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「くたばれ、クソ神様」  作者: 無脊椎動物
いざ、ブリフィアへ
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85、さらばブリフィア

「そういえばカコ、それは何なんだ?」


 カコは指に見慣れない指輪のようなものを身に着けていた。


「これ? これはローザさんに貰ったの、今回のお礼だって」


 それは装飾の施された、美しいものだった。

 全体はくすみもない、透き通るような金色をしておりまるで羽をモチーフにしたかのような彫刻が彫られている。

 そして中心には宝石が、ルビーかと思ったが宝石の中でゆらゆらとまるで燃えているかのように光が反射していることから違うだろう。


「なあ、ちょっと調べてみても良いか?」


「うん良いよ」


 よし、許可も貰ったし、鑑定!




 不死鳥(フェニックス)の祝福


 希少な魔物、不死鳥(フェニックス)は数百年に一度魔石を創りそれを体外に排出する、それを装飾として使った指輪。

 装備した者の火魔法と回復魔法の発動を助け、またその者が危険にさらされた時身代わりになる、と言われてる。




 なるほど、これを身に着けると火魔法と回復魔法の発動をサポートするのか。

 カコにはちょうど良いな。


「そう言えばスタラトに行った後はどうするの?」


「ん? どういう意味だ?」


「王の所って言っても他にも何人かいるから誰からかなって」


 ……ふむ、考えてなかったな。

 漠然と王に会いに行くとしか考えてなかった。


「いや、考えてなかったな、カコの行きたいところがあるならそこでも良いぞ」


「うーん、私も行きたいところはないかな……そうだ!」


「どうしたんだ?」


「水の王はどう?」


「水の王? 何でだ?」


「水の王の居るところは世界有数の港町なの、そこには色んなところから船が行き来してるから他の所にも行きやすいと思うよ」


 ……確かに、移動手段が困らないなら行っても、いや、いっその事活動拠点にしても良いかもな。


「よし、そこに行こう」


「分かった」


 水の王か、一体どんなやつなのだろう。

 フランメはイメージをぶち壊してきた残念なやつだったが今度こそはもっと威厳があってほしいものだ。


「そろそろ行こうか、今度は人として同行してね」


「ああ、分かってるさ」



 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽



「はぁ」


 胃が痛い、この職に就いてここまでダメージを負ったのはいつ以来だろうか。

 何でよりによって俺の時なのだ、先代のクソ親父の時でも良いではないか。


 コンコン


 部屋の中に俺のため息以外の音が響き渡る。


「……入れ」


「失礼します」


「失礼する」


 ……来たか、今まさに俺の胃にダメージを与えてくるカコとアラタだ。


「……とりあえず今はよくやったと言っておこう」


 初めに来た時最初にカコから受けた印象は『巻き込まれてしまった一般人』だった。

『殲光姫』なんて呼ばれ始めたときは多少キリキリする程度でまだ許容できる範囲。

 これぐらいならたまに、そう、ごくたまに現れる天才だ。


「ありがとうございます」


 一番の問題はアラタだ。

 通信珠越しに会った時はてっきりカコの取り巻きかと思っていたんだがな、とんだ爆弾だった。

 なんだあの戦いの痕跡は、カコよりもよっぽどの化け物ではないか。

 幸い、洞窟の奥深くという事であの痕跡を見た者は最小限に抑えることのできた。

 本音を言うと今すぐにでも本部()にぶん投げて身軽になりたいが、そのまま伝えるとアラタが敵味方だろうと関係なくちょっかいを出す奴が出てくるだろう。

 それはギルド的にも個人的にもよろしくない。


 もし味方だった場合、ギルドにそんなことをされれば愛想を尽かされ離れかねない、そうなった場合逸材をドブに叩き込んだのも同然だ。


 そして敵だった場合、今あいつは大人しくしているがこちらが敵対的な行動を見せれば本性を出すかもしれない。

 そうなった瞬間スルーした俺に全責任が降りかかるのは火を見るよりも明らかだ。

 下手すると俺が指揮を取ってアラタを討伐する羽目になりかねない、化け物と戦うなんて命がいくつあっても足りない。


「そしてアラタ、改めて俺から言うが、お前は今からBランクだ。今後も精進に励むように」


 だからアラタ、頼むから人間の範疇の功績を早く残してくれ。

 隠し続けるのは物理的にも精神的にもきつい。

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