二人の魔王 罪の猛攻
【グゥォォォ……!!】
膨張した罪は
醜悪的な身体を
サタンへ向ける
そして、六本の腕から
黒い闇の球を
生み出すと
幾つかに分裂して
敵対者であるサタンへと向けずに
マシンガンのように
上空へ向け打ち出した
「何をしている？
我はここにいるぞ？
むっ!?」
サタンは罪が放った
謎めいた攻撃に
首を傾げた
意味不明な攻撃
しかし、その意味を
すぐに知ることになる
打ち上げるように放たれた
幾つかに分裂した闇の球が
雨のように降り落ちてきたのだ
「ほう、そうくるか。
しかし、この程度であれば
結界を張るだけで事足りる」
己に降り墜ちてくる闇の散弾を
サタンは即座に闇の結界を
念のため幾重に張り巡らせて防ぐ
用心に越したことはないのだから
だが、それが裏目に出る
雨のように
降り墜ちてきた
闇の散弾は
膨張した罪の陽動
サタンは闇の散弾を防いだあと
膨張した罪を見据え
己が失態を解する
「なっ!? 対応を誤ったか!」
膨張した罪は
先ほどと同じように
三対の腕に
闇の球を生み出していたが
竜狼のような口に
巨大で高密度の闇の球を
収束し練り上げていたのだ
しかも、防ぐ時間は僅かも無い
そして、罪は嘲うように
高密度の闇の球を
サタンに向け、高速に吐き出した
「……グゥガァァァァ……!!?」
サタンは高速で吐き出された
高密度の闇の球を
まともに喰らい
悲鳴を上げながら
地に墜とされる
――その隙を罪は逃さない
罪はサタンの落下地点へと進み
上段の一対の腕の先にある
竜爪付きの拳を
サタンの背に向け
冷酷に打ち込む
「……ガハッ!」
サタンの身体は
拳を受けた反動で
落下地点が僅かに逸れた
しかし、中段の腕が
落下中のサタンを掴み
竜爪を食い込ませる
「……ガァァァァ!?」
そして、下段の手が
はたくように
地面へ落とした
暴虐的な連撃に
サタンの身体はボロボロだ
それでもなお
サタンは罪を睨むように
見据える
想造主であり友が生み出してしまった
罪を滅ぼすために――
