お嬢様のお弁当
なんとなく書いてみました。
惑星イデア。
ここは魔法と科学が両立し、進歩してきた世界。
人々は魔力を生まれたときから体に宿し、魔法と科学力で世界を進歩させてきた。
そんな人々の中にはごく稀に選ばれた者、《特殊能力》を持つものがいる、重力を操ったり、体を人ではないものに変化させたりするものをいた。
そしてこれは、倭国と呼ばれる島国のとある少年の物語。
「ハァ、ハァ、ハァ・・・」
倭国の五大都市の一つ、京の都の魔法学園の草むらに一人の少年が隠れていた。
艶やかな黒髪は木葉が引っ付き、制服は泥だらけになっている。
少年の名前は柊真琴。
第一魔法学園、2ーDクラス、魔法ランク10006位。
年齢は16歳、得意属性は風の魔法使いである。
顔は普通よりも少し上程度で現在彼女募集中でもある。
「流石にあいつもここまで来るはずはないよな・・・」
真琴は「ふぅ」とため息をつき腰を落とす。
この魔法学園では魔法使いとしての成績が良い人からAクラス、Bクラス、Cクラス、Dクラスとなっている。
Aクラスにもなればクラスの約八割が《特殊能力》持ちとなる。
逆にDクラスだと初級魔法から中級魔法しか使えないものや魔力が低い者が集められている。
真琴は魔力が低いためにDクラスとなっている。
座学だけなら学年でtop10には入れるだろう。
真琴の魔力は約、上級魔法3発分、身体強化の魔法なら十分も、持たないだろう。
そんな彼は少ない魔力を使ってさえ逃げている理由は一つだけである。
彼の幼なじみ、九条凛歌に見つからないためである。
彼女はAクラス、《特殊能力、自動反射を持ちかつ、座学では学年で2番、そして美少女でお嬢様である。
しかし、彼女にも欠点もある、それは料理で彼女自身上手く作ろうとしているがなぜか毎回美味しく見えるのに、食べたら食べ物の味がしないのである。
凛歌自身誰かに食べてもらった方が上手くなるといい、弁当を毎日作るのだが、たいていその被害は幼なじみの俺に来る。
俺だって最初の1ヶ月は我慢したよ?
でもさ、1ヶ月しても、上手くならないってどうゆうこと?
そして、俺は今日、ついに我慢の限界のため、昼休みのチャイムが鳴ると同時に身体強化を使い、校庭の端にある、草むらに隠れている。
1食抜くのは辛いが、料理と言えないものを食べるよりマシだ。
「あれー?真琴くんどこ行ったのかな?せっかく今日もお弁当作ってきたのに・・・」
この声は凛歌・・・なぜここに!
「千宮司くんがこっちに走っていくのを見たって言ってたから来たのに・・・」
怜斗めぇぇぇぇ、俺を売りやがったなぁァァァァ!!!
千宮司怜斗とは俺のもう一人の幼なじみで第2学年主席、《特殊能力一人兵団》を持つ、やつである。
顔はイケメン、家は華族で、いわゆるボンボンである。
頭もそこそこよく、よく食堂で女の子に囲まれている、物語で言うといわゆる主人公ポジションのやつである。
おっと、そんなことは置いといて今はどうやってここから離脱するかだ。
凛歌との距離は約六メートル、草むらに隠れているから動くとばれる。
ん?これって俺詰んだんじゃね?
でも、諦めるわけには行かない・・・ここで諦めると俺の平和な午後が無くなり、保健室で一時間お休みになってしまう。
ここは身体強化を使い、一気に逃げるしかないな・・・
3.2.1.GO!
真琴は一瞬で身体強化を使い、凛歌のいる方向とは逆に走る。
「あっ!真琴くんみつけたー!逃げないでお弁当食べよ!愛はたっぷり詰まってるから!美味しいからー!」
「無視するなんて酷い!そっちがその気なら私だって!【水の束縛】」
真琴の足元から水で出来たロープが真琴を捕まえようとするが真琴はそれらを器用に避けていく。
「凛歌!昼めしはもう食べたから今日は大丈・・・うぎゃっ!」
真琴は【水の束縛】を避けるのに神経を使っていたため、木の根に気づけずバランスを崩し転けてしまう。
「う、うぅ・・・」
「真琴くん捕まえた。さっ、一緒にお弁当食べようね?」
凛歌に捕まえられた真琴は首を立てに降ることしか出来ないのであった。