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サイバーグランゾーンオンライン  作者: 鬼京雅
ブラックマトリクス編
3/51

新たなるサイバーグランゾーンオンラインの始まり

 VRMMO・サイバーグランゾーンオンライン。


 それは果てしなく広い大陸を一人のプレイヤーが愛用の武器や魔法で戦い、他のプレイヤーやダンジョンなどにいるモンスターをソロかパーティで倒しレベルを上げて行くVRMMO。

 一つのアバターや、一つの武器を極める単純さと広大な大陸を歩き回る自由さや、やり込み要素が受けて人気オンラインゲームとなっていた。それと、開発者である天才ゲーマー大学生・鳴海修也なるみしゅうやが交通事故死した事によりこのサイバーグランゾーンオンラインは日本のオンラインゲームナンバーワンの地位を築いていた。


 そして現在、新たなゲームマスターであり最強のゲームプレイヤーであるライトニングのライトは不機嫌な顔で魔人がいるというダンジョンのゴブリン共を八つ当たりするように蹴散らし、無双していた。


〈ネーム〉ライト

〈アバター〉ライトニング

〈スタースキル〉ライトニングドーン・ライトニングカウンター

〈スキル〉瞬歩しゅんぽ・見切り・思考加速・鷹の目・無音むおん



「あー、ポーション美味い」


 HPが減ってもいないのにライトは趣味でポーションを飲んでいる。

 ライトの頭上にある緑のゲージが自分の体力を現すHPゲージ。

 その下にある赤いゲージがスキルゲージだった。


「魔人がいるわりには弱い敵が多いな。バグか?」


 すると、奥の闇から邪悪な顔をしたデビルガーゴイルが現れる。

 同時に魔法封じのスキル・マジックキラーが発動する。

 それが直撃し、ライトは軽く痺れる右手を見据える。


「残念、無念。俺は魔法は使えないぞ」


 瞬間、奇声を上げていたデビルガーゴイルの頭部は消滅する。

 そして、暗闇の天井付近から今の状況を観察していたデビルガーゴイル十体が急降下して来た。


「上等だ!」


 ズゴンッ! と地面に拳を入れ、周囲を無数の小石で満たされる。不意を突かれたデビルガーゴイルの群れはすぐにライトに再度狙いを定め、鋭い爪で襲いかかる。すると、動くライトは数字を数えていた。


「八……九……十っ!」


「グゲェ!」


 すでにライトはその消滅する死骸に見向きもせず、進む。ここまで一切のダメージは無く、気分的にポーションを飲みたくなったから飲んでいただけでダメージというダメージは受けていない。


 基本的にライトは武器を持たない事により他のプレイヤーよりパラメーターの振り分けが多く設定でき、身体能力の強さには自身があった。


「……シュウヤの奴、ゲームマスターでもこのゲームの設定もなにもかも出来ないようにしていたのか。これでは俺はただのプレイヤーでしかない。まぁ、いいがな」


 そして中ボスエリアに入りモンスター・シールドガッツマンが現れる。

 瞳が赤く光るライトは〈見切り〉のスキルが発動する。

 この〈見切り〉のスキルは相手の弱点や攻撃方法を姿形や武器の形状などから先読みし、パターンを看破するスキルである。ライトはシールドガッツマンの自慢げに持つ大きな盾に注目する。


「あの盾は相当な防御力だ。これは必殺技じゃないと厳しいかな?」


 口元を笑わせ、そのまま駆けるライトは右拳に力を込めた。シールドを構えるシールドガッツマンは次の一撃に耐えた後のカウンターで仕留めようとライトに見えないように逆手でソードを隠し持っている。瞬間、ライトの〈見切り〉スキルが反応を示す。


「ガッタービーム!?」


 シュパッ! とシールドガッツマンの両目からビームが放たれる。それをバッ! と上半身のみを背後に傾けて回避し、また起き上がる。今の一撃を回避され驚く敵にライトは言う。


「やるじゃねーか。ブレストフレア……とはいかねーが、そんな感じの一撃だ! どっ……せいっ!」


 どうにも体術家としてスキルに頼らないまっさらな拳でシールドを破壊したい気持ちが勝り、ただ思いっきり殴った。その拳は空に投げ出されたまま停止している。

 アクビをするライトはそのまま首を鳴らし次のフロアへ向かう。


 遠くの壁には自分のソードが背中から刺さるシールドガッツマンが絶命していた。拳の衝撃に耐えられなかった敵は背後に吹き飛び、自分の持っていたソードで不覚にも自分の背を刺してしまったのである。ピキピキッ……とシールドが割れる音と共に金髪の少年は呟く。


「カウンターを決めるならその前の攻撃は覚悟して耐えやがれ」


 そして中ボスエリアを抜けると、更に出会うモンスターの数が減っていた。

 おかしなダンジョンだなと思うライトは岩の陰に隠れているゴブリンを発見した。

 シュン! と高速で移動しゴブリンにアッパーをかます。そしてその背後にいた三体のゴブリンに対し、空中で気絶するゴブリンの足を持ち鈍器として使い撲殺する――瞬間。一本の小刀がライトに向かい飛んで来た。


「危ねーな。……この赤い小刀。キキョウか」


 ゴブリンの頭に刺さる赤い小刀を見てライトはこの魔人ダンジョンに来てから初のコンピューター以外のプレイヤーに出会う。ここまでまともに人間が操るプレイヤーがいなかったのはキキョウという白い着物に赤い袴を着た美少女剣士の所為だと思った。

 虎徹こてつという日本刀を腰に帯びる黒髪ポニーテールのキキョウという女剣士は、女子アバターではトップスリーに入る実力者で他者とは群れず、常に一対一を望む正にサムライアバターに相応しいソロプレイヤーだった。

 魔人の前に面倒な奴に会ったなと思うライトは左右の拳をガッ! と叩き気合いを入れ、空洞になるエリアに足を進めた。




「久しぶりだなキキョウ。相変わらず刀剣集めにこっているようだな」


 そこには白い着物に赤い袴姿の美しい女剣士がいた。

 対峙するライトにキキョウは長い黒髪をポニーテールに纏める髪を揺らし答える。


「刀剣の匂いのする場所にわたくしは存在するのです。リアルが忙しくない限りはこのサイバーグランゾーンオンライン内部の刀剣は私が全てコレクションしますわ」


「いい答えだ。新生ライトの初陣には相応しい相手だな」


「新生ライト? ただアバターが初期アバターから変わっただけでしょう? わけのわからん事を言うのはやめなさい」


「いいんだよ。俺個人の問題だ」


 ニイッ……と口元を笑わせるライトは新生ライトとして、この世界で唯一デスゲームを体感するプレイヤーとして女剣士・キキョウとの戦闘を開始した。



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