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124話 歓迎会の翌日

「アルテ……ディアナさんを復活させる前に眷属化ですか」


「ええ。要石のままなら契約儀式から逃げることもできないでしょう。怒るかしら?」


「笑って受け入れる可能性が高いですね。罠と似たようなものです。神としての力もほとんどを失ったとはいえ、狩猟の神であったディアナさんなら罠を卑怯と言うこともないでしょう」


 たしかレヴィアとヘスティアが飲みながらこんな会話をしていた気がする。

 抑え目に飲んでいたから記憶がおかしくなってることはないはずだ。

 前世(むこう)のアルテミスだと怒りっぽい処女神というのがおっさんのイメージなので、こっちは性格が違うのかな? そうであればありがたいのだけれど。


「リニアさんの方はどうですかねー? 可愛がっていた愛娘ですからー」


「妻にするのは諦めろと?」


「実力を示せって言うと思われますねー」


「それなら大丈夫ね。フーマは強いもの」


 ふふふっと意味ありげに笑ったうちの嫁さん。

 なんという過大評価。

 おっさんが元女神に認められろというのか?

 というかバトル前提なのはやめてほしい。



 ◇



 今回は目が覚めた時に隣に未婚の女性が寝ていて驚くようなことはなかった。

 べ、別に残念なんかじゃないんだからねっ!


「リニアがあの(ザマ)では、ね」


「リニアちゃん、あまりお酒を飲んだことがなかったみたいだからね」


 嫁さん二人のため息が怖い。

 酔い潰れたリニアを飾り気のない彼女の部屋に運んでベッドに寝かせ、そのまま立ち去っただけなのに!


「なんでフーマ、すぐに戻ってきちゃうのかなー?」


「リニアもOKサイン出していたじゃない」


 はい?

 浮気してないのになんで怒られるのさ。

 OKサインなんて謎の高等暗号がおっさんに解読できるわけがないでしょうに!


「やっぱりフーマの飲みが足りなかったのかな?」


「けれどその程度で違うのなら、私たちの時も手を出したのではないかしら?」


 それっておっさんが勘違いしそうになった時?

 あの時は酔い潰れて寝ちゃっててそれどころじゃなかったような。

 耐性スキルのレベルを上げておいたら潰れずにすんで婚前交渉することになっていたんだろうか?

 ……ないな。あの時はコルノのことで反省していたんだよ、おっさんは!


「そうだね。ボクたち二人のミリキじゃダメで、リニアちゃんのおっぱいだと暴走するってなるとちょっとシットしちゃうよねー」


「大丈夫よ。フーマはそんな男ではないもの」


 わかってはいてくれるんだよね。


「うん。フーマはちっちゃなほーが好きなんだよね!」


 違う!

 そうじゃない!!

 おっさんは巨乳も大好きです!

 そりゃ嫁の二人ともが小さいからそう思われちゃうかもしれんけど……。

 もしかしておっさん、ロリコンだと思われていやしないだろうか?


 別に嫁に不満があるわけではないので、ロリコンと言われても文句はないが。

 でもそう呼ばれている夫を嫌うのだったら問題か?

 うーむ。やはりここは巨乳さんを入れるべきなんだろうか。


「こ、ここここ、これは!?」


「昨日のだあ。よく撮れてるの。リニア(あね)ちゃ覚えてねえのけ?」


「き、昨日こんなことが!? なんであたしは覚えてないんだ! 帰ってこい、あたしの記憶!!」


 突然、壁に頭を打ちつけ始めるリニア。

 まさか狂暴化(バーサーク)


「寝てたんだから覚えているわけがないんだね。そんなことをしても無駄なだけだよ。ふむ。これがカメラですか。資料保存のために小生もほしいですな」


「偵察兵にも持たせたいのでアリます」


「私のフィギュアがスマホ持ってたらよかったのに」


 いつの間に撮られたのか、酔い潰れた部屋にリニアを運ぶために彼女をお姫様抱っこしている写真を見て盛り上がる眷属たち。

 眷属チャットじゃ画像機能ないもんなあ。

 そんな機能あったらうちの眷属たちは呟きまくりそうでいらない気もする。

 メモで画像記録できるのはダンジョンマスターだけだっけ?


「眷属にもそのうちDP使わせてあげたいとこだけど、まだそこまで回す余裕がない」


「カメラゴーレム作るにはレンズと録画機能がちょっとね。デジカメを直接ゴーレムにした方が早いかな?」


 コルノは普段は子供っぽい言い方なのにゴーレム関係の時だけ知的に感じる発言になる気がする。


「小人用にするといいのがあまりないから、普通サイズのデジカメ買って、それを素材に小人サイズのを複製してからゴーレムにするか」


「そうね。私たちの結婚式記録用に多目に用意したいわね」


「そうなると予算が……稼ぐのを隠す必要もないみたいだから、いいか。レヴィア、俺の眷属になってくれないか?」


 今日は早めに目が覚めたんでネット巡回してたんだけど、たまたま見た掲示板でリヴァイアサンを眷属にしたいってのがあったんだよね。

 そいつのカキコミはネタだろうけど、もしも滅茶苦茶強いダンジョンマスターが現れてリヴァイアサンを眷属にされたら嫌だ。

 もうDP100分の1はバグじゃないってわかったからこそこそする必要はないし、無料復活キャンペーンを利用できるダンジョンレベルを超えてしまう覚悟もできたよ。


「いいのかしら? あまり乗り気ではなかったのでしょう」


「おっさん以外のやつの眷属なんかにはしたくない。レヴィアは誰にも渡さない。俺のものだ!」


 ここはハッキリと言っておく。

 リヴァイアサンの力が目当てじゃないってわかってもらわないと。レヴィアが悲しむのは避けたい。


「アナタ……」


「いいなあ。ボクの時は確認ナシの無理矢理だったのに」


 人聞きの悪い。

 まるでコルノを無理矢理……まさかあっちの方のことを言ってるんじゃないよね?


「ダンジョンマスターとの契約は本来そういうものなのでアリます。自分の主となるわけだから、力を示してもらわないと従えないのでアリますよ」


 なんて物騒な実力社会なんだろう。

 だけどおっさんがリヴァイアサンに勝てるわけがない。

 そもそも嫁と戦うなんて無理だし!


「わかったわ。これで私がアナタの妻だと発表できるわけね」


「は、発表? 隠す必要がないだけで、そこまで目立たなくても……」


「ミーア、さっきのフーマのスカウトシーンは録画していたかしら? ……そう。アナタ、もう一度お願い」


 聞いてないし。

 というか録画は勘弁してつかあさい。


「関係各所に配布するのだから、アナタもメイクした方がいいかしら?」


「配布ってなに? おっさんは顔出しNGでお願いします!」


 妖精神ってだけでもプレッシャーでかいのに、どこだかわからんとこにも顔が知れ渡るのは避けたい。


「……そうね。あまりの喜びに浮かれていたわ」


「よかった。わかってくれたか」


「そんなことをしては駄目よね。アナタの顔が広まったら求婚者が増えてしまうもの」


 それはないんじゃないかな?

 だいたい、おっさんは小人なんだしさ。


「増えてもいいと思うけど、顔目当てじゃちょっとねー」


 おっさんの顔目当てはないってば。

 夫だからってプラス補正が働いているだけの嫁馬鹿だと思う。

 コルノとレヴィアだったら顔目当てってのは確実に出るだろうけどさ、夫馬鹿抜きにして。

 ……コルノも掲示板で話題になってたな。


 ヨウセイの穴の連中が書き込んだんだろう。

 口止めしておくんだったか。

 でもそんなことしたら不自然だったしなあ。


「あたしは顔目当てじゃないからな! ……い、いやフーマの顔が嫌いってワケじゃなくてそれどころか超カッコイイと思ってるけど! 他の妖精なんて比べ物にならないっていうか……」


 リニアのような超美少女に言われると照れる前に恐縮するんですが。

 彼女も男っ気のない生活してて、たまたまピンチを救った男だからそう思って……。

 そりゃ前世よりはいい男になってるかもしれんけど、ダンジョンマスターは美形ばっかりだし。

 スケルトンや半魚人のような種族はその種族における美形らしい。


「ありがとうな」


 さっき自分で頭を打ってたのが悪いのかと思い、言動がおかしいリニアの頭をやさしくふれる。

 ふむ、コブにはなっていないようだな。たしかコブだったらコレドに取ってもらえるんだっけ。

 一応ヒールかけとくか。……脳にダメージいってる時もそれでいいのかな?

 耳まで真っ赤になって目を瞑り撫でられるままのリニアを横目にレヴィアがまたため息をついてから。


「アナタ、さっそく儀式をしましょう。準備をお願い」


「準備?」


「ここではあの姿になれないもの」


 もしかしてリヴァイアサンの姿で契約する気か?

 うちのダンジョンで巨大なリヴァイアサンの姿になれるとこって、第2層のフィールドダンジョンだけだろ。

 あそこで暮らしている妖精たちが大騒ぎするんじゃないか?



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