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サイバーグランゾーンオンライン  作者: 鬼京雅
南大陸・メディカルキャッスル編
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南大陸・邪竜復活阻止作戦の終了

 邪竜の禍々しい口にこの周囲一帯を吹き飛ばす最後のマップウェポンのエネルギーが生成されていく。

 それを見るライトは守る人間が多すぎて動けない。


「エビナの奴の最後の一撃か……くそっ!」 


 ドラゴンキラーはライトの目と鼻の先にあるがすでに手に取る事が出来ない。

 無理に手にしても、その時はマップウェポンでお陀仏だろう。

 エビナの息子であるエピオンもいるが何もしないで見守る。


「俺様は親父の勝利を信じる」


 そして倒れる女侍・キキョウは隣で横になるサクヤの胸元に手を入れた。


「下着を借りるわよサクヤ」


「え? ちょ?」


 エネルギーを溜め蠢く邪竜エビナはライトが芋虫のように動いている事に気づく。


「もう遅い。ドラゴンキラーを手にしても扱う事は不可能だろう――むっ?」


 しかし、キキョウはサクヤの紫のレースのブラジャーでドラゴンキラーを飛ばす。


「ははっ! そんな布で自分に取り寄せるかと思えば失敗したな。一体そんな場所に誰がいる?」


 邪竜であるエビナの瞳が驚愕する。

 一瞬でどんな場所にでもあらわれるほどの速さを持った金髪の少年がそこにはいた――。


「何故だ? スキル〈閃速〉はまだ使えないだろう!?」


「サクヤのブラジャー効果で精神が元気になって閃速を生み出したのさ。なんせ俺は生身だからな」


「そんな事が可能なのか! バ、バカチンがーーーーッ!」


「エビナーーーーッ!」


 凄まじいオーラがこもるドラゴンキラーが炸裂した。

 ギュオオオオオオオオオオッ! という絶叫を上げ、邪竜は倒れた。

 自分達の暴走するボスを倒したライトにエビナメディカルの面々は喜び、エビナの息子であるエピオンは偉大な父の敗北に瞳を閉じる。

 金髪をかきあげるライトは、助けに来たキキョウ、サクヤ、アークとレイに感謝して拳を上げる。

 そして手に持つ竜の鱗の剣を見ながら呟く。


「武器に頼っちまったな。まだまだ修行不足だぜ」


 そして南大陸のイベント・邪竜復活阻止作戦は終結した。







 イベント終了後のエビナメディカルキャッスルの宴会。

 邪竜復活阻止のイベントが終わり、西大陸中央都市のキャッスルの広場では多いに賑わいを見せていた。

 ライトの話により、エビナが欲に歪み邪竜になった事もイベントの一つと認識してしまっているのでエビナ家に対する反感は無く先日のイベントでの話でどのテーブルの人間も盛り上がっていた。

 ライトは特に条件も出さずその話を広めたが、エビナは無言でいるさいきの男に一つの誠意を示した。

 今までは会員以外は別料金でコンテニューなどの費用もタダだったが、エビナ病院に通って無くても全て無料になった。

 皮肉にもそれでエビナは更に尊敬される。

 そしてこのイベントのヒーローであるライトはエビナ親子の前にいた。

 どこかぎこちない二人にイライラするライトは一つの考えが思い浮かぶ。


「固いな……とりあえずもっと近く寄れよ」


『……』


 エビナ親子はライトに言われるままお互いの身体が触れるぐらいの距離まで近づく。

 そして二人の後頭部に触れ、そのまま押した。


『――!?』


 問答無用でライトはエビナ親子にチューさせたのである。

 流石にゲーム内とはいえ、リアルな唇の感触は互いの不快感をマックスにさせた。


「貴様ライト!この次世代の王であるエピオン様のファーストキスをこんな形で……!」


「知るか。次世代の王ならキスぐらい済ませとけ」


 ふうっ……と溜息をつくエビナ医院長は息子の普段の姿がこんな感じなのかと思いながら言った。


「これで今迄築かれたわだかまりもなくなったな。感謝するぞライト君」


「ま、うまくやれよ」


 そしてライトは宴会の中心へ向かう。

 メインステージはマジックショーが始まり人体切断マジックなどがされていた。

 泡姫はステージ上で妖艶な色香でエビナメディカルの連中を魅了している。

 サプリメントの盛り合わせもあり、キキョウはサクヤにサプリ食わされかけ逃げる。

 薬のような健康食品が嫌いなキキョウはあまり医者も好きではなかった。

 その二人を見つめていると、黒と白を基調にしたアバターの弟子の二人が現れた。


「よぉ、アークとレイ。だいぶ成長したな。もう普通のサグオプレイヤーだな」


「当然だぜ。俺は最強のソールドキングを目指すんだからな」


「アーク君、シールドとソードを合わせた造語は気にいらなかったんじゃない?」


 ギク! とするアークはライトの凄む顔にビビリながら釈明する。

 もう二人じゃなくても安心して冒険ができるなと思うライトはいつか自分と戦う日を夢見て言った。


「今度会う時は敵かもな」


『はい!』


 拳を合わせ、アークとレイと別れた。

 そしてライトは保存しておいたエピオンの料理を持ちそのまま走る。

 イベント終了の演説をする事について話し終わる海老名医院長にこっそり渡す。

 そして、キキョウの元へ赴いた。

 今のキキョウは中学三年で受験勉強があり、エスカレーター式の学園ながら親からは受験に参加しトップテンに入らなければ鬼瓦ファミリーの息子の誰かとの見合い話を受けさせられるらしい。

 現在、サグオのスポンサーでもある急成長する鬼瓦ファミリーとキキョウの親の桔村グループは合併などの話も出ている。テスト前で疲労するキキョウがわざわざ駆けつけてくれた事にライトは感謝した。


「……ありがとな。東大陸は一人で攻略するから安心して勉強してくれ」


「そうですわね。トップテンを死守すんのは大変だからピンチの時以外はそうさせてもらいます」


「おう。どこの親子関係も難しいもんだぜ」


 ライトは海外にいる疎遠だった両親を思ったがすぐに忘れた。

 いかな血統とて、常に近くで顔を合わせている関係でなければ繋がりは薄くなる。

 そして、影のように現れた死神アバターのサウヤはライトをつねりながら言う。


「まぁ、しばらくはライトの監視をしておくわ。変な虫がつかないように」


「いてぇ!」


「変な虫はあんたじゃないですかサクヤ!」


「早くログアウトして勉強頑張らないと楽しいお見合いが待っているわよ……」


 フフフ……と冷たく恐ろしく笑った。

 そして、ライトは現れる海老名医院長と話す。


「君の現実の身体は私が責任を持って保存しよう。無論、息子にも手伝わせる。後継者として育てる為にね」


 現実にあるライトの肉体は冷凍保存され安心してゲームを続けられる事になった。

 息子とのわだかまりも解け、硬さが抜ける海老名医院長にライトは言う。


「釣りをする釣竿なら貸すぜ?」


「君のように針ではなく餌をつけてちゃんと釣るよ」


「そうだ。俺の釣りは人を釣る為のもんだからな」


「釣られた私は君の光に導かれたようだな」


 ライトは南大陸全体をを敵にするつもりでいたが、仲間になってしまった事に驚く。

 それに弟子まで出来て、ソロプレイヤーだった頃の自分とは大違いだと自分で自分を笑う。

 そして宴会も終わり、大勢の声を受け東大陸へ転移する。

 仲間とはいいものだと知るライトは魔法王国の東大陸に転移した。



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