14、世界三大テンプレスキルの一角
この話で一章を終わりたかった・・・・。
{いってきます}
------いや。
{いってらっしゃい!}
------どうして思い出すの?
{どうして帰って来ないの!}
------何で帰って来ないの、リヒト?
{どうして、どうしてなの・・・・・・}
------あなたもわたしを置いて行くの?
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
「うおっ! あっぶね!」
俺が外に飛び出ると同時に遺跡は完全に崩れ落ちた。
あっぶね~、あともう少し遅かったらぺしゃんこだったな。
俺は汗を冷や汗を拭いながら近くにあった岩に座った。
しかし、あれは一体何だったんだ。カコや他の生徒も反応からして知らなかったみたいだしな。ましてやあんなのが初心者用の訓練場に出るはずが無い。
そうするとあいつの仕業か。……いや、何か違和感を感じるんだよなー。
今まであいつがやった事はせいぜい俺に対する嫌がらせだ。それにあいつも俺以外の味方をすると言ってたしな。
それに……あのばけものも。
………だめだな、いくら考えても推測の域を出ない。だけど調べようにもあいつは俺が消し飛ばしちゃったもんな。
ここは大人しく帰るとするか
「っ!」
飛びのくと同時に地面からあの黒いのが飛び出してきた………そういえばあいつが飛ばしたやつはまだだったな。
いや、ここはポジティブに考えよう、手掛かりが残ったと。
「まあ、こいつみたいに残ったのも勝手に出て来てくれるか。」
跡形もなく光で消し飛ばしてっと、
ん?そういえば『童貞の説明書』になんかあったような。
え~と、どこだっけな………あった。
鑑定の使い方:スキルの王道、スキルオブスキルだよ。鑑定したいものを見ながら念じると情報が出てくるよ。
なるほど、念じるだけで良いんだな。次のやつで試してみよう。
………対象が居ないだって? なに、対策はあるさ、その名も
「フィンデ!」
説明しよう。フィンデとは探したいものを思い浮かべながら発動することにより一定範囲内の対象の位置が分かるという下等魔法である!
なお、範囲は使用者の魔力量に依存する。しかし、チートの俺が使えば範囲なんてほぼ無限大!
「みたか! これが魔法の特訓の成果だ! ふはははは!」
わかる、わかるぞ! あいつらは残り八体!
「ほう……」
分裂したのか。だが無駄だ! 我が魔法の前には貴様らの行動はすべてお見通しだ!
そう、そのうちの二体が今まさに俺の足元から飛び出ようと
「あっぶねえええぇぇぇ!」
今度は二体同時に飛び出してきた。
何、お前ら!? そんなに足元から攻撃するのが好きなの!?
と、とりあえず鑑定を使わないと………鑑定!
個体名:ギガント
………え? これだけ?
もっとさぁ、何かもっと詳しいのはないの?
いや、落ちつけ。あいつらはいる。そいつを鑑定してみないと分からないじゃないか。
結局俺が今燃やしてる最後のやつも名前しか表示されなかった。
大したヒントも得られなかったな。ていうかさっきの俺どうしてたんだろうな、やたらとハイテンションだった。
まあ、あいつとの戦いでは魔法が使えなかったから嬉しかったんだろうな。せっかく特訓したんだから使いたかったんだろうな。
………それ抜きにしても崩れた遺跡の前で高笑いしながら魔法を使ってる。うん、ただの危ない人だな。俺だったら絶対に近づきたくない。
まあ、とりあえず今日はこれぐらいにして帰ろう
「やっべ! 忘れてた!」
もう大分遅いじゃねえか、絶対カコ心配してるよ。絶対カコ怒ってるよ。
俺は全速力で飛んだ。
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俺が寮に帰りついたのは完全に日の暮れた後だった。
そしてやっぱりカコは怒っていて帰ってそうそう説教が待っていた。
説教が終わった後遺跡を崩した事を謝ったらまた怒られた。解せぬ。
落ちついたカコに事の顛末を尋ねた。
あの後は全員無事に脱出出来たらしい。
あの魔物について調べたが奴はどの魔物の特徴とも合致せず、最終的には悪霊系の突然変異だったのではないかという結論に落ち着いたらしい。
あわよくばと思い鑑定して出てきた名前をカコに聞いてみたがやはり聞いた事が無いそうだ。
うーん、結局謎のままか。まあ、そのうち分かるだろう。
「そういえばカコ試験はどうなるんだ?」
「その事についてなんだけど、明日理事長先生の所に行くように言われたの」
「ふーん、何でだ?」
「さあ?」
まあ、どの道試験はやり直しだろうしな。
今度こそ何も起こらなければ良いが。
俺は不安を胸にしながらベッドに横になった。