サグオ運営との決着
そしてユリカは暴走していた。
暴走するユリカのズバアアアアアッ! という怒涛の魔法攻勢になすすべも無い。
この東大陸の魔力の全てを吸収し出していた。
しかし、ライトの瞳は黄金色に輝いている。
「諦めないぞ! 運営の暴走はこの俺が絶対に阻止する!」
「そこまでこのサグオに入れ込んでいるのは感謝するわ。でも少し入れ込み過ぎよーーーっ!」
「ここが俺の世界なんだから当たり前だぁーーー!」
地面を這う数発のサンダーボルトを浴び、ライトのHPゲージはレッドゾーンに突入する。
この勝負の決着が近い事を周囲の人間達は察し、見守る。
速射詠唱スキルに対しては、閃速でなければ回避は不可能である。
「ここで終わりよ! たかだか一プレイヤー風情が運営に勝てると思うなぁ!」
ライトに極大魔法が叩き込まれた。
だが、そんな攻撃は当たらない。
消失していたスキルゲージも回復していく。
「い、怒りでスキルゲージの総量が上がるの? 貴方は一体何? 何だと言うのよ……」
ユリカはスペルガンを取り出し、構えた。
「ならダブルスペルガンで――!」
ユリカは両手に構えたダブルスペルガンのトリガーを引く。
このマジックギャザリングに蓄えられた全ての魔力をライトを倒す事だけに集中して放つ。
「そんなエネルギーはブチ抜いてやるぜ! 俺の閃速は何もかもを貫いてやる!」
「死ねライト!」
ズボーーッ! という極大のエネルギーの本流にライトは突っ込んだ。
ユリカの放ったスペルガンは銃身が曲がり、壊れる。魔力を使い果たしたユリカはその場に倒れ込む。全てのエネルギーは一つの筋を描きその先には何も残ってなかった。
「……終わった。やっとあの男を退治したからもうこれからは安心して運営活動に集中出来るわ」
「無理だな。俺は生きてるし」
「え?」
必死にユリカは呪文の詠唱を始める。
この一撃で勝てなければ敗北は必死であった。
すぐさま攻撃すれば勝てるものを何故か構えたまま動かないライトは言う。
「お前がここまで追い込んでくれたおかげで俺も次の段階へ進めそうだぜ。無限の閃速を見せてやるよー」
「ま、魔法を――」
「使わせねぇよ。うおおおおおおおおおっ!」
シュン! シュン! と殴り消え繰り返しの無双をかました。
ライトは東大陸の王に勝利する。
ここでライトは選択を誤った。
禁術である魔法施設を破壊しなかった事によりここの地下にて生み出されていたシステムが勝手に自己進化を始め、ライトにとってもう出会う事の無い少年と再開してしまう事になる。
そして、このルートの最果てにいる闇を生み出すキッカケにもなってしまっている事をライトは知るよしも無かった。