4話 およそ3
コアルームに設置されたPCで情報収集を始める。
DP目的でインストールした検索アプリで適当に検索。5回以上検索しないとDPがもらえない。しかも貰えるのは早くて3日後。
きっとこの検索データを集めてなにかに使うんだろう。エロ目的の検索の時は検索アプリは使わないようにしないと。
検索に引っかかったのはブログと掲示板が多い。
ダンジョンマスター関係者しかこのネットワークは利用してないみたいだ。
この世界のダンジョン以外の文明レベルってどんなもんなんだろう。しばらく人里には近づかないつもりだから関係はないけどさ。
スキル関係はよさそうなまとめサイトが見つかったのでブックマークに登録しておく。
「ガラテアスキルの情報はなし、か」
転生時に貰えるDPは前世の行いによって左右されてたみたいだけど、あの必要DPじゃ入手したやつはいないのかもしれない。
お勧めのアイテムを紹介しているブログでは、画像と一緒にリンクが張られている。
クリックすると通販ページが開く。
ダンジョンマスターもアフィリエイトがあるんだな。
ブログをいくつか見ていたら、ダンジョンマスターランキングがあることを知る。
「毎月ランキングがあって上位はDPや景品が貰えるのか。って、これも全てのダンジョンマスターじゃなくてカード作成者が対象か」
ページのリンクからダンジョンカードの申し込みをしたら、このサイトを作ったダンマスに紹介料っていくらかDPが貰えるんだろう。
ギルドのメンバー募集のページもあった。
吸血鬼ギルドや獣人ギルドなんて種族別のギルドもあるのか。
小人族ギルドは当然ながらなかった。
小人のダンジョンマスターの情報も無い。
小人ダンマスはいないか、いてもバグを修正されないように秘匿してるか、だろうな。
だけど、小人を眷属にしているダンマスはいる。そのおかげで重要なサービスがわかった。
小人用じゃない普通サイズのアイテムでもDPを支払えば小人用サイズに縮小してくれるらしい。これはありがたい。
魔法スキルかな? あるんなら縮小させるスキルを俺も覚えたい。
「それにしても重過ぎる」
旧型PCでの閲覧は表示に時間がかかり、これ以上はストレスがたまるだけと諦めて俺のダンジョンの確認をすることにする。
コアルームと台所、トイレ、風呂場は通路なしで直接隣接。トイレと風呂場には扉がつけてある。
まずはキッチン。やはり真っ暗だったので天井にライト魔法を設置。数時間は明るいはずだ。
「コンロちっちぇー」
カセットコンロとたいしてかわらないな、これ。
換気扇は……うん。ちゃんと動く。ファンの向こう側はどうなっているか全くわからないけど。
シンクは普通? 蛇口はないけどさ。
鍋も食器も今の俺、小人サイズのは持ってないので、なけなしのDPで購入する。ついでに蛇口付きのポリタンクも買った。
トイレは壁にタンクが設置されていて、そのタンクに水魔法で給水すればいいらしい。
トイレットペーパーもついてなかったので購入するしかなかった。前世のアイテムで持ってくればよかったよ。
ま、6倍サイズじゃ使いにくいか。
小人用なので購入物は安かったけど残りDPはついに、およそ3。
いっそのこと使い切っちゃうか、HAHAHAHA!
そんな無茶する勇気はない。
風呂場は床に排水口があるだけの部屋だ。
さっそく、温泉作製スキルを使ってみる。部屋の真ん中よりは端にあった方がいいかな。
「この辺か。ええと……湧きでよ、温泉!」
おお!
床に穴が開いて、そこから湯気とともに液体が溢れ出してくる。手をつけてみると温かい。うん。ちゃんと温泉のようだ。
ただ、浴槽は創ってくれないらしい。別に用意するべきだったみたいだ。
「某お父さんみたいに前世の食器を使うか?」
俺が入れるぐらいの丸い穴を見ながらそう考える。
とりあえずはこれで我慢しよう。まだMPはあるけど、戦いに備えてとっておかなくてはいけない。
温泉作製スキルはレベルが上がれば、成分調整もできるようになるらしいが今はただのお湯。特に臭いもない無色透明な液体である。
レベル1では温度調節しかできないようだ。
湧出量はかなりのもので、このままだと風呂場からお湯が溢れ出しそうになったので、温泉の湧出をストップさせた。
排水まわりも再設計する必要があるな。床に角度をつけて、排水溝もいるか。
今はDPが心許ないので残念ながら後回しだ。
足湯を少しだけ楽しんでから、風呂場を出る。
あ、タオルがないな。
だけど“前世のアイテム”に入れておいたので問題はない。
前世のアイテムはアイテムボックス内に収納されている。
アイテムボックスも拡張してあるので余裕で全部入っているのだ。
ダンマス知識に従ってアイテムボックススキルを使う。念じれば出したいものが取り出せる、か。
ハンドタオルを取り出して足を拭く。でかいな。6倍差ってこんなに違うのか。
それで思いついてバスタオルをコアルームに敷いてみた。うん、絨毯代わりになりそうだ。
生活空間はこんなもんだろうか。
「待てよ」
ふと閃いて台所のポリタンクに温泉作製をしてみる。
……できてしまった。設定した通りの冷たい温度だ。味も悪くない。
もしかして水魔法いらなかった?
トイレのタンクにも温泉をセット。
「これ、流しっぱなしか止めるしかないのか」
使ったMPに応じた量を湧出したら止まるらしい。溢れた分は無駄に流れていく。すごい無駄遣いをしている気がした。
生まれ変わっても俺は貧乏性のようだ。