54、チーム?結成
「それにしてもすごいね、全く見えなかったよ」
「いや、あれは実際には剣を抜いてないぞ。光魔法でそれっぽく見せてるだけだ」
「そうなの? それでもあそこまで早いのはすごいけど」
カコさんからのお墨付きをもらえたな。
完全に趣味の技なんだったんだけど以外と実用性があるか?
一応他にもいくつか作ったからそのうち見てもらうか。
「ところでどうする? さっきので完全に組める可能性が無くなったけど」
「こうなったら二人で行くしかないな。幸い場所も分かってるし二人でも戦えるしな」
「それに力を隠す必要が無くなるしね」
まあ、それが一番のメリットだろう。
いざというときに力を使いにくくなるしな。
「……あ」
「ん? どうしたんだ?」
「さっきの二人が走って来てる」
そう言われ後ろを振り返ると確かにさっきの双子が走ってきているのが見えた。
真っ直ぐこちらに向かっているから十中八九俺達が目的だろう。
「……カコ、俺の後ろに」
「やり過ぎないでね」
「出来るだけ努力する」
とは言っても、さて、どうしようか。
正直に言って「居合いの型 閃光」が俺の作った技で一番殺傷力の低い技だったから使ったんだが。
まだ向かって来るならこっちもそれなりの対処をしなければならなくなる。
それは避けたかった、出来ればさっきのやり取りで実力差を分かって欲しかったんだが。
「お前ら、まだやる「「すいませんでしたぁぁぁ!」」か?」
双子は俺達の目の前で止まると見事なシンクロ率での土下座をしてきた。
「実力差を理解せずになめた口をきいてすみませんでした!」
「殲光姫さんにもさんざん失礼なことを言ってしまいすみませんでした!」
「「許して下さい!」」
「え? あ、あの、気にしてません、から?」
誰だよこいつら。
さっきのお前らは何処に行ったんだよ。
「「そして俺達はあなたに用件が有り、参りました!」」
そしてガバッと顔を上げ俺の方を見る双子。
いやこえーよ、さっきより迫力が有るんだが。
「お、おう、で? 何だよ?」
「「どうか、どうか弟子にしてください!」」
What?
「で、弟子?」
「はい! 俺はあんなに早い剣を初めて見ました! 俺も一応剣を扱っているのですが、抜いたのも振り抜いたのも見えなかったのはあれが初めてです!」
うん、抜いてないし振り抜いてないもないしな。
「そして切り落とされた断面! 今まで見た断面の中で一番綺麗でした! まるで風か光魔法で切り落としたようです!」
うん、その通りだ。
「「これはもう弟子になるしかないと思いました!」」
「そ、そうか」
実は魔法でした、なんてめちゃくちゃ言いにくい、と言うか言えない。
そもそも剣に関しては俺は素人だからな、弟子になんて到底無理だ。
「あー悪いんだが、無理だわ」
「そんな! じゃ、じゃあせめて俺達とチームを組んで下さい!」
「チームを?」
「はい! せめてあなたの剣を近くで見せてください!」
さて、どうしようか。
この二人は前衛職、俺達が欲しかった面子ドンピシャだ。
だけどなー、こいつらさっき態度悪かったしなー。
{良いんじゃない?}
{カコ、良いのか?}
{多分、悪い人じゃないよ。ただ、冒険者が大好きなだけだったと思う}
なるほど、そういう考えも有るか。
「一つ聞きたい」
「「はい! 何でしょう!」」
「何でさっきはあんな風に絡んできたんだ?」
「殲光姫さんの悪い噂を聞いたからです」
「噂?」
「はい、噂で「殲光姫はギルドマスターに媚びを売ってランクを上げた」と聞き、それならば許せないと思い辞めさせようとするつもりでした」
誰だ、そんな噂を流したのは?
少なくともスタラトの冒険者じゃないだろう、まさにあそこでやっちまったからな。
となるとブリフィアの人間か?
……いや、そうする意味が無いな。
まあ、嫉妬か何かで生まれたただの噂だろう。
「なるほどな」
「「その事についてはすみませんでした!」」
……まあ、それならばこいつらに非はそんなに無いか。
{カコ、良いか?}
{私は構わないよ}
「分かった、チームを組むだけならば構わない」
「「本当ですか! ありがとうございます!」」
本音はこいつらの武器の扱いを見たいからなんだけどな。
近接戦闘は出来て損は無い、見るだけでも何もしないよりは良いだろう。
こうして俺達はチームを組めた。
ちなみに兄(剣)はニクラウス、弟(槍)はニコラウスと言うらしい。
「道案内をします!」と言ったニクラウスに「別に良い」と言うとすごく落ち込んでいた。
洞窟で活躍してくれと言ったとたんに回復したが。




