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一章二話目

 空に浮遊するローラシア大陸。

 ラスティエ教の聖典には、千年前の天空神ラスティエと大地母神リタ・ミラの争いのために、太陽の子ナルダが法術の力で持って空に上げたとされている。

 ローラシア大陸のほぼ中央にあり、大陸最大の領土面積を持つラスティエ教国は北をウラヌ山脈に隔てられ、東西を大河モドが流れ、比較的気候の穏やかな南の地方に豊かな穀倉地帯を持つ大国だった。

 天歴223年の帝国の大迫害を生き残った八神徒の一人アグラダが打ち立てた、天空神ラスティエを崇める歴史のある宗教国家だった。

 その南の端にある都市チェフの大河モドの岸辺に、レインの通う神学校はある。

 ジョゼ神学校は元々その都市にあった小さな修道院を改装して建てられた新しい神学校だった。

 ラスティエ教国にある古くからあるイベール学院やイバ大学と違って、それほど長い歴史がある学校ではなかった。

 神学校の教師達はイベール学院やイバ大学と比べて、歴史が浅いのを教師陣は不満に思っているようだが、レインはジョゼ神学校の新しさや自由な気風がそれなりに気に入っていた。




 その日の夜。

 寮の自分の部屋に戻ったレインは、机に向かい、白い紙を前に考えあぐねていた。

 ――反省文ねえ。反省文、って何を書けばいいんだ?

 机の上の時計を見ると、まだ夜の八時。

 相部屋のもう一人の同居人、オルグは一階の談話室でリャンとチェスをしているのだろう。

 夕食後に談話室を通りがかったときに、二人でチェス版を並べているのが見えた。

 ――そもそも、何を反省すればいいんだ?

 レインは今日の三限目の歴史の授業を思い出す。

 確かにレインが窓の外を見て、ぼんやりしていたのは事実だが、そんなこと他の生徒もしていることだ。

 一番後ろの席のジムなど、分厚い教科書の影で堂々と寝ていると言うのに。

 歴史のオリヴィエ先生は他の生徒ではなく、明らかにレインを名指しして注意してきた。

 オリヴィエ先生だけではない。

 法術実技のイヴン先生も、古代語のカナン先生も、レインを目の敵にしている。

 何かにつけて注意したり、罰則を課そうとしているようにレインには思う。

 特に法術実技のイヴン先生など、明らかな敵意をレインに向けてくる。


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