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一章十三話目

 レインは開いた口が閉まらない。

 ――いや、何でそもそもこんな田舎の神学校に?

 間抜けながら、レインの第一の感想はそれだった。

 しかもどこか厳重な部屋の奥に監禁するならまだしも、どうしてこんな鍵などいい加減な温室などに。

 レインは中庭の茂みに隠れながら、ぐるぐると考える。

 いやそもそも、創世の神話に出てくる大地母神が、こんな温室にいること事態がおかしい。

 その大地母神を捕らえ、閉じ込めること事態が無理だと思うのだが。

 そもそも捕らえられるほどの、法術の達人がいただろうか。

 緊迫した空気が立ちこめている中、レインは間抜けにも首を捻って考え込んでしまった。

『ごちゃごちゃ考えてないで、来たぞ』

 彼女の声がレインの頭に響く。

 レインは考えるのをひとまず打ち切り、朝靄の向こうに目を凝らす。

 すると微かな草を踏みしめる音に混じって、白い靄の向こうから数人の人影が現れた。

 彼らは頭からすっぽりと黒いローブを被り、こちらへと歩いてくる。

 皆、目深にフードを被り、レインの位置からその顔は見えない。

 手にはそれぞれ白銀の杖を持っている。

 ――あれは……。

 レインは彼らの持っている白銀の杖を食い入るように見つめる。

 ラスティエ教国で使われている杖は、階級ごとに違っており、一目で持ち主の地位がわかるようになっている。

 一番地位の低い助祭は木の杖を持ち、最高位の教皇はダイヤモンドをあしらった杖を持っていると言う。

 ――あれは、白銀の杖に、宝石は無いから。多分、大司祭だと思うけど。

 こういったことは、最低限授業で習った程度の知識しかないので、レインも合っているのかは自信がなかった。

『つまり、どういうことだ?』

 彼女が聞いてくる。

 ――要するに、ラスティエ教国内ではそんなに地位が高くないってことだよ。

 ラスティエ教国は、教皇を頂点として、天空神に仕える司祭達が政治を執り行っている。

 下から順番に、助祭、司祭、大司祭、司教、大司教、枢機卿、教皇、となっている。

 教皇の座は、初代の教皇アグラダが就いて以来、長らく不在になっている。

 そのため十三人いる枢機卿が、実質ラスティエ教国の政治を動かしている。

 ラスティエ教国建国以来、政教一致の体制が数百年続いている。


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