三一話 ゴーストバスターオル
「それじゃ教室に戻ろうよ」百瀬が笑顔でいう。
ゾロゾロと階段を下り一年F組に向かった。廊下では他クラスの泊まり組が楽しそうにはしゃいでいる。すでに作業を終えて遊んでいる者達ばかりだ。とはいえ、美術室にお弁当を食べに行く前と比べて格段に生徒の数が少ない。
殆どが七時に下校したようだ。
おそるおそる教室に入ると、クラスの女子達が待ちくたびれたようにボーっとしている。せめて携帯でもいじれればこんな雰囲気ではないだろうが、校内では携帯電話は禁止だ。
「ああ、床並君待ってたんだからね。どこに居たの? お腹空いたでしょ? 床並君のもちゃんと買ってきてあるから。だいぶ冷えちゃったけど……」
F組の女子も半分以下に減っていた。
縁はなんて答えていいか分からず、ぎこちなく笑う。しっかりと食べて帰ってきたサラリーマンのような心境で、満腹だが無理してでも食べるべきかと悩む。
でも、メロンパンの半キレがここにきて効いてくるほど満腹だ。
頑張っても食べれるか分からない。すると百瀬が「床並君、外で食べてきたよ」とフォローしてくれた。すんなりとでる嘘がきっちりとハマる。
男子の言い訳とは大違いだ。外というワードが、放送を聞いていなかったと主張していて、待っていた女子達に勝手な無駄足を踏んだと認識させる。
「そ、そうなんだ。じゃぁ仕方ない。あ~、もぅ、折紙先生が話を変えるからぁ」
お腹減ったと皆が一斉に食べ始めた。待っていた時間は一時間半だが、どうやらほとんどの女子は、縁や寧結同様にあの時パンを食べていて、そこまで空腹に苦しんでいた感じではなかった。
そんな様子を見つつ、縁はやりかけの椅子とまだ手つかずの椅子をいじり始めた。寧結は百瀬と園江とトランプをして遊んでいる。
「へぇ、床並君の飼ってる小鳥の性格がねじ曲がっちゃったの?」
「そう。兄ぃが修学旅行から帰って来たでしょ。私と一緒に、預けてたペルソナとお魚をとりに行ったら、ペルソナがへそ曲げて噛みつくようになってて~」
「そういえば、今日はお泊りだけど餌とか大丈夫なの?」
「うん。餌はいつもいっぱい入れてあるよ。二日くらいはぜんぜんもつから。お魚もタイマーの餌やりがあってね、急な用とか留守にする時は――」
寧結が楽しそうに説明していくが、何となく聞こえている縁には、ペルソナがヘソを曲げていることがショックで仕方ない。多分その性格は戻らない。
つまりペルソナが亡くなるまでの期間ずっと仲が悪いままということだ。
どうにか許してもらう為に、おいしいおやつをあげたりするが、昔の様な可愛いだけのペルソナには戻らないようだ。
三、四十分ほど作業していると、寧結がフラフラと歩いて来て、縁の膝の上に乗っかってきた。既にお弁当を食べ終えた女子達もその光景を何となく見ている。
機嫌悪く縁の服や髪を引っ張りぐずる。
縁は教室の時計を見て、そろそろ九時になるし、お腹いっぱい食べた寧結に眠さが来たかもと抱きかかえた。
肩に顎を乗せ背中をポンポンしながら作業していく。それを見ている女子達は、なんて器用な人なんだと感心するばかり。
縁の肩で口を開けたり閉じたりして、ガクン、ガクンと顎で遊んでいた寧結であったが、だんだんと目がうつろになり、そしていつのまにかスヤスヤと寝息を立て始めた。
それに気づいた縁は、肩に乗った顎を外し、左腕と胸で抱えながら、寧結の折れ曲がった両足を自分の胴体に巻くようにして後ろへと流した。腕はだらりと垂れているが、向かい合って抱きついているような形で寝かしている。
クラスの女子達は、寧結が羨ましくてしょうがない。優しく縁に抱かれて眠っているその姿を、自分と置き換えて見てく。女子はそういう妄想をするのが得意だ。そして、幼かった頃の自分の経験なども思いだし、あったかい気持ちにもなったりする。
しばらく作業していた縁だが、寧結の寝息や鼓動に感化され、コクリ、コクリと頷き始めた。途中で目覚めては止まっていた手を動かし、また首が落ちる。
体も左右に揺れ始め、本当に危なっかしい。
するといち早く行動に移したのは百瀬であった。縁の真横にピタリとくっ付き体を支える。それを見た園江も空いている反対側へと滑り込んだ。
出遅れた他の女子達は、全身でしまったと悔しがっている。
支えが出来たことで、縁は一気に眠りへと落ちてしまった。左側についた百瀬の方へと倒れていく。それは偶然ではなく寧結の重さというか抱き方の問題だ。
百瀬は、寧結の足が縁の下敷きにならないようにポジションを変え、安全な形に変えてから、今度は縁を自分の膝とお腹で抱えた。いわゆる膝枕だ。
せっかく傍まで来た園江も悔しがる。どうにか縁の体を支えたいと。それを見ている女子達も苛立ちを隠せない。
こういうことが無ければないで我慢できるが、別の者が良い思いをしているのは耐え難い。しかも、自分さえもっと早く動いていればその場所を確実にゲット出来ていたのだからと。
疲れた体を百瀬に預け、甘えるように眠る縁。女子達は教室を歩き回りながら、縁の寝顔をまじまじと見ていく。男子の寝顔などあまり見たことがない。
それもリアルな。
スヤスヤと気持ちよさそうだ。百瀬は縁の頭や髪を撫でながら、何とも言えない喜びを感じていた。
普段の縁しか知らない女子達。それが子供のように無防備で寝ている。
十五分ほど経って、その異様な雰囲気の教室に吉原先生と折紙先生が現れた。
「床並君、寧結ちゃんのパンツ……。あら? 床並君寝ちゃったの?」
折紙先生が百瀬の膝で寝ている縁を覗く。
「まさか、無理矢理お酒とか飲ましてないでしょうね?」
吉原先生が少しキツイ目で女子達を疑う。普通なら、そんな疑いをかけられればおかしいと思うところだが、女子達は馬鹿真面目に違うと言い訳する。
その光景を見ていると、もしかして女子はそれくらいの策略は簡単にするのかと疑いそうになる。
遠くの方から人のざわめきがして、それが徐々に大きくなり、耳の中でボワンと広がる。言葉や足音、壁に当たる反響、それらが徐々に夢から目覚めさせる。
目が覚めたのは寧結の方であった。
百瀬の柔らかな膝に沈む縁は、寧結よりもぐっすりだ。しかし、中途半端に目覚めた寧結がその苛立ちを縁に向けた。
「痛ッ。イタタ……」
薄目を開ける縁。少し暴れる寧結をいつものように抱きしめて寝かしつけようと寝ぼけるが、ざわめきと教室の光と固い床、そして、百瀬の柔らかな膝にビックリして起きた。
「ご、ごめん。もしかして俺、気絶したの?」
「気絶ではないよ。疲れてたから眠っちゃったみたい」
説明を受ける縁だが、まだ声が遠くで聞こえる。
エコーのように耳の奥に響く感じの音。寧結も同じような感じでぐずる。
少しずつ目覚めていく縁は、時計を見て予定していたお風呂を思い出した。
家でもたまにこんなことがある。
夕方に眠たくて寝てしまい、九時過ぎに起きてお風呂を思い出して入るといったポカをたまにやらかしてしまう。
眠たいし、入るとお湯の刺激で眠気が薄れるので入りたくないのだが、それでは汗だくになって遊び回る寧結の体は臭くてしょうがない。子供がどれほど汗をかいてびっしょりになるか知っていれば、そこは横着せずに入らなきゃとなる。
「あ、お風呂入らないと。寧結、お風呂行くぞ」
「ぼ? とろりも。さんじくり。……くっち。ふぅ~ん~。うぅううぅ」
完全に寝ぼけている。機嫌は最悪まではいかないが、無理に話しかければ最悪となる。したがって、縁はこのまま部室へと向かい、自分の着替えを取ってそのまま風呂へと向かうことにした。
寧結を抱きかかえたまま歩く。
着替えなどの荷物を取り、部活後に使う風呂場へと向かう間、百瀬や園江が寧結に、合宿の時みたく一緒に入ろうと誘うが、寧結の意識まで届いていない。
折紙先生や吉原先生が、大人の私が責任を持って入れるからと言い、また二人でどっちが寧結と入るかを奪い合っていた。
そんなやり取りの中、女子更衣室と男子更衣室とに分かれる廊下へと来た。だがそこには予想だにしない光景があった。いや、よく考えれば予想できる光景だ。
それは、女子更衣室までの廊下に、女子達がずらりと並んでいるのだ。その全てがお風呂待ち。
お風呂場は男子女子共にそこそこ広く、ここまで並ばずに済むはずだが、そうなった理由には、友達だけでとか、同じクラスだけでとか、いわゆるグループごとに分かれて入っているのだ。
そんなことが起きたのは、多分、最初の方で誰かが、学年別に分かれたりしたことがその要因であり、始まり。
きっと先輩に混じるのを遠慮というか敬遠したとかがきっかけだろう。
そして並んでいることから、次第にもっと細かな分かれ方に発展したわけだ。
「これ、どういうこと? 入れないじゃない。どうする? あ、温水プールの方にもお風呂あったわよね?」
「そっちも行列に決まっているでしょ」
折紙先生と吉原先生がお手上げ状態になる。どこへ行っても、女子のトイレやお風呂などの場所はいつも混んでいる。そして男の方は……なぜか比べ物にならないほどガラガラ。
「俺、自分で妹を入れますんで。妹も寝ぼけてるし、こうゆう状況でお風呂入れる時は、すごくぐずるから。やっぱり俺が入れないとまずいというか」
「そぉなの? この場合は仕方ないわね。遅くなると可哀そうだし」
状況的にそれしかないと諦め、それらは女子達の後ろへと並ぶ。縁はガラガラの廊下を、寧結を抱っこして歩いて行った。
少し離れたとこを曲がり、男子更衣室へと入る。
「あっ、床並君。え? 今日お泊り組み。知らなかった」
「部長~。部活来なかったからいないと思ってた。床並君いないのに、校内放送で呼び出しの嵐ジャンって笑ってたけど――」
濱野と裏画が二人して部活終わりのお風呂に入っていたらしい。
とはいえこの時間からして二人も泊まり組だ。
さっぱりした顔で、持参したドリンクを飲んでいる。
「床並君が入るなら、俺、もう一回入ろうかな?」
「バカ、よく見ろ裏画、寧結ちゃんも一緒だろ。レディーがいるのに入るのは駄目にきまってるだろアホだな。それより、ここで他のヤツが間違えて入らないように見張ってようぜ。なっ」
濱野はそういうと、縁と寧結に気を使って背を向けた。見てないから早く服脱いでお風呂に入っておいでと。縁も「ありがとう」とバスルームへ入っていく。
寧結をゆっくりと床におろし、シャワーの具合をみる。何度も座り込もうとする寧結を立たせながら、調節したシャワーをかけた。
「む~ぅ。んぅぅ。やぁ~めぇ~ろぉ~。うぐぅぅぅ」
聖水をかけられた悪魔のように、シャワーの刺激を嫌う寧結。縁自身もその感覚が分からない訳でもない。寝ぼけた体には辛いようだ。
少しずつ目覚めていく二人。体の汗や汚れを落とした後、二人で湯船へ向かう。
「兄ぃ。あのさ、ここドコ?」
「ここか? 学校だよ。学校のお風呂。ほら今日はお泊りすることになっただろ」
「知らない。何言ってるか分からない。ねぇ、帰ろうよ。お家で寝たいし」
「そんなこと無理だろ。俺は平気でも、逆にお前が嫌がるだろうが。今から電車乗って帰るか? 別にまだ終電じゃないし、二、三十分で帰れるぞ多分」
「ああうるさい。なんか変なこと言わないで。き~き~たくなぁい。なんなの~?」
完全にぐずっている。理由もなさそうだ。ただ、起こしてはいけないモノを無理矢理呼び覚ました感じ。
「あ~なんかムカつくからぁ、ここでウンコしちゃおうっと」
「ぎゃろ。嘘だろ? やめろよな寧結。そんなことしたら……」
「じゃあおしっこならいい? いいよね?」
「ダメに決まってるだろ。あ、萌生ちゃん?」
縁が不意に発した『萌生ちゃん』の言葉に寧結の暴走が少しだけ治まる。
究極の呪文。
とはいえ、元々寧結が本気であるならとっくに無言で漏らしている。
これは善悪をそれなりに理解している状況での、ぐずりなのだ。無理矢理夢から起こされることへの抵抗。
縁はすぐさま寧結を湯船から出し、体を洗い始めた。全身泡だらけになりながら二人の攻防は続く。
寧結にとってこの洗いが最もキツイ。本当に目が覚めてしまう。
「もう。萌生ちゃん居ないジャン。騙したのね兄ぃ。なんで? 私を騙していいの? そんなことしてると、あとで大変だからね」
「はいはい。すぐ洗い終えるから」
寧結は縁の足の甲を踏みつけるゲームを始める。縁は足を引くと危ないので、それをゆっくりと避けていく。
「よし、終わりっと。そんじゃ後は最後に温まって上がり湯かけるだけ」
「え~もう熱いよ。出ようよ。じゃないとウンコするよ」
「わ~かったよ。そんじゃほら、最後にもう一度シャワーな」
ようやく二人の風呂タイムが終わった。風呂場から更衣室へと出ると、何人かの男子が爆笑して転げまわっていた。
それは寧結に苦戦する縁が、本当に大変そうだから。
待っていた数人が更衣室から出て、また濱野と裏画だけが後ろ向きで入口付近に残った。
寧結の体を拭き、次いで頭を拭く縁。その刺激も嫌なのか避ける寧結。
普通の幼い子と違い、寧結の避けは縁でも厄介なレベル。と、寧結にパンツをはかせた所で、焦れた寧結がバスタオルを被ったまま裸足で外へと駆けだしていってしまった。せっかくお風呂に入ったというのに足の裏は真っ黒になるに違いない。それどころかパンツ一丁にバスタオル姿。
縁はヤバイと全身濡れたまま、腰回りだけ拭き、どうにかパンツをはいて、腰にバスタオルを巻くと、逃げ出した寧結を追いかける。
「寧結、どこだ? 待て。ちょっと? マジか?」
男子更衣室から飛び出した縁に、お風呂待ちしていた女子達は声も出ない。全身が硬直するほど驚いている。本当にびっくりしている。
縁は足の裏を真っ黒にしながら駆け抜けていく。その後ろを濱野と裏画も慌てて追いかけていく。
女子達は縁の筋張った後姿を見ながら「どうしたの?」と時間差で驚いた。
部活エリアではなく、校舎側へと侵入した寧結。それを必死に追う縁。
頼りは、生徒達の悲鳴だけ。どこからともなく「ぎゃぁ~お化け~」と聞こえてくる。
そしてこれがのちに、進卵学園の怪談として語られていく。
文化祭の前夜に現れた幼い浮遊霊。真っ白い布を被り髪をびしょびしょに濡らし、狂ったようなテンションで生徒達の真横を駆け抜けていく。
絶対に居るはずのない、幼い子。
それを目撃した生徒達がどれ程怖かったことか想像すると……、可哀そう。
縁は十五分ほどして寧結を追い詰めた。すり抜けようとする寧結を抱きかかえてもう一度風呂場へと戻る。
縁の胸で暴れる小悪魔。そして風呂へと着くと、汗と冷や汗、それと汚れきった足をもう一度洗い流し、今度こそしっかりと着替えを済ませた。
「お疲れ様。大変だったわね」
縁の胸でうつらうつらしている寧結。一時は目覚めたが、今度は、走り疲れたこととシャワーの温かさに眠気が増したようだ。そして縁に抱きかかえられて安心して体を任せている。まだ少し起きてはいるが、それこそ時間の問題だ。
縁を囲む女子達は、普段とは違う髪をかき上げた状態の縁に、先程見た半裸の姿が重なり、口に出せないような気持ちに満ちていた。
「そういえば、眠るとこってありましたっけ?」
「そうね、保健室とかかな?」
縁の問に答えた吉原先生を、濱野と裏画が止める。
「保健室は駄目だ。もう先客がいて満員」
濱野と裏画は、寧結を探し回っている時に、保健室で不良グループの何人かが、異性と如何わしいことをしている所に遭遇してしまっていた。
縁率いる剣道部員であり、今日、濱野と市来が喧嘩したことなどから、何事もなく穏便に済んだが、一般の生徒が保健室に踏み込んでいたらシャレにならない制裁を受けていた違いない。なにせ裸の男女がお祭りの真っ最中だったのだから。
「そうね。お風呂であの込み具合だし、さすがに無理よね。それじゃ剣道場か美術室ってことね。さすがに部室は嫌でしょ?」
「美術室ってさ、絵の具臭いでしょう。どう考えても剣道場じゃないかしら」
ちくりと針を刺し込みながら吉原先生がいう。しかし、匂いがどうのと言われれば、皆も何となくそうなのかなと頷くしかない。そして多数決で剣道場となった。
折紙先生と吉原先生は、先生特権を使い、宿直室などから数枚の布団を用意し、寧結と縁に特別に与えた。もちろん無理矢理泊まらせたわけだし、寧結も幼いので当然だが、満場一致でそう決まった。問題は残りの布団に誰がどう寝るかだ。
「俺達はいいや。クラスに行かないといけないし。少し作業が残ってるから」
「あらそう。それじゃ頑張ってね」
濱野と裏画はあっけなく弾かれた。二人が言ってることがホントかどうかは別として、どの道二人が柔らかな布団で眠ることはない。
剣道場を出ると、道場内を覗くF組の女子達の姿があった。縁の半裸を目撃した後で、必死に探してここへと辿り着いたよう。
「ちょっと、これは先生達が用意したんだからさ、先生はまずシードでしょ」
吉原先生の強引な話に折紙先生も「元々、先生用の布団だし」と付け加えた。
先生とは凄く大人なイメージがあるが、あまり一般人と変わらない意見を持っているようだ。普通なら生徒に譲るのかなと思われるが、一ミリも譲らない。
それどころかパワー論破した。
「これ、布団をくっ付けて敷いた方がさ、なんだかんだで寝れる人数増えるンじゃないの」
皆のやり取りや声が、縁には既に遠く感じていた。眠いのだ。
話し合いの中、布団が敷かれると、縁はその端の方へと寝転がる。布団を必死に運んだ濱野と裏画がそこに居ないということにも気付いてない。
「床並君? 床並君、ほら、もっと真ん中の方で寝て」
誰かの声に、最後の気力をふりしぼり、寧結共々動く。そしてそのまま眠りについた。寧結に毛布を掛けたまま縁は横を向いて寝ている。そこに吉原先生が毛布を持って近づき、優しく、姉のように毛布をかけた。
「もう、こういう所はまだまだ子供よね。ホント、私がいないとダメね」自分に言い聞かせ、酔いしれる吉原先生。
「エセ顧問が。それよりそこは、私が寝る場所だから、吉原先生は反対側に行って下さいよ」
そんなやり取りが続き、時刻は文化祭へと移り変わっていった。




