表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/200

31話 ねずみの王様

感想、評価、ブックマーク登録、メッセージ、誤字報告、ありがとうございます


4/24 誤字訂正

 できあがったゴーレム素体の複製をコルノが石化させ、さらにゴーレムにした。



『プチホワイトストーンゴーレム

 ランクN LV1 性別なし

 STR 17

 INT 9

 AGI 12

 DEX 14

 VIT 20

 MIN 8

 HP 37/37

 MP 17/17

 CP 28/28

 コルノ作の小さなゴーレム

 白い石製

 関節部に球体関節を用いていて可動範囲が広い 』



 おお、鑑定スキルがレベルアップしたおかげで解説が増えたな。

 ステータスが見れるようになったのもありがたい。


「低いのはINT(賢さ)とMIN(精神)か」


「この子も、ゴータローとレッドとは違う普通のゴーレムみたいだね」


 ダンプゴーレムと同じく無口で自我が感じられない。

 あの2人との違いはいったいなんだろう?


 身長は35センチぐらい。手足も太く、スリムなレッドと違って重厚な体型だ。

 顔には横に長い穴が1つ。これが目だろうか? いかにも量産型っぽい気はするけど。


「それじゃ、しばらく動作確認するよ」


 無言で頷くゴーレム。

 やっぱり返事がないと物足りない。


「俺はダンジョンをちょっと改装する。なにかあったらチャットで呼んでくれ。……つらかったら無理しないで休んでいいからな」


「うん。だいじょうぶだよ、ちょっと歩きにくいだけだから」


「そ、そうか」


 コルノの返答でその顔がまともに見れなくなり、逃げるように転移してコアルームに戻った。



 コアルームに入ってまず目に映るのはさっき購入し使って、そのまま放置したベッド。

 いきおいで買っちゃったダブルベッドだけど、かなりの高DP品だ。

 睡眠を必要としないダンジョンマスターには不要でしょ、という運営の判断で寝具も贅沢品扱いになってるんだよね。

 マットレスとシーツもつけたし、リヴァイアサンが来てくれなかったら買えなかった。


 ……あの怪獣がうちのダンジョンに来たせいで買うことになっちゃった気もするが。


 シーツは洗濯しないといけないか。

 こんな時はコルノの生活魔法が羨ましい。

 DPで俺も習得しちゃうか?


 でも汚れた時は自分でするより、コルノにかけてもらう方がいいよな。

 保留にしておこう。

 シーツを外してベッドをアイテムボックスに収納。

 脱衣所に移動し、洗濯機代わりに設置した前世のマグカップにシーツを放り込む。


 前世でも大き目のこのマグカップも温泉が湧くようにしてあるんだけど、湧出口が底ではなく内側の側面から角度をつけて出て、中の温泉が常に渦巻くようになっている。

 洗剤を使わなくてもお湯と回転で汚れが落ちてくれるんじゃないかと期待だ。



 ベッドを片付けたコアルームで作業を再開。


「残りDPは……2千DP以上ぅ! なに、あのちょっとの間で俺はもうダンジョンレベル4?」


 やばかったな。

 あのまま居つかれたら、すぐに無料復活できるレベルを超えていた。

 DPは嬉しいけど、そんな危険はノーセんキュぅだぜ。


 増えたDPでダンジョンの防衛を考える。

 リヴァイアサン対策は無理だけどさ。

 大群を相手にできるようにしなくては。

 外で見たあのネズミの群れがどうも気になる。普通の群れじゃないよな。モンスターも混じっていたし。


 ふと、“くるみ割り人形”のストーリーが思い浮かぶ。

 あれって、人形たちがネズミの軍勢と戦うんだよな。ネズミの軍勢を率いるのは、7つの頭を持つ“ネズミの王”だ。

 ネズミ版のヒュドラみたいなやつだけど、こっちの世界には……いそう。メッチャいそう!

 ベースになってるのがネズミサイズならともかく、ビッグラットやさらに大きいやつだったら嫌すぎる。


 そんな敵が来ても耐えられるようにダンジョンを強化しなくては。

 まずはDPがあるうちに層を増やしちゃうか。

 ダンジョンレベル4だから4層まで創れるんだよな。

 かかるのは増やす階層数×1,000DPだから、3層目で3,000、4層目で4,000。足して7,000を小人価格で70DPだ。


 当然、増やすことにする。

 コアルームのある層を最下層の4層に移動させて、2層と3層はどうするかな?


「フィールドダンジョンは……1,000,000DPか。クっソ高いな」


 ダンジョンレベル10になるのと同じ額じゃないか。

 無料復活がなくならないとフィールドダンジョンの持ち主にはなれないワケね。

 小人価格でも10,000DPが必要だ。ダンジョンレベル6か。それぐらいのレベルなら余裕ができたら目指してもいいかもしれない。

 ……目指しても貯まるかどうかは怪しいけどさ。



 新2層から下は穴掘りで侵入されることのないように、頑丈なダンジョン壁で作製する。

 構造はオーソドックスな普通のタイプでいいか。

 魔法や飛び道具が使いやすいように、長い直線の通路も多目にセットしておこう。大きな玉が転がってくる定番の罠も使えるし。


 床に角度のついた長い通路、っと。……これなら温泉による熱湯攻めもイザとなったら使えるな。

 よし、こうしよう。


 1層からの階段を下りてやってくると、蛇がのたくるような長ーい1本道。通路、ヘアピンカーブ、通路、ヘアピンカーブの繰り返し。

 これが延々と続く。途中で通路の長さやカーブの角度が変わっていたりするので、一気に駆け抜けることはしにくいはずだ。

 罠もしかけたしね。

 最後はやはりボス部屋で、3層への階段だ。



 3層はいくつもの部屋が碁盤の目のように縦横に繋がる構造にしてみた。

 どの部屋も変わりない外見。部屋には4つの扉があり、外周の部屋の扉は反対側の外周の部屋の扉へと繋がっているという、ゲームでたまに見るループ型。

 ちょっと外周の扉が高DPだけど、片手を壁に攻略法が使えない構造だ。地図スキルなしだと迷いやすいでしょ。


 目印はなし。罠は有り。

 部屋数は奮発して9×9の81部屋と正解の道に繋がる部屋とボス部屋。4層へと続く階段の前はボス部屋である大部屋だ。



 ボスはなんにするかな。

 高さと幅を最小の40センチにしているうちの通路を抜けられるやつで考えないといけない。

 猫か小型犬か。それぐらいのサイズじゃないと、ボス部屋からは移動できなくなる。


 そういや、ダックスフントって巣にいるアナグマを狩るための犬だったんだよな。小人のダンジョンの天敵じゃね?

 ネズミもそうだけど、そういう犬も危険だ。

 冒険者にテイマーとかいたら厄介だから注意しないといけないか。


 犬か。犬は散歩しなきゃいけないんだよなあ。

 うん。猫にしよう。

 猫好きだし!

 もしかして今の俺なら猫に乗れるかもしれん。それが無理でも全身でモフれるはずだ。うへへへ。


 DP召喚の一覧のウィンドウを開いて猫を探す。

「サーベルキャット? サーバルじゃないのか?」

 指先でクリックすると、さらにウィンドウがオープン。解説とクチコミが現れる。

 PCじゃないこっちのウィンドウにもクチコミがあるのか。



<サーベルキャット>

 剣歯猫の一族。大きく長い犬歯が特徴。

 サイズはイエネコと同じくらいだが、進化の選択先によって大型化する。

 必要DP:40~


サーベルキャットのクチコミ

・九郎坊 (天狗 女 16歳)

 モンスターというよりはペット枠。大型進化はありえない。

・ニャガー(キャットウーマンクィーン 女 ?歳)

 うちの猫ハーレムの一員。

・ベチィー (エルフ オカマ ?歳)

 可愛いわん。お尻の香りも最高よ。

・……


 クチコミは女性ばかりだな。

 ん? そうじゃないのがいる?

 HAHAHA、拙者の目には映ってないでござるよ。


 必要DPはゴブリンより高DPか。今なら余裕だけどさ。

 猫に癒されて性欲を誤魔化そう。


「サーベルキャット、お前に決めた!」


 数は1匹。

 こいつで様子を見てから他のボスを考えよう。

 次はスキル追加か。

 予防接種はなさそうだけど、ダンマスの眷属が病気になるのか不明だ。

 病気耐性がほしい。実家の猫、病気になった時大変だったし。


 待てよ、蛇や毒蟲ならこのダンジョンにもこれそうだ。

 毒耐性もいるな。


 これでいいだろ。

 残りは必要になった時に追加しよう。

 あ、購入時に眷属契約もできちゃうのか。DPはかかるけど、たいした額じゃない。買った後に契約しないって暴れられても困るしな。契約しておこう。

 出現場所は3層のボス部屋っと。


 決定時の『実行』、『本当にいいですか?』のコンボはこれも同じか。

 これでやっとうちのダンジョンにもダンジョン防衛の要、ルームガーダーのいるボス部屋が導入された。


 さ、モフり……確認しに行こう。

 コアルームから通路を抜けて4層のボス部屋に行くと、コルノがオリジナルのゴーレム素体を調整していた。


「どんな感じだ?」


「うん。気になるとこだけちょっと修正したよ。もう、これでいいんじゃないかな?」


「それなら量産しちゃおう」


 1層、ゴーレムたちが掘り出した土をまとめている所へ転移し、その土をアイテムボックスへ回収する。

 ダンプゴーレムのおかげか、かなりの量がたまっていた。


 再び4層のボス部屋に戻ってきて、改良されたゴーレム素体を複製する。

 途中で、複製と錬金術スキルがそれぞれ3レベルにアップした。


「やっぱり全部白か」


「ボクの番だね、いくよ!」


 一気に全部の複製ゴーレム素体を石化させた後、今度は1体ずつゴーレムにしていくコルノ。

 8体ほどゴーレムにしたところで彼女のMPが足りなくなり俺が譲渡する。


 コルノの肩に触れる。また怖がらせてはいけないと、壊れ物でも扱うごとくやさしくそっと。

 触れた瞬間に、ビクっとされたのはショックだ。

 だけどコルノは逃げずに微笑んでくれたのでほっとした。


「くぅ……ぅん!」


 やべえ。

 MPを受け取っている時のコルノの声がさっきの時よりも甘く感じる。

 俺のあの行為はMP譲渡以下だったと思い知ると同時にちょっと興奮してしまった。

 落ち着け、我慢するって約束したろう!


「も、もぅ、いい、よぉ」


 頬を上気させてゆっくりと言うコルノ。とても色っぽい。

 我慢だ、我慢!


「えへへへ……ボクの中からあふれちゃい、そぉ」


 魔力、魔力の話ですよね?

 おっさん、耐えきれるかどうか自信なくなってきた。


 早くにゃんこで癒されたい……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ