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38話 氣

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本日2話目です(1話目はまとめ)

 もう朝か。

 昨日は疲れた。

 ダンジョンの住人が増えて、それが美少女なのは嬉しいけどさ。


 セーフルームで寝ていたのは俺1人。

 コルノとレヴィアは昨日買ったベッドで寝ている。

 一緒に寝ちゃうと、さすがに我慢できるか自信がなかったので丁重にお断りさせてもらった。


「ふぁああ……」

 欠伸をしながらトイレに入る。

 使用者が増加したのでトイレも増やしてあり、レヴィアたんの要望で温水洗浄便座もつけた。

 ダンジョンマスター乙姫のところで見たことがあったらしい。

 ただ、小人(こびと)用ではなかったので使ったことはなく、気になっていたそうだ。「水の支配者として使い心地を知らなければいけない」と言っていたが、そんなもんかね。

 ……リヴァイアサン時のトイレはどうしているかは気になるけど聞かない方がいいよな、やっぱり。



 これも増設した洗面所で顔を洗って大きな部屋に移動する。この部屋は小人さん(レプラコーン)用に用意した作業部屋だ。扉もついていて中は覗けないようになっている。


 中には小人サイズのノートパソコンと、普通の人間サイズの中古パソコンやその他が置かれていた。


「うん。いい仕事してる」


 今回小人魔法には複製の素材となるアイテムをオークションで格安で購入するようにメモをつけて頼んでいたのだ。

 もちろん中古で構わない。

 ……それでもわがダンジョンに最初から用意されていた旧式(オンボロ)PCよりも新しい製品だったので微妙に腹が立ったが。

 小人用だからって運営(かみさま)は特に処分に困った在庫を縮小(ちっちゃく)してうちに回したんじゃないだろうな?



 台所もリニューアルした。

 わずかな期間だけど、たぶんダンジョン内の生活空間で一番利用した場所が変わるとちょっと感慨深いものがあるな。


 まず、台所自体の大型化。

 コンロを魔力対応の大型の物にした。ガスではなく、MPで火が燃える。ちょっと高かったけど、これでガス代がいらなくなるので長い目で見れば節約になるだろう。オーブンも魔力対応のを追加した。

 シンクも増設。俺の温泉作製を有効活用しやすくなったはずだ。


 さらにコンロ、オーブン、シンクは普通の、小人サイズじゃないやつもつけた。台所が大きくなったのはこれが理由だ。

 マグロのためである。どうしてもカブト焼きをしたかったので、つい買ってしまった。小人サイズのコンロじゃできないでしょ。そのため、コンロもオーブンも人間サイズでもかなりの大型の物だったり。

 後悔はしていない。他にも使うことがあるだろうしさ。


 新たなキッチンで鼻歌まじりに朝食を用意する。

 マグロは半身から捌くのに時間がかかりそうなので夕食に使うつもりだ。

 メニューはハムサンド。使ってるのはレタスじゃなくて複製キャベツだけどね。

 それと卵スープを用意する。食材は複製で用意済みだ。


『料理スキルがLV3になりました』


 ありがたい。

 料理スキルのおかげか、劣化してるはずの複製食材なのに前世よりも味がいい気がしてるんだよね。




「……」


 朝食時、なぜかレヴィアが不機嫌だった。


「どうした? なにか嫌いなものでもあったか?」


 それとも魚がなかったのがまずかったかな。普段リヴァイアサンがなにを食べているか、聞いておけばよかった。


「いいえ。味も満足のいくものよ。ただ……」


「ただ?」


「食事の用意は私がするつもりだったのに」


 そう恨みがましく俺を見る。

 そんな目でも可愛らしい瞳なんだからずるい生き物だ。


「私が裸エプロンに躊躇してる間に作ってしまうなんて卑怯よ!」


 ぶはっ。

 いきなりなにを言うのさ。

 飲んでいたコーヒーにむせてしまったじゃないか!


「は、裸エプロン?」


「乙姫に聞いたわ。前世のあなたたちの国は、新婚は料理時にこれを着用しないといけないという決まりがあるのでしょう?」


「そうなの? ボクも裸エプロン、する?」


「ないから! そんな法律ないから! それに新婚じゃないし!」


 乙姫ェ、いったいなにを吹き込んでくれてんだよ。

 コルノがいなかったら、すぐにレヴィアに手を出しそうになるじゃないか。

 ……そのためか?

 レヴィアで遊んでいるんじゃなくて、レヴィアに既成事実を作らせるためにそう教えたのかも。意外と友人思いなのかもしれない。


 おっさんの裸エプ好きを見抜くとはなんて恐ろしい。さすがダンジョンマスターか。

 裸エプロン……本当に結婚したら是非やってもらいたい!

 ただ料理時は危ないので別の場所でね。



「やはり初夜を済ませないと新婚とは言えないのね」


「いや、あのね」


「天井のシミを数えてるうちに終わると聞いたけれど、ここの天井にシミがないのがいけないのね」


 乙姫ェ……。

 あと、天井のシミってのは顔に見えてきそうなのでやめて下さい。


「ボクも天井のシミがあれば我慢できたのかな?」


「違うから! そんな初夜は嫌だ!」


 レヴィアたんは長生きしてるわりにそっちの方はあまり詳しくない、というか乙姫によって偏った知識を植え付けられてしまっているようだ。


「夜這いに行こうとしたのに抱きついているコルノが離してくれないのにもまいったわ」


「レヴィアちゃんスベスベで、やわらかくて、いいにおいがするんだもん」


 昨晩、レヴィアとコルノは一緒のベッドで寝た。

 ベッドも布団類もちゃんと複製して2つあったんだけど、寂しかったんだろうか。


「夜這いもやめてくれ」


「それならいつ枕を重ねるのかしら?」


「ん? 枕を重ねるってなに?」


「まぐわ」


「言わせねぇよ! なに教えようとしてるんだよ! そんなことは結婚してからだから!」


 今日がんばるエネルギーを補充するはずの朝食でなぜか疲れてしまった。

 あとでレヴィアにも一般常識を教える必要があるか。

 普通サイズのコンセントもつけたから前世のノートパソコンもやっと使えるようになったんで、なにかわかりやすいアニメでも見せたいけど、そんなのあったっけかな?




 アシュラに食事(エサ)をあげにいくと、プレーリーウルフの死体はまだ残っていた。1匹まるごとは多かったか。


「こ、こんな生き物がいるの?」


「猫だ。可愛いだろう?」


 正確には剣歯猫(サーベルキャット)だけどね。


「可愛らしいなんてものじゃないわ! このあざとい造形、このモフモフの手触り、この……」


 アシュラをなでながらテンションが上がってるのが丸わかりのレヴィアたん。普通の猫ならビビッて逃げそうなぐらいの興奮だが、アシュラはおとなしくされるがままになっている。

 よくできた猫である。猫喫茶で働けるだろう。きっと売れっ子になるに違いない。


「みゃぁ」


「ウミネコのような鳴き声も素晴らしいわ!」


「猫の鳴き声に似ているから海猫なんだよ」


 レヴィアとコルノがアシュラと遊んでいる間にトイレの砂を複製スキルで新品に変える。量も減った気がしないので、糞や尿と砂の変換効率はいいのかな?




 コルノの作業場と化してしまった4層ボス部屋でゴーレムを量産する。

 土を回収しに1層にも寄ってきたが、人手、いやゴレ手が増えた分、掘られた土の量も多かった。……あと虫の死体も。


「レプリケーション! ……駄目か」


「白いね」


 レヴィアから聞いた情報でCPのことがわかった。

 CPは“気”のポイント。氣かもしれない。KPじゃないの、と思ったが気はchiって綴ることもあるらしい。もうチャクラでいいような。


 CPはスキルや行動時に使用することができ、成功率や成果が上昇する。また、剣技などの“(アーツ)”ではMPのかわりにCPを消費して必殺技が出せるらしい。

 魔力じゃなくて気力で出るのか。納得いくような、いかないような。


 それで、複製ファンドが赤くなったのはCPのせいかと思ったんだけど、どうやら違うようだ。


「チートだったかしら? フーマのスキルはまさにそれね」


「存在自体がチートな最強生物に言われても」


 リヴァイアサンの方が絶対チートでしょ!

 俺、小人だから弱いしさ。

 これから強くなるつもりではあるけどね。



 複製した素体を使って量産型ゴーレムをまた20体ほど追加した。

 コルノへの色っぽい魔力供与も行う。

 抱きしめたいけど必死に我慢していると、レヴィアが期待した目でこっちを見ていた。


「私にもしてくれないかしら?」


「こ、これからMPを使うとこに行くから駄目!」


 コルノみたいな反応をレヴィアたんまでがしたら、おっさん耐えられなくなるかもしれないでしょうが!


「コルノだけずるいわ」


「レヴィアはMP使ってないだろう?」


「ならば、次は私がコルノに魔力を譲渡するから、フーマは私に譲渡なさい」


「ええーっ。……レヴィアちゃんからのも悪くない、かな?」


 いかん!

 コルノが開けてはいけない扉を開けそうな気がする。


「か、帰ってきたらレヴィアにもするからさ」


「本当ね? 約束よ」


「う、うん」


 約束してしまった。

 まあいいか。MP譲渡だけなら問題はあるまい。

 ……我慢できるよな?

 手を出したら逃げられないことを忘れないようにしないと。




 新造ゴーレムを1層の現場に転移で運ぶ。

 コルノだけでなくレヴィアまで密着してくるとは、なんて幸せな拷問だ。

 だが耐えねばならん。ロリもいける自分が恨めしい。

 転移は一瞬なんで、耐える時間が短くて残念だけど助かる。


 ゴータローたちに新人を任せる。

 む。昨日造った量産ゴーレムたちの動きがちょっと違う?

 まさかあのランニングの効果があったのだろうか。


 ゴーレムたちの働きぶりを軽く確認して、コアルームに転移。

 ゴーレムたちがいないので2人に集中できてしまうのも考え物である。

 やぁらかぁい!


 その後はコルノとレヴィアを残して“未熟者のダンジョン”に挑戦する。

 といっても攻略が目的じゃなくて素材集めが目的だけどな。


 食材複製のための素材であるゴブリンの死体ではなく、ダンジョン防衛のためにゴーレムたちの武器に使えるよう、キャプテンゴブリンの剣の収集が目的だ。


 あと、俺のスキル強化。

 訓練よりも実戦の方がスキルはレベルアップするからね。


「いろいろ試させてもらうぜ」


 ゴブリンさんごめんなさい。

 戦闘狂ではないけど、ここでスッキリして帰らないと危険だからさ。


 駆逐させてもらいます。



主人公がはっちゃけるはずが朝食が長くなりすぎた……


ウォシュ○ットは登録商標なので温水洗浄便座にしときます

2話でも使っていたのでそっちも修正しました

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