80、神槍グン〇ニル
「乱反射ぁ!」
一番近くの化け物の懐に潜り込み乱反射を放つ。
それは鳩尾どころか化け物そのものを切り刻み、化け物の残骸はまるで霧のようにその場で溶けていった。
「閃光!」
だがやつらは一体ではない。
風を切り、しなる触手を閃光で真正面から撃ち落とす。
「よし! あと一体!」
「そんな君に悪い知らせだ、敵の増援が来たよ」
「うっそだろ!」
見ると穴の中からまた新たな化け物が這い出てきているところだった。
……くそっ、きりがないな。
「元凶を壊すんだ、じゃないとそいつらは止まらない」
「出来るならやってる!」
そして一番の問題はさっきから一歩も動かない化け物だ。
おそらくだが像を守っているのだろう、こちらをじっと見たまま微動だにしない。
あいつが居るせいで下手に無理やり壊そうとすると挟み撃ちになってしまう。
像の強度すら分からない状況でそれは避けたい。
「あいつらをまとめてやっつけられないのかい?」
「いや、そんなことをすればこの洞窟が崩れる、それは避けたい」
「何言ってるの、確かに全力でぶっ放せばこんな洞窟余裕で吹っ飛ぶだろうけどしぼればいいじゃないか」
「……しぼる?」
「そう、一点に集中させたり何かに纏わせるとか」
なるほど、そんな手が。
……いや、待てよ?
もしかしてあれを使えば、そうすれば。
「それよりも良いの? どんどん増えてるよ?」
見ると化け物数はすでに十体はくだらない数まで増えていた。
……これ以上は不味い。
一か八かだが試してみよう、もしうまくいかなかったらその時考える。
「何か思いついたのかい?」
「ああ、少しサポートしてくれるか?」
「もちろんさ! それで、何をすればいい?」
「囮になってくれ」
「……え」
「囮になってくれ」
「いやいやいや!? ちょっと待ってよ!」
「死にはしないだろう?」
「確かにそうだけども! けど一応感覚共有してるから痛いものは痛いんだよ!?」
「大丈夫だって、フランメならいける」
「こんな可愛い生き物にそんなことをさせるのかい!?」
「本体は可愛くないからな」
「一応俺火の王なんだよ!? もうちょっと敬ってよ!」
「ああ、それについてはローザが」
『雑に扱ってもらって構わないわよ』
「って言ってたから」
「ロォォォザァァァァアアア!」
「よし、それじゃあ行くぞ」
そう言って俺は小鳥の胴体を鷲掴みにする。
あっ、ほんのりあたたかい。
「待って! こころの準備をさせて!」
「ボールを相手のゴールにシュゥゥゥーッ!」
「ちょまっ! 酔う酔う酔う!」
くるくると回りながらフランメは見事化け物の群れに着弾し、一斉に触手が襲い掛かる。
我ながら良いコントロールだ。
「待って! お願い! 話し合おう! 話せばわかるから!」
「ありがとうフランメ! お前の犠牲は無駄にしない!」
「まだ死んでないから! あっ、ちょっと、誰か! お願い助けて!」
勘違いしないでほしい、フランメの犠牲は決して無駄ではない。
決して散々迷わされた仕返しだなんて思ってない。
「よし!」
そのおかげで目的のものを拾うことが出来た。
俺がぶん投げてその辺に転がったままになっていた槍だ。
「フランメ! もうちょっとだけ耐えてくれ!」
「もう無理もう無理! 逃げて良い!?」
そう言いつつも触手をひらりひらりと躱していく。
あいつ意外と余裕があるな。
「大丈夫だ! これで多分終わらせる!」
「本当に!? 絶対だよ!」
よし、本人の了承が取れた。
俺は目を瞑り力を貯める。
イメージは新緑の遺跡の時のあのぶっといレーザーだ。
だがあれではダメだ。
太くするのではない、力を凝縮して細い、だがすべてを貫けるように。
今出せる限りの、この体に有る力全てを。
……よし。
「準備出来たぞ! 離れろフランメ!」
「約束だからね!? これで終わらせてよ!? 絶対にだよ!?」
「ああ、これで……終わりだぁぁぁぁああ!」
俺は全ての力を込めた、眩いばかりに輝く槍を全力で像に向けてぶん投げた。




