100話 頼みたいこと
100話です
ここまで続いたのも応援してくださった皆様のおかげです
ありがとうございます
嫁さんについてわかったことがある。
コルノはエージンと同じで。つまり……おっぱい星人だった。
あの混浴事件から眷属たちを家族風呂に毎日のように誘うのよ。
それで入浴中にコルノが彼女たちのおっぱいチェックをするワケ。おっさんがいてもかまわずにさ。
さすがにまざまざと見物するわけにはできないけどさ、転生して若くなったせいかそれを聞いてるだけで悶々としちゃって、その晩は激しく二人を求めてしまうことになる。
まさか、それを狙って……レヴィアならともかくコルノはそこまで計算してないかな?
まあ、趣味についてとやかく言うつもりはない。
だっておっさんと結婚してくれたぐらいなんだから、男の趣味について言える立場じゃないでしょ。
俺としては誘うのは女性眷属のみでショタフェアリーやテリー、スケさんは誘わないように注意するのが精一杯の抵抗だ。
だからといって、まさかアリグモのリオまで連れてくるとは思わなかったけどね。たしかにメスだったけどさ。
ちなみにニャンシーは猫らしく風呂は嫌いのようで家族風呂の方にきたことはない。
「ランキングトップはリニアちゃんだよ」
「それは聞かないでもわかる」
「あ、ありがとう」
そこ礼を言うとこなの?
真っ赤になってリニアも可愛いから困る。
告白されちゃったし、裸も見てしまった。脱いでも綺麗な、いや脱いだらもっと凄い見事なバストだった。爆乳なのに美乳とかあのバランスは神がかっている。
結婚してなきゃコルノの時みたいに暴走していたかもしれん。
「ミーアちゃんとアンコちゃんは同じくらいかな」
「本来の姿に戻れば小生の方が大きいよ。数もね」
そりゃ猫だからでしょ。あと大きいのは胸囲でバストサイズではない気がする。
「くっ、自分たちが変身できるのはなぜ鳥なのでアリますか! おっぱいがないのでアリます」
ムリアンコマンダーやムリアンはどうやら鳥に〈変身〉できる種族らしい。
アリじゃなくてなぜか鳥。しかも変身するとわずかに背が縮むというリスクがある。だからうちの眷属にはよほどのことがない限り変身は禁止した。
そのムリアンたちは背は低いながらもそこそこ胸が大きかったりするのでうちの関係者最下位は……いや、言わないでおこう。おっさんは小さい胸もOKだしさ。
◇
特訓開始から二週間経ち、ついにトーゲンが〈機敏〉スキルを習得した。
その他に〈HP倍増〉、〈HP再生〉、〈頑丈〉も習得しただけあって、特訓相手となっていたゴブリンアーチャーの攻撃も鋭くなっている。よく矢が尽きないと思ったら邪神のダンジョンではポップアップするのがモンスターだけではなく矢等も補充されているらしい。ずりい。
ダンジョンマスターのダンジョンもDPでそういうのできるようになるけど、高いダンジョンレベルが必要。
それができるようになったら、ゴーレムの弓隊作って弾幕張るのもいいかもしれない。
うちの小さいゴーレムたちは飛行する敵への対応がイマイチだからなんとかしたいんだよね。またハエが出てきた時のためにさ。最近はインプもきているし。
まあ、とにかくめでたい。ワインはまだ飲み頃じゃないけど祝杯を上げたいね。
トーゲン内部に〈転移〉し、かなりの速さで鋭く矢を撃つようになったゴブリンアーチャーへの攻撃を命じる。初めて腰に佩いていたキャプテンソードを抜くトーゲン。
……〈機敏〉スキルを習得したとはいえ、まだレベルアップしてないんで素早さが低いままだった。遅いトーゲンの攻撃が当たらない。
仕方なくトーゲンの肩の上に〈転移〉して死なない程度にゴブリンアーチャーの脚にアイスニードルを放つ。うまいこと膝に命中したからこれで動きは遅くなった。
やっとトーゲンの剣が命中してゴブリンアーチャーが息絶えた。
ちっ、やっぱりトーゲンの種族レベルは上がらなかったか。
これなら〈弓〉レベルが高くなっていたゴブリンアーチャーはもったいなかったかも。
でも眷属にしようにも、うちのダンジョンじゃゴブリンは飼いにくい。次があったらアキラに紹介してみるか?
仕方ない。俺が手伝ってトーゲンにゴブリンを狩らせまくることにしよう。第1層でボス部屋までやればレベルが上がる……といいなあ。
この未熟者のダンジョンは本当に人気がないダンジョンらしくて他のダンジョンマスターに会うことはほとんどない。ほとんどっていうか、アキラとエージンにしか会ったことないんだけどさ。
◇ ◇ ◇
なかなかに苦戦した。生かしたままゴブリンの動きを遅くするってことに。
おかげでスキルもゲットした。俺が。
〈手加減〉スキルだ! ……また使いどころが微妙なスキルだな。そのおかげでトーゲンがゴブリンにトドメを刺しやすくなって無事に種族レベルがアップできたから無駄ではないけどね。
2レベルになったトーゲンは〈機敏〉スキルのおかげでAGI値もちゃんと伸び、人並の速度で動けるようになった。これで一人でもレベル上げできるかな?
心配だから倒せるか確認してみると、第1層の普通のゴブリン一匹とどっこいの勝負だった。攻撃をくらっても簡単に倒される心配はないが、これでは複数のゴブリンはきついだろう。ボス部屋なんてとても無理だ。
しばらくは俺が付き合わなきゃダメらしい。
強くなったら、今度はトーゲンが量産型ゴーレムの育成に役立つと信じるしかないか。
ゴーレムは〈複製〉できるけど、高レベルのゴーレムを見本品にしても、〈複製〉したゴーレムの方は種族レベルが残念ながら1になるみたいで育成はしなきゃ駄目なんだよね。
種族進化したゴーレムを複製すればそのランクのゴーレムが複製できる。ただし、素材とMPの消費は跳ね上がるので多くはできない。
ゴーレムが増えすぎても稼働させるのにもMPが必要だし、管理も大変。最近はあまり量産型ゴーレムは増やしてなかったりする。
数よりも性能向上にシフトしているのだ。ゴータローやレッドのような指揮ができるゴーレムが造れればいいんだけどな。
◇ ◇
久しぶりにエージンとフレンドチャットする。
混浴事件以来、嫁さんとの時間が多かったもんで連絡する暇がなかったのよ。
エージン 》 連絡がついてよかったっす
フーマ 》 悪い。ここんとこ忙しかったからな
エージン 》 姐御にも連絡つかないんすよ
フーマ 》 ああ、アキラもなんか新しい眷属の育成で忙しいらしいな
エージン 》 そうなんすか? おっぱい大きな子っすかね?
フーマ 》 なんで女の子って決めてんだよ
エージン 》 違うんすか?
フーマ 》 真っ赤な鯉だってさ
エージン 》 姐御はあの野球チームのファンだったんすかね?
フーマ 》 アキラは前世の記憶ないから違うんじゃね?
鯉の育て方を聞かれたけど、そんなもんわからなかったんで、「実戦あるのみ」ってアドバイスしてしまった。
大丈夫だろうか?
この世界だと間違いではないと確信してるけどさ。
しばらく他愛ない話を続けると、エージンが本題を切り出してきた。
エージン 》 実はっすね、アニキに頼みたいことがあるっす
フーマ 》 DPならないぞ
エージン 》 借金の話じゃないっすよ!
フーマ 》 冗談だ
エージン 》 あのっすね、オイラたちの顧問になってほしいっす
フーマ 》 顧問?
エージン 》 オイラのフレンドたちって、あまり稼いでないやつらばっかなんすよ
フーマ 》 前にもそんなこと言ってたな
エージン 》 なんとか底辺を脱出したいんす
エージン 》 みんなでギルドを作ったっすけど、なにをやればいいのかよくわからなくて
フーマ 》 ギルドか
エージン 》 アニキにその顧問になってほしんすよ
フーマ 》 顧問って学校の部活じゃないんだから
エージン 》 アドバイザーになってくれればいいんす
フーマ 》 初心者のおっさんよりもお前たちの方がこの世界に詳しいだろう
エージン 》 そんなことないっす
エージン 》 この前の特訓、目からウロコだったっす!
エージン 》 とりあえずアレだけでもみんなに指導してほしいっす
フーマ 》 そう言われてもな
エージン 》 新人も入る予定なんす
エージン 》 よろしくお願いするっす!
他のダンジョンマスターか。
興味はある。
前世よりは知らないやつと会うのも苦にはならなくなってきた気もするからちょっと迷うな。
エージンのフレンドなら未熟者のダンジョンにくるかもしれないからトーゲンを攻撃しないように、って言っておいた方がいいかもしれないし。
エージン 》 タダとは言わないっす
エージン 》 みんな貧乏してるんで払えるDPはほんのわずかっすけど
稼ぎまくってるダンジョンマスターじゃないってのも気後れしないで済むのでそれはいいんだけど、貧乏マスターにDPを出させるのはそれはそれで気が引けるでしょ。
フーマ 》 受けてもいいし、DPはいらない
フーマ 》 かわりにちょっと頼みたいことがある
エージン 》 ありがとうっす! 頼みたいことってなんすか?
フーマ 》 植物の種とか実がほしい
エージン 》 種?
フーマ 》 食べられるやつのな
エージン 》 DPで買った方が早いっすよ
フーマ 》 DPのだと育てられそうなのがなかった
エージン 》 そんなもんすか。それぐらいなら多分なんとかなると思うっす
フーマ 》 頼む
特訓方法を教えるのはかまわない。他のダンジョンマスターやその眷属が強くなってもうちにはあまり関係なさそうだし。
けど、だからといってタダで教えるというのも微妙な気がする。条件を出した方がむこうも頼みやすいだろう。
あ、でも種集めとか、砂漠地方のダンジョンだったら大変かもしれない。無茶言っちゃったかな?
おかげ様で2巻出せることになりました
詳しいことはまた後ほどで




