朱色の影
幼い頃から見えるブルースクリーンと呼んでいるもの。
ある種の透視ではあるが、物は確認できないし、見えるのは人の黒い影だけ。
不思議な少年のお話の始まり。
昔から...僕は頭がおかしいのではと思ってしまう。
何をしていても動きを止め、上を見上げて考えてしまう。いったいこの宇宙はどうなっているのだろう。ただの原子がどうして遺伝子を持ち始め、進化したのだろう。
考えても途方のない事だとわかっている。
動く時間、雲、教科書...え?
パァン!
教室中に僕の頭が叩かれた音が響き渡る。
先生「くぉら!また寝ぼけおって!」
いつもの光景だ。慣れている。
つまらない英語なんて聞き流すだけで十分だ。
クラスのみんなが笑っているが僕には関係ない。所詮、人間とは集団で行動することで、いや、行動を合わせることで自分が傷つくのを避ける生き物だ。
そもそも自分が傷つくという定義すらわからないのだけど。
ふと空を見上げると雲の位置が変わっている。いつかはあの雲達も水滴となり地上に降り注ぎ、草木を育む存在となるのだろう。
ずっと地上と空を行き来しているのか?
いいや。違うと思う。
いつか終わる。
これが僕の口癖だ。時間という川は流れ去ってしまうのだ。例えどんなに長かろうと始まりがある以上は終わりがあるのだ。授業が終わるまで残り5分少し。
終わるということはどういうことだろう。
なくなってしまうこと?死んでしまうこと?
いくつもの疑問が浮かんでくるがどれも当てはまらない気がする。今の自分ではわからない。根拠は無いけどそう思う。
そして僕は今居る第二棟から第三棟へと意識を向かわせる。目を閉じ、意識を集中させ。
見える。
はっきりと、ブルースクリーンの様に真っ青な世界の中に、人は黒く見える。だけど、一人だけ朱色の影が。
どうやら...書道の道具を片付けているみたいだ。
そんなこんなしている内に、チャイムがなる。昼休みということでみんなそれぞれ弁当を食べている。
あの朱色の影はなんなのだろうか。つい先日から見えるようになったのだ。
ブルースクリーン自体は小さい頃から見ることが出来た。だけど誰にもいわなかった。
子供心に、みんなに取られるかもしれないと思ったからだ。だけど、高校生の今では言ってはならないものだとわかっている。根拠は無いけど、心がそう言っている。
それから僕は第二棟へと向かった。
階段を登り、左へと廊下を進む。そうすると書道室なるものの掲示が見えてきた。
廊下の壁にもたれかかりブルースクリーンを見てみる。
居た、はっきりと、見える。
周りに黒い影は確認できない。
朱色の美しい影が。ゆらゆらと誘っているかのように。
どうしたものか、話しかけるか?
どうする?...。
ん!?向こうの動きが止まった。
なんだ...?
急いで意識を現実へと引き戻す。
若干息が荒くなっていた。
そして書道室のドアの隙間から恐る恐る覗いてみる。
そこに居たのは、この学校の三年生だった。
制服に青い名札を着けているので間違いないだろう。ただ...この人は普通の人とは何かがちがう。なんだろう。雰囲気が違う。朱色という先入観があるからだろうか?
彼女は何か、道具の片付けだろうか?
動きがおかしい。
こちらからは、制服の名札がチラチラ見えるだけだ。顔は一切見えない。強いて言えば黒髪のロングであるということ...
色々考えているうちに、向こうの挙動が更におかしくなった。だんだん体自体が大きくなっているのだ。一瞬目を疑ったが間違いない。やがてドアの隙間が埋まってしまうほどに...後ずさりしようとしたが壁が邪魔をしてくる。恐怖のあまり座り込んでしまった。
すると次はドアが開いた。
何が飛び出してくるのだろう。
少しずつ正体が見えてくる。
本当に...もっと勉強せねば...
読み返しても見苦しいとこだらけ...
あと、予告してたR-18は次回になりそうです。
主に残酷な描写、性的なものも多分含まれてくるのではと思います。
読んでくださってありがとうございます。