序章2
天空神ラスティエは空の座に鎮座されたまま
太陽の子ナルダにお尋ねになられた。
人はこのまま戦いにより滅びを迎えるべきなのか、と。
太陽の子ナルダは答える。
それが人の定めたことであるのならば、私はそれを受け入れます。
しかし地上には戦いを望まない人々もいます。
戦いを望む一部の人間のために
すべての人々が滅びを迎えてしまうには
余りに哀れではないでしょうか、と。
天空神ラスティエは空の座から下界を御覧になられて
多くの人々が戦いを望んでいないことを御理解された。
そこで天空神ラスティエは神の奇跡、法術を用い
戦いを望まない多くの人々を助ける御決断を下された。
太陽の子ナルダは地上に降り立ち
多くの人々をまとめ、導いた。
しかし地下の世界から地上を見ていた地母神リタ・ミラは
天空神ラスティエとは反対の意見だった。
人はこのまま滅びるべきだ。
無闇に生き永らえさせれば
地上のすべての生き物が人と共に死に絶えてしまう、と。
天空神ラスティエと地母神リタ・ミラは長い間話し合われたが
御意見が一致することはついにはなかった。
人々をお助けになられようとする天空神ラスティエに対して
地母神リタ・ミラはそれを妨害した。
神々の法術の激突は
地上に天変地異を引き起こした。
神々は七日七晩戦い続け
数多くの大地が海に没し
幾つかの大地が空に昇った。
太陽の子ナルダは
戦いを望まぬ善き人々を空の大陸に住まわせ
戦いを引き起こした悪しき人々を地上に残した。
激しい戦いの末
天空神ラスティエは地母神リタ・ミラを
地上の悪しき人々と共に海中深く沈む大陸に封じた。
深い傷を負った天空神ラスティエも
自らも世界を支える大樹に姿を変えて
空の座から今も空の大陸に住む善き人々を見守っている。
かくして役目を終えた太陽の子ナルダも空の座に戻り
その大樹の根元で永遠の眠りに就いた。
天空神ラスティエの慈愛の教えは
太陽の子ナルダの信徒、アグラダによって
空の大陸中に伝えられることになる。