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5話 はじめての外出

「そろそろ外を見てきますか」


 ダンジョンコアを置いたままでの外出は怖いので、俺の身体に同化させる。するっと俺の身体に大きな球体が入ってしまった。


 ダンジョンマスターとコアの同化のデメリットはいくつかある。

 同化中はダンジョン内にダンジョンマスターがいないと、ダンジョンとして機能できず瘴気を吸収できない。つまり、DPが発生しない。

 だけどこれはこのダンジョンがまだ小さすぎて、発生するDPが1にも満たないから気にするほどのことでもない。


 問題は、同化中にダンジョンマスターが死亡したら復活できないということ。

 ……初心者キャンペーンでの無料復活にもこれが適用されたら怖いな。

 だけどコアを眷属もいないダンジョンに残していく方がもっと怖い。

 この身体は小人だけどチート性能なはずだ。死ににくいと信じてがんばるしかない。



「げっ、通路は壁、天井、床とも土かよ」


 オプションで設定しないと現地の素材のままなのか。

 コアルームの通路よりの床に足拭き用のハンドタオルを置いて通路に出る。足の裏には土の感触。早く靴がほしい。


 真っ暗な通路を進むと扉がある。それを開けると大きな部屋に出た。ダンジョン作成時に無料でついてきた侵入者迎撃部屋だ。

 DPなくてルームガーダーはいないけどな。


 天井にライト魔法をセット。思ったよりもでかいな。ここは小人サイズじゃない?

 このダンジョン、地下1メートルぐらいかと思ったけどもうちょっと深いとこにあるのかも。

 コアルームと同じく、壁は石づくりだった。


「ボスのいないボス部屋は悲しいなー」


 のんきに呟きながら、その部屋を素通り。

 出口、侵入者側の入り口にもやはり扉が設置してある。このドアなら知能の低い野生動物は開けられないと期待しているよ。


 地図スキルで使えるマップウィンドウをオープン。

 俺の移動に合わせてウィンドウも動く。網膜投影?

 自分で作ったダンジョンはマッピングが完了しているらしい。罠の場所もしっかり記入されている。

 地図スキル持ち対策に罠の位置は定期的に変更した方がいいのかもしれん。



 罠を避けてダンジョンの出口に向かう。けっこう傾斜があるな。

 6分の1サイズの小人には疲れるかもと思っていたが、ステータスがチートなのでそんなことはなかった。


 出口の外は草むらだった。

 草が俺の身長ぐらいあるけどさ!


 この長い草を鑑定してみる。



『イネ科の雑草

 名前はまだない     』



 ……それだけ?

 鑑定スキルのレベルが上がれば解説も増えるんだろうか?

 ともあれ、これは使える。使えるけど、ダンジョン入り口を隠す役にも立つので採取はもっと離れてからだ。


「俺のダンジョンは……」


 獣の巣穴にしか見えないはずのダンジョン入り口も鑑定する。



『ダンジョン

 名前はまだない     』



「ふぉっ!?」


 俺のダンジョンも解説いっしょかよ! しかもダンジョンってばれてるじゃん。

 これはマズイと鑑定妨害スキルで“巣穴”に変更した。



『巣穴

 なにかの巣穴      』



 鑑定レベルが高いやつには無意味だけど、やらないよりマシだ。

 あとで付近にいる動物の巣穴を鑑定してそれと同じにしよう。




 20分くらい歩いた。ダンジョンからは離れたかな?

 自分の身長ぐらいの草を掻き分けながらの移動なので、景色は全く楽しんでいない。

 感知スキルには反応があるけどそれを避けて動いたし、隠形スキルもいい仕事をしていたみたいで俺より大きな生き物とは接触せず。

 鳴き声は聴こえてるんだけどな。


 そろそろいいかと、鑑定さんいわくイネ科の雑草を採取してみる。

 ダンジョン付近のと同じ種類だよな?

 アイテムボックスからカッターナイフを取り出す。前世の品なので大きい。両手剣サイズか。


 カッターの刃を出してネジを締めて刃が動かなくしてから、イネ科の雑草に斬りつけた。

 たいした抵抗もなく、スパッと切断。斬った草を持ってみる。軽いな。切断面からは白い汁がにじみ出している。


「美味そうではないな」


 それでも使えると雑草をアイテムボックスに収納。ちゃんとしまえた。

 生えたままの草にも試したがそっちは収納できない。違いはなんだろう?


 1本では足りないので雑草を斬りまくる。戦闘の練習も兼ねてるつもりだが、カッターナイフじゃなあ。

 気づけば周囲をかなり刈り込んでいた。




 刈り取った草を収納する。100本以上は収穫したはずだ。

 だが、採取に夢中になりすぎていたらしい。

 一息ついて感知スキルを使い、やっとそいつに気づく俺。


 そいつは少し離れた地面に倒れていて動かない。草と同じ色で感知スキルを使わなければ気づかなかったと思う。

 鑑定結果はこれ。



『オオキリギリスの仲間

 名前はまだない     』



 またそれか!

 さっきから聴こえていた「ギーッチョ」はこいつらの鳴き声か。

 てか、でかいな!

 俺よりも大きい。この身体になったばかりで目測がいい加減だけど40センチぐらいか?


 前世のキリギリスもこんな大きなのはいなかったよな。

 で、感知に反応してるってことは生きてるよな、こいつ。

 キリギリスって擬死したっけ? バッタとか食うのは覚えているんだけど。キリギリスとコオロギって大きい種類は凶悪だったような。


 あれ? このサイズだともしかして俺も危険? 捕食対象?


「ファイヤーニードル!」


 近づくのも怖いので魔法で攻撃する。

 針というには大きな、俺の腕ぐらいの炎が巨大キリギリスに命中。やつは死んだフリを止めて、大きく跳ね上がった。かなり高く跳ぶなあ。


 あっ、そのまま逃げていってしまった。

 翅が燃えていたが延焼しなければいいけど。

 慌ててたから使っちゃったけど、次は火魔法はやめておこう。


 チートだから戦えると思ってたのにその場になると怖かった。相手が巨大昆虫ってのもあったけどさ。

 戦闘訓練してから出直した方がよさそうだ。もう夕方のようだしダンジョン(おうち)に帰ろう。


 マップで道を確認しながら帰る途中、転移スキルも覚えていたのを思いだし、ダンジョンに転移して帰った。



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