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32話 DS

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 結局、複製したゴーレム素体20体をゴーレムにするまでに、さらに2回ほどコルノにMP譲渡した。

 しんどかったよ、精神的にさ。

 よく耐えたと自分で自分を褒める。


「ボクも“MP再生”と“MP倍増”のスキルを覚えたもんね。“石化”と“ゴーレム”スキルもレベルが上がったよ」


 MP関連の2つはMPを大量消費すると習得できるっぽいな。となると、HPやCPも条件は同じか。

 それと、ガラテアで本物になった時に下がってしまったスキルも上がりやすいみたいだね。


 ただ、MP倍増スキルのおかげでコルノの最大MPが倍になった3度目のMP譲渡はその分、渡すMPも増えてしまい……けっこうやばかった。

 おっさんは直後にトイレに行く羽目になっちゃったよ。


 できあがったゴーレムたちは、複製したから当然だがみんな同じ外見で区別がつかない。

 こいつらも自我は持っていないようだ。


「武器もちゃんと持ったか? それじゃ、現場に連れてくから寄ってくれ」


「うん」


 うぉっ! MP譲渡で恐怖心が薄れたのか、コルノの方から密着してきてくれた。とても嬉しい。

 嬉しいけど、さっきの行為を思い出してしまう。ゴーレムたちが近づいてきたのを確認して急いで1層に転移した。


『転移スキルがレベル3になりました』


 ふう、焦って転移しちゃったけど、ちゃんと全員連れてこれたようだ。スキルレベルが上がったおかげかな。


「ゴータロー、レッド、新しいゴーレムたちだ。普段はお前たちが指示を出してやってくれ」


「ゴ!」


「ドリ」


 2人が返事とともに敬礼をする。

 うん、ちゃんとこういう反応がある方がいいな。

 なんか軍隊っぽいけどさ。俺からの転写知識のせいだろう。

 あ、そうだ。


「ゴータローにはこれをやろう」


 アイテムボックスからキャプテンキャップを出して、ゴータローの頭に被せる。


「ゴ?」


「同族の指揮にプラス補正がつくアイテムだ。これからお前はゴーレム隊隊長だ」


 補正はわずかだけどさ。

 性能は一番低いゴータローだけど、気が利くんで隊長には向いているだろう。


「ドリ」


 今度はゴータローに向かって敬礼するレッド。

 さらに新しいゴーレムたちに「ドリ!」と言うとゴーレムたちもゴータローに敬礼した。

 さらに軍隊っぽくなってちょっと冷や汗。


「これでいいんだろうか?」


「いいんじゃない? ただ、ボクのゴーレムスキルはまだまだ上がりそうだからゴータローの改修はまだちょっと先になるかも」


 コルノのステータスを確認してみる。



コルノ

小人血赤珊瑚(LR) 女 LV1

フーマの眷属


STR 80

INT 201

AGI 187

DEX 206

VIT 193

MIN 289


HP 272/273

MP 881/980

CP 482/482


スキル

ギリシャ語LV1、日本語LV1、ダンジョンマスター語LV1、ゴーレム語LV1(new)


水中活動LV1、水泳LV1、ゴーレムLV3(up)


格闘術LV1


地魔法LV1、水魔法LV1、生活魔法LV1


魔力操作LV1


感知LV1、再生LV1、MP再生LV1(new)


毒LV1、石化LV2(up)、石化解除LV1、髪操作LV1


知識LV1、頑丈LV1、気骨LV1


MP倍増LV1(new)


毒耐性LV1、石化耐性LV1


呪いLV-3


称号

魔王軍四天王

ゴーレムマイスター


状態異常

処女喪失直後



「ぶっ!」


 なんですかこの状態異常は?

 さっき歩きにくいとか言ってたけどこのせい?

 HPも微妙に減ってるし。HP再生スキルがあるのに最大値になってないってのは……。


「ヒール!」


「えっ?」


 コルノにヒールをかける。

 それでもやはりHPが最大値にならない。


「ハイヒール! ハイヒールズ!」


 回復魔法のレベルが上がったら使えるようになったはずの魔法も試す。


『回復魔法がレベル4になりました』


 そうだ、状態異常には別の魔法だ。


「キュア! オールキュア! オールキュアズ!」


『回復魔法がレベル5になりました』


「あ……楽になった?」


 よかった、効いたようだ。

 状態異常もなくなっている。

 HPもちゃんと最大値にまで戻ってくれた。


「ふう。調子が悪かったらちゃんと言ってくれ」


「だって、あれぐらいならすぐに治ったよ」


 そりゃそうだろうけど。

 俺が状態異常にしちゃったわけだしさあ。


 ……あれ?

 もしかして、再生しないはずのアレが再生したってことはないよな?

 まさか、ね。

 キュアじゃ欠損部分は再生しないから、そんなことはないでしょ。


「どうしたの?」


「今度の時は絶対、やさしくするから」


「う! ……ぅん」


 気が動転していた俺の言葉に俯いてしまったコルノは、それでもゆっくりと消え入りそうな声で返事をしてくれた。

 なんていい子なんだ。


 誰だ、こんないい子を状態異常(キズモノ)にしやがったのは!




 無言の時がしばし続いてしまった。

 気まずい。

 話題を変えよう。


「そ、そうだ。新しく創った3層にボスを召喚したから会いに行こう」


「ボス?」


「うん。きっとコルノも気に入ると思うよ」


 なにしろ猫は可愛い。

 コルノが今度は密着ではなくそっとだけだったけど、触れてくれたので3層ボス部屋に転移した。



 そこにいたのは巨大な猫だった。いや、普通のイエネコサイズで俺とコルノが小さいんだけどさ。

 このサイズなら乗れるかもしれない。


 でも面白い柄だ。色は白と黒なんだけど、右半身が白、左半身が黒と真っ二つに別れている。犬歯は思ってたよりも小さいな。


「みゃぁう」


 あ、口を開けたらそうでもなかった。でかいわ、この牙。


 猫らしく足音もなく近づいてくる。このサイズ比だと迫力があるな。ちょっとびびる。

 でも、ゆっくりと近づいた、ひんやりと濡れた鼻先が俺の顔に触れた時、恐怖なんて吹き飛んだ。

 だって、猫好きならみんな喜ぶ鼻キスだよ。テンションも上がるって。



「おお。でかいけど可愛い。さすが猫だ」


「なー」


 当然だとばかりに返事をする。喋らないけど、頭は良さそうだ。


「名前をつけてやらないとな。モノ……はそのまんまだから、アシュラでどうだ?」


「なーぅ」


 さっきよりも大きく声が返ってくる。了承ってことか。


「よしよし。おぉ、短毛種に見えるけど、俺が小さいからかモフモフだな!」


「み」


 モフモフモフモフ、なでなでなでなで。

 大きな肉球をぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷに……。

 普通の猫なら鬱陶しがりそうなほどにかまっても、俺の眷属なせいかアシュラは大人しくされるがままになってくれる。


「うんうん。アシュラは当たりだ! 猫サイコー!」



 気づいたら、コルノがジト目で俺を見ていた。


「コ、コルノ?」


「フーマはボクよりもそっちの猫の方がいいのかな?」


 なぜそうなる?

 コルノへの性欲を誤魔化すために猫で癒されていただけなのに。


「ボクのゴーレムをさしおいて、こんなのにボスを任せちゃうし!」


 ああ、それで怒っているのか。

 ボスの作製もコルノに頼めばよかったなあ。


 俺が返答に困っていると、アシュラがコルノの方に近づいて、そして、寝転がった。


「なー」


「ほら、怒ってないでなでろってさ」


「ふんだ。ボクは犬派なの! ケルベロスとオルトロスをよく散歩に連れてったんだから!」


 それって姪っ子の子供だよね。その中にはライオンっぽいのもいた気がするけど……。


「なーぅ」


 警戒しないでいいというアピールだろう、寝返りをうってお腹を見せるアシュラ。そのまま逆さまになった顔でコルノを誘う。

 なでれ、と。


「う」


「コルノ、なでてみたくないか、あのお腹」


「う、うう」


「思いっきり、こう、(さか)なでしてみたいだろう?」


 俺のささやく悪魔の誘惑に、驚いた顔でこっちを見るコルノ。

 そしてため息。


「フーマってさ、ドSだよね」


「へ?」


「逆なでなんて、絶対嫌がるじゃないか! ボクの時もやさしくしてくれなかったし!」


 なぜか、俺がドS認定されてしまった。

 相槌を打つように、アシュラの尻尾がぱたっと床を1回叩く。


 ええっ、逆なで駄目なの?




たまに嫌がらない猫もいます


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― 新着の感想 ―
うーん…そういう行為をするのは全然いいんだけどそれを全面に出されても反応に困るし、 それはそれ としてしっかり話進めて欲しい 全然話が進まない割に謎に好感度爆上がり(そういう仕様?)してるし、主人公…
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