかも」
市来が半笑で天井を見上げた。
そこへジュースを抱えた濱野と裏画が戻ってきた。そして一年生の不良達に配って回る。配る度に「頑張れよ」とか「弱くてもいいから、根性だけは負けるなよ」と本気で励ましていく。
途中で根を上げられたら、自分まで番が回ってこないかもと思っている。
しばらく休ますと葉阪とのバトルが始まった。次は留理。留理は全員を相手に立ち回る。更にもう一度室巣。そしてまた葉阪。
部員達は、一年生を怪我一つさせないで仕留めていく。一年生達はそれが恐怖でしょうがない。もし間違えて一発でも攻撃がめり込んだら……自分達はどうなってしまうだろうと。
剣道場内で何が起きているのか全く分からない野次馬達。
一年生や二年生がわんさか集まり、それを市来グループの者が脅して止める。
「二年C組、箱入君鏡さん。生徒会長がお呼びです。繰り返します。剣道部部長、箱入君鏡さん、生徒会室までお越し下さい」
突然流れた校内放送。
「あ、ヤバイ。なんかバレたかも……」焦る君鏡。
「なんか懐かしいね。床並君なんか毎日だよ。それも、呼ばれて戻って来たらさ、すぐまた風紀委員に呼ばれたりして」
部員達がニッコリと笑う。
「私、行ってくる。部長だもんね」すごく嬉しそうな君鏡。
なぜか部員達皆が嬉しそうだ。あの頃は毎日こうであった。久しぶりの事件。
縁がいなくなってからずっと何もなかったから……。
何も起きてくれなかったから。
「はい。それじゃ皆今日はありがとう。もう帰ってイイわよ。もしまた戦いたくなったら前もって顧問の吉原先生に書類提出してね。暇な時に相手してあげる。まぁ暇はそんなにないんだけどね」
君鏡の台詞にどうにか首を横に振る。
吐きそうな顔色と小刻みに震える指先。あと少しで限界が来ていたに違いない。丁度いいタイミングの放送に救われた不良達。
タバコなどのせいか、それともまだ成長途中なのか、体力が少ないそれら。
「すぐ戻って来るから、皆はちゃんと練習してね。特に濱野先輩と裏画先輩。もうすぐ私達大会が待ってますから」
にっこりと笑う君鏡。
剣道場から勢いよく君鏡が出ていき、その後少しして一年の不良達がお辞儀して出ていく。手には濱野におごってもらった飲みかけのペットボトル。
顔色は青白く、船や車にでも酔ったように、今にも吐きそうな……。
野次馬達はその光景に、中で何があったのだろうと想像する。だが、全ては謎のまま。当然だ、一年生の不良達を皆の前で恥かかせないように、わざわざ野次馬を締め出したのだから。
事が終わり、ゾロゾロと皆が解散していく。期待したような事件や暴動は見えず詰まらなそうに家路へ着く。道場内であった出来事は知らないまま。
翌日から、すっかり静かになった一年の不良達。へし折られた心を癒すように、一年生の階から殆ど出ない。偉ぶるなら同級生の中でと方針転換したようだ。
何事もない日常が続く。剣道部の周りでも事件などはない。
退屈に……何もなく流れる時間。




