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サイバーグランゾーンオンライン  作者: 鬼京雅
東大陸・マジックギャザリング編
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東の魔術王・ユリカ

 東の魔術王・ユリカ

 砂の異空間である砂漠の戦いが始まる――。

 まるで蟻地獄のような砂だらけの異質な空間にライトは落とされた。

 同時に、アバターファーストの効果が切れて今までのスキルが回復した。

 偶然か必然か、ライトにとってここに来たのは運が良かったのである。

 乾燥した砂だらけの空間の中央には赤いワンピースに赤髪のロリ系のアバターであるスラミーナがいた。デューンという砂の力を使うスラミーナは言う。


「永遠の砂地獄に堕ちるがいいわ」


「お前は何だ? ジンの手下か?」


「金庫番だよ。ここで寝ててもらうよライト」


「こんな場所には用がねぇんだが――な!」


 ライトは拳を繰り出した。

 しかし、その拳は砂で防がれる。


「この砂は防御にも使えるのよーん」


「ふーん。ならこうだ」


「砂の中を泳いでる!?」


 突如ライトは砂の中を泳ぎ出した。

 砂の中を泳ぎ真後ろに出たライトの拳は全て砂の防御壁に防がれた。

 舞い散る砂がライトの視界を殺し、蹴りを繰り出した先にスラミーナはいなかった。


「蟻地獄」


 ズアアアアッ! とライトは砂が渦巻く蟻地獄に呑みこまれる。

 その歪んだ地面を閃速で駆け、スラミーナに接近し殴った。


「うらぁ!」


「ぐっ!」


 スラミーナは倒れ、笑うライトは言う。


「蟻地獄を使ってる時は砂の防御は出来ないようだな」


「し、知らないよ!」


 スラミーナの技の特徴をライトは見切った。

 強がりを言うスラミーナは言う。


「それが迂闊と言うのだよ」


「この蟻地獄の規則性は身体が覚えた。もうこの足場は目を瞑っても対応出来るぜ」


「ならこうだよ!」


 砂の防御壁を丸くし、絶対防御を作り上げる。

 そして砂のビームでライトを倒そうとした。

 しかし、外にはライトの反応は無かった。

 スラミーナの背後から、声が聞こえた。


「砂の絶対防御でも、その絶対防御の中に入れば効果は皆無だぜ」


「なっ!? こいつー!」


 ズバッ! と拳が一閃しスラミーナを倒した。

 そして撃退アイテムである星に手を伸ばす。


「魔力吸収の髪飾りか。サクヤが持つと魔法に影響が出るからあげるならキキョウだな」


 そしてライトはジンの金庫を見つけた。

 今までに集めた様々なレアアイテムがある金庫をライトは見つめる。


「これはジンのアイテム金庫か。ブチ破りてぇ」


「壊してやるわ。全てをね」


 突如現れるボマーである謎の破壊活動をする幼女にライトは驚く。

 出来る限りの破壊をしたボマーは次元の切れ目に入り込み、脱出して行った。


「何なんだあいつは? 課金ゲームが嫌いとか言ってたがよくわからん。俺も脱出しよう」


 ボマーの攻撃で脱出する糸口を見つけたライトは脱出する。

 そして脱出した外で遭遇するジンを突き飛ばすと、ジンはライトの能力が戻った事で逃走した。


「ボマーの野郎……俺の金庫を破壊する為にわざと吸い込まれたのか。お前も金塊王にやられちまえライト!」


「金塊王? 西の王か。ここが終われば行ってやるよ」


 そして国立大図書館に戻ったライトは屋上にたどり着く。

 流れる血ではなく、何故か雨そのものが赤い色であるのを見た。

 赤い雨が降っている屋上は死神アバターのサクヤとこの東大陸の王・ユリカが戦闘していた。

 もう戦ってるのかと思いつつもライトは参戦する。

 ユリカの魔法の一つかと思うライトは警戒しつつ構えた。

 かなりのダメージを受けるサクヤとバトンタッチし、攻めた。


「気をつけてライト。その女は時を止めるわ」


「どうやって回復したかは知らないけど、よく戻ってきたわねライト。今度は消すわよ」


 ユリカは時を止める能力があった。

〈見切り〉のスキルがあるライトはこのユリカのスキルを見切った。


「厳密には超高速で動いているだけだな。俺の閃速なら対応出来る」


「その為のノーチェンジフィールドだよ。パチリ」


 ユリカは指をパチリと鳴らす。

 屋上の周囲に機械が展開し、バチバチと魔力を散らす。

 ノーチェンジフィールドとはパワーアップ出来ないフィールドだった。

 それを使われたライトはスキル技を無効にされてしまう。


「ここのフィールドに力を使っている以上、魔術師ながら野蛮なソードしか使えない。それでも私の勝ちは変わらないよ」


「まぁいいさ。拳一つで勝てばいいだけの話だからな」


「貴方に構ってる暇は無いのよ。運営は日々忙しいんだから」


「何で忙しいかは余計な事を企んでるからだよ」


「そうね。返してもらうわよ。私のスペルガン」


「スペルガンを返すのは次回にお預けだな」


「大丈夫。貴方はもう死ぬわ。このノーチェンジフィールドは生身である貴方にとって地獄のはずだから。それと、この今の私は分身体だからね。残念でしたー」


 そして、ノーチェンジフィールドはアバターにチェンジ出来ない為にライトが単純にライトニングのアバターが解除されるだけであるか、現実世界の病院で植物状態にある身体に転成するか、それとも死か――。


「ノーチェンジフィールドが発動すれば貴方は死ぬわ。とある情報筋からの情報だと貴方の身体は生身らしいし、この戦いで血の感触や汗のかきかた……その他もろもろが明らかにゲームの設定というより、生身そのものというのが理解出来た。その身体はモルモットとして使いたいけど、貴方は異端過ぎる。これ以上邪魔をされる訳にはいかないからここで死んでもらう」


 ズズズズ……とユリカは分身する。

 多数の分身を生み出したユリカはゆっくりと何かのスイッチを持つ手を掲げた。


「このスイッチはノーチェンジフィールドを強化するスイッチ。このフィールドを維持するには膨大な魔力が必然で、機械に頼らないと厳しいのよ」


 閃速のスキルを発動させ分身するユリカを倒す――が、死神アバターの元相棒・サクヤが現れ静止させる。


「おい! 邪魔すんなサクヤ!」


「邪魔するも何も、あの女はスイッチを押してからスイッチを掲げたの。女の言葉を簡単に信じてはダメよライト」


 紫のツインテールを揺らすサクヤの言う通り、すでにノーチェンジフィールドを発生させるスイッチは押された後だった。チッと舌打ちするライトはサクヤに苛立ちながら言う。


「サクヤはもう動けないはずだった……。俺の鷹の目は誤魔化せねぇぜ? 何をしていた?」


 渡されるフードマントをかぶるライトはノーチェンジフィールドのスイッチが押される前からこの場にいたサクヤに言う。


「今にわかるわよ。一度ノーチェンジフィールドは発動させる必要があったの」


 薄い唇を笑わせるサクヤに、ライトは唇を尖らせながら頷く。

 余裕を見せるサクヤを睨むユリカは白い髪をサラリと触り言う。


「そのフードマントは特殊な魔法耐性でもあるの? でも無駄よ。この禁呪魔法はそんなチャチな布では防げない。そろそろ、そのライトニングのアバターに障害が出るはずよ……」


『……』


 ライトとサクヤはずぶ濡れになる身体の重みで言葉が出ないように黙る。

 絶望を更に上乗せするような雨が、三人を包み込む。


「ん? ゲージが減っている?」


 瞬間、ユリカは雨に混じる赤い水を見た。

 それがこの空間の様々な物資を少しづつ侵食していた。


「酸の雨? まさかサクヤ……貴女がこの雨に紛れさせて酸の魔法を使っていたのね!」


「そう、ブラッドレインをね」


 サクヤが放つ酸の雨で勝つ算段が整っていた。

 へへっと笑うライトは言う。


「このマントフードは酸の雨対策だ。機械を媒介にする禁呪魔法なら、その機械を壊せば発動はしない。長く苦しい研究ご苦労さん。ユリカ」


 キキョウのブラッドレインの酸の侵食はジワリジワリ……と通常の雨に混じりこの周囲の機械を壊そうとサクヤは企んでいた。その為、ライトに加勢をせずユリカが切り札を使う前に下準備としてこの禁呪魔法に勝つ対策をしていたのである。

 白い髪をかきむしり、地団駄を踏むユリカは怒り心頭で言った。


「許さないわよ……私の計画を邪魔する者は。努力が天才を上回るのよ。私が……シュウヤを超えるの……」


「なら本体で来いよ。分身程度じゃ俺達には勝てないのはわかっただろ?」


「運営代表を! このユリカを舐めるな! だけど分身では勝てないか。なら次は本体が相手になるわ。この地獄を越えたらね」


 ユリカはライト達を魔力の穴に落とした。

 サクヤを吹き飛ばしたライトは一人穴の奥に落ちて行く。





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