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転生されても小説家  作者: カオスメテオ
この神腐ってる…
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『第1話』 腐った神

 

 心地の良い草原。

 心地の良い風。

 それに対して今の状況が理解出来ない俺。


「…何だここは。」


 正直こんなセリフしか口に出来ない。

 俺は自分の家の自分の部屋にいたはずだ。

 しかし今いる所はかなり広い草原だ。夢では無い。確かに草原に立っている感覚がある。日光があたっているが少し湿っていた。こんなにリアルでは夢とは言えないだろう。


「落ち着け。とにかく落ち着け。」


 まず自分の確認だ。

 手は今まで通り。足も変わっていない。体格は今まで通りスラッとしている。顔も、…多分変わってないだろう。

 しかし今身につけているものは全く見覚えが無い。見た感じ服装が綿でできていているが俺はこんな服着たことが無かったし、腰には革でできたポーチがかけており、有名な狩猟ゲームの携帯ポーチを想い出す。


 ポーチを開けて見ると、中に5枚のお札が入っていた。どれも”1000“と刻まれていた。おそらくこの世界のお金だろう。他にも……


『はいどーも!神だよ~』


「どわぁ!?」


 な、ななな何だ!?どこだ?

 首をブンブン振って辺りを見回す。こいつ、俺が部屋にいた時の…っ!


『…そんな驚かんでえーやろ。正直へこむで。』


「ど、どこだ!誰だ!」


 まだ理性は少し保ててないが質問をすることは出来る。


『あ~探しても無駄やで。ワイあんたの脳内に直接語りかけてんねん。後ワイさっきも言った通り神やから。ペーパーの方ちゃうで。ゴッドの方や。』


「か、神?ほんとの神?」


 神が何で関西弁みたいな喋り方なんだよ。


『聞こえとるで~』


 えー!?聞こえてんの!?


『神は何でもできんねん。何でも知ってんねん。』


「…ほんとに何でも知ってんのか?」


『当たり前や。』


「俺については。」


間崎(かんざき) (とおる)18才、男子高校生。身長168センチ。体重62キロ。将来の夢は小説家。中学生ではクラスで浮いていたが友達は多く、先生からも注目を浴びていた。しかしそれでも成績は良く、偏差値65の高校に合格し入学。しかしクラスでは浮いていてやはり先生から注目を浴びていた。高校1年生から家で小説を書くようになったが、どれも駄作でピンときた小説が一度もない。なのに小説家の夢を諦めず、ひたすら小説を書いている。

 ちなみにあんたのこれからの人生を言うと、高校生を卒業し20才までバイトをし、お金をため、文系の大学に入り小説について学びながら家でひたすら小説を書く。22才で大学を卒業し、ついに本格的に小説を出版するが…』


「もういいッ!今までの人生を言うのはいいが俺の未来の人生は言うな。完全に人生のネタバレになっちまうだろうが!」


『わーったよ。わかったからそんな大声出すな。まぁこれで神だと信用してくれたかな?』


「あぁ。信用するよ。こんだけ詳しく世界の何億人の中の1人を説明しているんだ。しかも人の未来まで…。」


『神は何でも知ってんねん。』


 ほんとに神だ。しかしこんな関西弁の奴が神だなんて…。


『聞こえてんやからそんなこと言うな。ちょっと最近関西弁にはまっただけや。後英語も喋れんで。Iam Got.』


「英語は使わなくていい。それで単刀直入に言うがここはどこだ?」


 色々話していて聞きたいことを忘れていた。


『あんたがいる所か?そんなん見て分かる通り異世界や。あんたも薄々思っていたんちゃうか?』


 やっぱりかー!確かに薄々思っていたが簡単には信じたく無かった。


『いやぁベタやなぁ~。ありがちなパターンやなぁ』


「なに呑気になってんだ。俺の家に戻せ!」


『それは無理な話や。あんた自分でファンタジーの世界に行ってみたいって言ってたやんか。ワイもそんな簡単に返す訳にはいかんよ。』


「じゃあどうすりゃ返してくれんだ!」


 確かにファンタジーの世界に行ってみたいとは思った。しかし本当に行くとなると思いは簡単に無くなった。


『あんたはその世界で暮らせ。ワイはあんたの生活を見て楽しんどくから。ワイが見るのに飽きたら返してやるわ。』


 サイッテーな神だな!ただ人間の生活を見て楽しむって。しかも飽きたら返すって、人間を何だと思っているんだ。


『まぁそう言うなや。この世界については時々ワイが説明してやっから。ちなみにこれもベタなルールやけどその世界で死んだら実際に死ぬことになってあの世で生活することになっから忘れんなよ。』


 ほんとにベタなパターンだな。ちなみに俺はどういう生活を送ればいいんだ?


『それについてやけど、これもまたベタであんたは冒険者として生活するんや。まぁ世界を旅したり、ギルドの依頼を達成するなどのことやな。ベタやろ~』


 いやほんっっっっっっっっとベタだな!


『ベタやろ~↑↑』


「…やけにテンション高いがどうかしたか?」


『いやぁ何かワクワクせーへんか?』


「全く。」


『…………………………そうか?』


「当たり前だろ。下手したら死ぬかもしれないんだから。」


『……まぁそうやけどワイから見るとあんたが死ぬところも楽しみやから。』


 やべぇ。この神腐ってる。


『さあ旅に行け冒険者!…っと言いたいとこやけどまず冒険について少し説明しよう。』


 そうだった。こいつの話ばっか聞いて大事なことを忘れていた。

 冒険の説明つったってこれもベタなパターンでスキルがどうとか……。


『まずこの世界にはあんたがいた地球と違ってスキルっちゅーもんが存在すんやけどその…』


「ほんっっっっっとベタだな!ルールも世界観も全てベタだな!」


 予想通りのベタすぎるパターンで思わず声に出てしまうわ!


『しゃーないやろ。そういう世界なんやから。そんなんに毎回反応してたらあんたこの世界生きていけへんぞ。』


「………あー!もう分かったよ!続けろ続けろ!」


『変わっとんな~。まぁえーわ。そんでそのスキルなんやけど冒険者は1人5個しか取得できへんねん。』


「たったの5個か。それでスキルは全部でいくつあるんだ?」


『76個や。しかし心配せんでえーから。』


 スキルは全部で76個でその内5個しか取得できない。それで心配ないとは一体どういうことだ?


『冒険者は経験を積む度レベルが上がる。それで一定のレベルまで上がったら取得できるスキルの数が増えるんや。燃えるやろ~。』


「その一定のレベルというのは具体的に?」


「それには個人差がある。才能あるやつは1週間でスキルの取得数が10個になるやつもおるし、才能無いやつは1ヶ月経っても取得数が増えないやつもおる。ちなみにこの世界の一番強いやつはスキルを73個持ってるで。」


「73個…。コンプリートまであと3つじゃねーか。何でそいつはあと3つ取得できていないんだ?」


『それはお楽しみや。まぁその3つのスキルはそう簡単に手に入るものじゃないってことは確かやな。』


 ほー。この世界も結構奥が深いのかもな。


『それでその76個のスキルのほとんどはスキルレベルと言って経験を積む度スキルレベルも上がってくる。基本は5段階だが3段階のスキルも存在する。まぁやって行けばその内分かる。』


「……どうでもいいが関西弁じゃなくなってきてないか?」


『喋りづらいし飽きた。』


 そんなにすぐ飽きるなら俺の生活にもすぐ飽きるかもしれないな。これは結構楽勝かも…


『と思っていたら大間違いだぞ~。』


 やっぱりな。


『それでスキルはどう選ぶんだ?…と言いたいのは山々なんだが折角だからワイが5つ先に決めといたから。最初はそれを使え。』


「勝手に選ぶな!」


『心配ご無用。ワイが冒険で役立つスキルを選んどいたから。絶対損はしないぜ。』


「ほんとかよ……。それでスキルはどうやって確認するんだ。」


『ポーチの中を見れば分かる。』


「ポーチ?」


 そういえばポーチの中身はお札が入っていることしか確認していなかった。まぁあの時は仕方無かったが。

 早速ポーチの中を覗くと古い感じのメモ帳とペン、そして名刺の様な見たことのない一枚のカードがあった。


『それ、それだよ。そのカード。』


「えっ?これ?」


 中からカードを取り出す。変わったカードだな。


『そのカードワイが直々に作った冒険身分証でな。他の冒険者が使ってる身分証よりめちゃくちゃ丈夫なんだよ。』


「いやまず冒険身分証って何だ?」


 神が作った身分証といってもどういうものか分からなければピンと来ない。


『ああそっからかー。冒険身分証っていうのは冒険者の証みたいなもんで自分のステータスや所持金、依頼の履歴などそのカードに記録されるんだ。』


「ほー。」


 冒険身分証は薄くしたスマートフォンみたいな形をしていたがこれは素材が透明で、かなりの高級感があった。

 神はステータスなどが記録されると言っていたが、文字らしきものは全くない。あいつふざけて嘘ついてんじゃないだろうな。


『嘘なんかつかん。それはあんたの勘違いだ。身分証をタッチしてみろ。』


「は?こ、こうか?ってうおっ!」


 神の言われた通り身分証をタッチしたら突然液晶画面の様に次々と文字が現れた。おいおい驚かしやがって、リアルにビクッたぞ。


 間崎 徹 18才 男性


 職業 冒険者


 lv 1


 ステータス

 HP30/30

 MP25/25

 POW23 DEF15 SPEED12


 スキル

 炎魔法1 回復魔法1 交渉術1 文才1 神会話


 武器

 長剣



 …色々詳しく載っているがこの神会話ってな…いや聞かないでおこう。うん。


『そうだな。聞かない方がいいな。まぁすぐ理解すると思うけど。』


「しかしステータスについては理解出来るがスキルは何でこの5つなんだ?」


 確かに回復魔法などは必要だろうが一応聞いておきたい。神会話はおいといて。


『魔法の属性には炎水樹雷土風闇光の8つがメインで特殊魔法として回復、解毒などがある。今回はメイン属性の炎と特殊魔法の回復魔法、そしてこの世界では交渉する力があった方が得をする。』


「じゃあ文才は?」


「あんたが小説書いてたからこの世界で役立てたらどうかってね。」


 確かに小説を書いてきた俺としてはこのスキルは役立つだろう。

 スキルは神会話以外理解したが後気になるのは…


『武器か。』


「分かってんのかよ。」


『神は何でも知ってんだ。それで武器だが冒険者がよく使用している長剣にしておいた。ホレっ。』


  ヒュ~、


 ん?何か上から…


 ヒュ~ グサッ!


「おぉっ!」


 剣だ。剣が空から降ってきやがった!


『冒険身分証を剣に近ずけてみな。』


「えっ?…ほい。」


 言われた通りに身分証を剣に近ずけてみた。すると何てことでしょう。あの高級感ある透明の身分証に目の前にある剣の絵とステータスが現れたではありませんか。



 武器

 神直々に渡されたソード ランクD


 POW 50


 属性 炎



 剣のネーミングセンス腐ってんだろ!


『いやぁワイもネーミングセンスどうにかならんかなと思うんだけどな。それでその剣、駆け出し冒険者としては少し強めのランクにしといたから。あんまり強すぎると面白くないしな。』


 ランクか…。武器にもランクがあるということは防具にもランクがあるのだろうか。まぁあるだろう。


『ランクは最低がE、最高がSSだ。SSなんてこの世界にほんのわずかしか存在しないがな。後武器は長剣だけでなく短剣や弓、槍やボウガン、魔法の杖など様々な武器があるからまず長剣を試しに使ってそれから他の武器を使っていきな。』


「おうよ。」


『ざっとこんな感じだ。まぁ後は旅の途中時々説明していくからせいぜいワイを楽しませる生活してくれよ。』


 最後が気にくわないが…


「やってやるよ。」


 そう言って俺は旅の第一歩を踏み出した。


~間崎 徹~

18才

身長168センチ

体重62キロ

将来の夢が小説家であり、神の暇潰しとして異世界に転生されたドンマイすぎる青年。

性格は負けず嫌いだがテンションは高く、クラスでも浮いた存在にいる。


~神~

?才

身長?センチ

体重?キロ

暇潰しという理由で間崎を異世界に転生させた何でも知って何でもできる性格が腐っている神。

ネーミングセンスはかなりひどい。


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