15、startライン
3月は多めに投稿してたからセーフ。
『ユーベル·フェルウス』
カコがユーベルの墓に花を供える。
墓と言ってもこの下にはユーベルはいない。遺体は今瓦礫の下に埋もれてしまったため学園が形だけでも墓を作ったらしい。
幸い、と言っても良いか分からないがユーベル以外には死人が出なかった。そのためか墓地には俺たち以外には誰もいない。
「というか、以外とあれだな。こいつは貴族だったんだろ?だったらもっと豪華な墓を想像していたんだが。あと、もっと人がたくさん墓参りに来るかと思ったんだが……」
ユーベルの墓は良く言えばシンプル、悪く言えば質素な墓だ。
「……おそらく、ユーベルは学園に来ていたんじゃなくて学園に送られたんだと思う。貴族の妾の子や次男以降は学園に厄介払いで送られることもあるの。だからそう言った人は家との縁をほとんど切られたようなものでこんな風に亡くなったりしても何もしてくれないことが多いの。……人が居ないのはただ単に」
「友達が居なかったからか」
………嫌なやつと思っていたが何かかわいそうに思えてきたな、ご冥福をお祈りします。俺は墓に手を合わせた。
そんな風にしていると教師がカコを呼びに来た。
そういえば理事長に呼ばれていたな。さて、どんな人かな。
俺たちは案内にしたがい理事長室に向かった。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
「失礼します」
カコが部屋に入ると理事長は居た。
年は60過ぎぐらいだろうか。短く刈り上げられた白髪に壮年の狼を思わせる眼光。年の衰えは全く感じさせず鍛え上げられた肉体を持ちまさに偉丈夫と言う感じだ。
「お前が第五位魔法を使った生徒か」
「はい」
「単刀直入に聞く。何を隠している?」
「っ!」
直球な質問にカコは息を飲む。
「………どういう意味でしょうか」
「そのままの意味だ。あんなところに未確認の魔物が?ありえない。それもあのバカでかい遺跡を更地に変えられるような魔物が出ること事態」
ごめんなさい、壊したのは俺です。
「そしていざ襲われると今までまともに魔法が使えなかったやつが急に第五位魔法を使って逃げ切った………これだけあって何も無いと考えるやつはよっぽどのバカだ」
そこで理事長は一息つき。
「もう一度聞こう。何を隠している?」
ぞわり、と背筋に氷を当てられたような感覚が襲う。
「…………」
「…………」
「………どうしても言わないか。まあ良い、今は聞かないでおいてやる」
「………え?」
「何でってか? 簡単な話だ、あんなレベルの魔物がただの学生に造れるわけがない。俺が今出来ることはせいぜい試験のやり直しぐらいだ」
「どういう意味ですか?」
「今回の件にギルドが本格的に乗り出した、なんせ未知の魔物、それも遺跡を壊せるような。人為的なものだろうとそうでなかろうとギルドは情報を欲しがっている。そして人為的なものならば」
「あわよくば自分たちのものに、と」
「そうだ、そして今回は国が乗り出してきやがった。正直言って危険さえなければ関わりたくねえな………言えないってんならわからない、もしくはしばらくは危険がないってことになる。間違ってるか?」
「………いえ」
「よし、それじゃあ本題に入る」
本題? あの魔物事を聞くために読んだんじゃないのか。
「卒業試験、お前は特別に合格だ」
「………良いんですか?」
「かまわん。どうせ第五位魔法を使うようなやつだ、合格するに決まっている。そこで、だ。お前は冒険者志望だったな、ならこれをスタラトのギルドマスターに届けて欲しい」
そう言って渡されたのは羊皮紙の巻物だった。
「これは?」
「お前の事について書いてある。中を見るなよ」
「わかりました。」
「よし。スタラトに行く馬車を用意してある、すぐに出発だ」
いきなりだな。
「すぐにですか?」
「それだけギルドは情報を欲しがっているというわけだ」
「………荷物をまとめる時間を頂いても良いでしょうか?」
「かまわん」
「わかりました………失礼します」
カコは理事長室を後にした。
さて、遺跡で派手にやり過ぎたか?
「悪い、カコ。派手にやり過ぎた」
「良いよ………それよりも早く準備をしなきゃ」
カコは部屋に向かって走っていった………まあ、どのみち学園は出る予定だったからな。これで良かったか?
結局学園を出たのはその日の夕方だった。カコはカミラとのお別れも済ましてきたようで目元が赤かった。
………スタラトか一体どんなところだろうか?
俺は馬車に揺られながら胸を弾ませた。
とうとうパソコンがご臨終なされた‥‥‥。
さて、この小説は月一以上投稿を目指していましたがリアルが新しい環境になり忙しくなりました。なので落ち着くまでは不定期になるかもしれません。ですが最低でも半年で定期投稿(のような何か)に戻りたいと思っています。失踪はするつもりはありませんので待って下さるのならば幸いです。