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第8話 初めてのダンジョン

翌朝。


エイルたち五人は、昨日と同じ冒険者ギルドへ来ていた。


「本当に行く?」


エイルが聞く。


ロディオは、目の前に置かれた依頼書を見ながら答えた。


「昨日から気になってたし、俺は行ってみたいけど」


「昨日は、今日みんなで相談して決めようって話だっただろ」


「だから相談してる。俺は賛成」


「早いな」


五人の前にあるのは、町の北側にあるダンジョンの依頼だった。


浅い階層に出る魔物の討伐と、内部で採れる素材の回収。


昨日、受付で紹介された仕事だ。


メルディアは依頼書を上から順に読み直していた。


「討伐数の指定はなし。素材も採れる分だけでいいみたい」


「ずいぶん幅がありますね」


クラウスが言う。


受付の職員が頷いた。


「戦争の影響で、ダンジョン関係の仕事が少し滞まっているんです。普段こちらを受ける冒険者の何人かが、街道警戒や軍関係の依頼へ回っていますから」


「俺たちでも大丈夫なんですか?」


エイルが尋ねる。


「浅い階層なら、オークを討伐できる皆さんであれば問題ないと思います。ただ、ダンジョンは野外とは勝手が違います」


ルシエラが首を傾げた。


「どう違うんですか?」


「道が限られています。魔物を避けたくても、別の道がないこともあります。それに、一度戦ったからといって安全とは限りません。すぐ次の魔物に出くわすこともあります」


「休めないこともあるってことか」


エイルが言う。


「そういうことです。奥へ進むほど、戻るのにも時間がかかります。初めてなら、余裕があるうちに引き返してください」


ロディオが頷く。


「道は俺が見るよ。地図もあるし」


職員が少しだけ目を細めた。


「目印も残してくださいね」


「分かってるって」


「深追いもしないでください」


「それも分かってる」


エイルが笑った。


「ずいぶん念を押されてるな」


「お前も一緒に聞いてるんだからな」


クラウスが依頼書をもう一度見た。


「浅層だけにして、危ないと思ったら戻る。それなら僕も賛成です」


「私も行ってみたいです」


ルシエラが言う。


メルディアも頷いた。


「実際に入らないと分からないことも多いと思う」


「じゃあ決まりだな」


エイルが依頼書を受付へ戻した。


五人は正式に依頼を受け、町を出た。


北へ一時間ほど歩くと、岩肌の露出した丘が見えてくる。


その麓には、大きな洞窟の入口が口を開けていた。


人が二人並んでも余裕で通れるほど広い。


入口の横には簡素な小屋があり、何人かの冒険者が出入りしている。


ルシエラが洞窟を見上げた。


「思っていたより普通ですね」


エイルが横を見る。


「何を想像してたんだ?」


「もっとこう……入った瞬間から危なそうな雰囲気というか」


「物語の読みすぎ」


メルディアが言った。


ルシエラがそちらを見る。


「メルディアだって初めてですよね?」


「初めて」


「何か想像してなかったんですか?」


メルディアは入口を見る。


「暗い穴」


「ほとんどそのままじゃないですか」


冒険者証を確認してもらい、五人はダンジョンへ入った。


少し進むだけで、外から差し込む光は弱くなった。


ロディオがランタンを掲げる。


ごつごつした岩の壁。


湿った床。


天井から落ちる水滴の音。


ルシエラが小さく声を出す。


「本当に響きますね」


少し遅れて、自分の声が返ってきた。


「大声は出さない方がよさそうだな」


エイルが言う。


「魔物に教えることになるかもしれないし」


ロディオは足元や壁を見ながら先頭を歩いていた。


「この辺りは結構人が通ってるな」


「分かるのか?」


エイルも床を見る。


「分かる。土が削れてるし、壁にも目印が残ってる」


「……言われてもよく分からないな」


「じゃあ俺が見ればいい」


「前にも似たこと言ってたな」


「スカウトだからな」


しばらく進んだところで、ロディオが片手を上げた。


四人もすぐに立ち止まる。


エイルが剣へ手をかけた。


ロディオは前方の暗がりを見たまま、小さな声で言う。


「何かいる。三体くらい」


「何の魔物?」


メルディアが尋ねる。


「たぶんコボルト。まだこっちには気づいてない」


ランタンの光の外で、小柄な影が動いていた。


やがて三体が姿を現す。


犬に似た頭。


小柄な人型の身体。


それぞれ短い槍や棍棒を持っている。


「実物は初めてだな」


エイルが言った。


「俺も。図で見たことあるだけ」


ロディオも短剣を抜く。


その声に気づいたのか、コボルトたちがこちらを向いた。


低い唸り声を上げる。


「来そうです」


ルシエラが杖を握る。


「《光と闇の祝福》」


淡い光が周囲へ広がった。


身体が少し軽くなる。


もう何度も経験している感覚だった。


「来るぞ!」


エイルが前へ出る。


一体目の槍を剣で逸らす。


その横をロディオが抜け、二体目を牽制した。


三体目が前へ出ようとしたところへ、メルディアが杖を向ける。


「《ファイヤーボール》」


火球が直撃した。


爆音が狭い通路に響く。


ロディオが思わず顔をしかめた。


「うわ、ここだと音がでかいな!」


「聞こえてるから叫ばなくていい!」


「その魔法の音で耳がおかしくなりそうなんだよ!」


言い合っている間にも、エイルは一体目と打ち合っていた。


だが、オークほど重くはない。


攻撃も見える。


棍棒を避け、剣を振る。


コボルトが倒れた。


ロディオも二体目の武器を横へ弾く。


「エイル、こっち手伝えるか?」


「ああ!」


二人で挟む。


残っていた一体も、間もなく動かなくなった。


エイルが剣を下ろす。


「初ダンジョンの最初の戦闘としては、思ったより普通だったな」


ルシエラが聞く。


「もっと大変な方がよかったんですか?」


「そういう意味じゃないって」


クラウスが全員を見回した。


「怪我もなさそうですね」


「こっちは大丈夫」


エイルが答える。


ロディオも腕を確認する。


「俺も平気」


メルディアも問題なさそうだった。


五人は討伐の証明を回収し、先へ進んだ。


依頼対象になっている素材を壁際で見つけ、採取する。


さらに進む。


しばらくすると、頭上から羽音が聞こえた。


ロディオが反射的に上を見る。


「上にいる!」


黒い影が四つ。


洞窟に棲む大型の蝙蝠だった。


一体が急降下してくる。


「エイル、剣じゃ狙いにくい!」


「見れば分かる!」


メルディアが杖を向ける。


火球が飛び、一体が床へ落ちた。


残りは頭上を旋回する。


そのうち一体がクラウスへ向かって急降下した。


「クラウス!」


ルシエラが声を上げる。


クラウスが身を屈める。


蝙蝠が頭上を抜けたところへ、ロディオが短剣を振るった。


「こいつら、止まってくれないから面倒だな!」


「止まったら狙う」


「だから止まらないんだって!」


「じゃあ落とす」


メルディアが次の魔法を放つ。


二体目が落ちた。


エイルが剣で進路を変え、その先をロディオが仕留める。


最後の一体も、少し時間はかかったものの倒すことができた。


ロディオが天井を見上げる。


「地面だけ見てればいいわけじゃないんだな」


ルシエラが少し笑う。


「スカウトは大変ですね」


「そう思うなら、たまにはみんなも上見てくれよ」


「それはそうですね」


クラウスまで頷いた。


「クラウスまでそっちなの?」


再び歩き始める。


その直後だった。


前の曲がり角から、二体のコボルトが飛び出してきた。


エイルが剣を抜く。


「本当にすぐ次が来るんだな!」


戦闘自体は短かった。


だが、終わった頃には全員が少し疲れた顔をしていた。


エイルが息を吐く。


「受付で言われた意味、分かった気がする」


クラウスも頷いた。


「一回ごとは大したことがなくても、続けば疲れますね」


「SPも無駄に使わない方がいい」


メルディアが言う。


ロディオが彼女を見る。


「さっきファイヤーボール何発撃った?」


「三発」


「ちゃんと数えてるのか」


「自分のSPだから」


ルシエラが聞く。


「私の技能も数えてたりします?」


「必要なら数えるけど」


「そこまでしなくて大丈夫です」


小さな横道を見つけ、五人は一度休憩を取った。


水を飲み、装備を確認する。


「このくらいなら、もう少し進んでも大丈夫そうだな」


エイルが言う。


クラウスは少し考えてから答えた。


「余裕があるうちに戻る、という話は忘れないでくださいね」


「分かってる。あと少しだけ」


休憩を終えて、さらに奥へ進む。


今日は深く潜るつもりはない。


もう少し素材を集めたら戻ろうと、全員で決めていた。


しばらくして、ロディオが足を止める。


「この先、少し広くなってる。それと、大きいのが一体いる」


「大きい?」


エイルがランタンの先を見る。


通路の先は小さな広間になっていた。


その中央。


大きな四足の魔物がいる。


蜥蜴に似ているが、普通の蜥蜴より遥かに大きい。


背中を覆う灰色の鱗。


頭の両側には短い角。


メルディアが目を細めた。


「たぶんストーンリザード」


「知ってるのか?」


「依頼の注意書きに似た魔物が載ってた。浅層でも出ることがあるって」


「強さは?」


「コボルトより上。オークと比べてどっちが強いかまでは分からない」


エイルは少し考える。


「避けて戻れる?」


ロディオが通路を見る。


「来た道を戻ればいい。ただ――」


ストーンリザードが顔を上げた。


こちらを見る。


低い唸り声が響く。


ロディオが肩をすくめた。


「もう気づかれた」


エイルは剣を抜いた。


「向こうから来るなら、戦おう」


全員が構える。


ルシエラも杖を握った。


「《光と闇の祝福》」


淡い光が広がる。


直後。


ストーンリザードが一気に突進してきた。


「速い!」


エイルが横へ飛ぶ。


巨体がすぐ横を駆け抜けた。


壁へ激突する直前で止まり、身体を反転させる。


ロディオが側面へ回り、背中へ短剣を当てた。


金属を叩いたような音がする。


「硬っ!」


メルディアがすぐに言う。


「背中は鱗が厚い。別の場所を狙った方がいい」


「それ先に言ってくれよ!」


「今分かった」


エイルが正面から注意を引く。


ストーンリザードが前脚を振るった。


剣で受ける。


オークほどではないが、十分に重い。


「メルディア!」


「撃つ!」


火球が横腹へ当たる。


炎が弾けた。


ストーンリザードが大きく身体を振る。


ルシエラが声を上げた。


「効いてます!」


「でもまだ元気そうだぞ!」


ロディオが距離を取る。


その時。


ストーンリザードが動きを止めた。


口を大きく開く。


喉の奥に、淡い光が集まり始めた。


メルディアの表情が変わる。


「まずい。何か撃ってくる!」


「避けるぞ!」


エイルが叫んだ。


だが、五人は広間へ入ったばかりで、まだ近い位置に固まっていた。


後ろは細い通路。


全員が一度に避けられるだけの幅はない。


ルシエラもそれに気づいた。


「《絶対防御領域》!」


白い光が広がる。


「みんな、私の近くへ!」


エイルがルシエラの方へ下がる。


ロディオも飛び込む。


メルディアとクラウスも距離を詰めた。


次の瞬間。


ストーンリザードの口から、一直線の光が放たれた。


視界が白く染まる。


ルシエラは思わず目を閉じた。


何かが通り過ぎたような感覚はあった。


だが。


痛くない。


熱くもない。


「みんな、大丈夫か?」


エイルの声がする。


ルシエラが目を開ける。


全員立っていた。


怪我もない。


「大丈夫です!」


ロディオが自分の身体を確認する。


「本当に何ともないな」


エイルも腕を動かした。


「やっぱりすごいな、この技能」


その直後だった。


背後から凄まじい音が響いた。


ドォン――!


五人が揃って振り返る。


石の破片が床へ落ちていく。


さっきまであったはずの壁。


その一部が、大きく崩れていた。


ルシエラが目を見開く。


「……え?」


ロディオも口を開けた。


「壁、壊れてるんだけど」


「どうしてですか?」


ルシエラが、自分たちと壁を交互に見る。


エイルも困惑していた。


「さっきの攻撃が、後ろまで届いたってことか?」


メルディアはストーンリザードと崩れた壁を見比べた。


「領域の中では私たちに何も起きなかった。でも、領域の外に出た先では普通に壁を壊したみたい」


ロディオが少し考える。


「じゃあ、絶対防御の中にいれば安全だけど、その後ろにいる人まで安全とは限らない?」


「少なくとも、領域の外ならそうなる可能性がある」


「それ、結構大事じゃないか」


「ええっ!?」


ルシエラが青くなった。


「じゃあ私、誰かを守ったつもりで、その後ろにいる人へ攻撃を通しちゃうこともあるんですか?」


「そういう状況はあり得ると思う」


メルディアが答える。


ルシエラは真剣な顔で頷いた。


「気をつけます……!」


「その話、あとで続けよう!」


エイルが叫ぶ。


ストーンリザードが、またこちらを向いていた。


クラウスも杖を構える。


「まだ倒してませんからね!」


「あっ!」


ルシエラも慌てて前を見る。


二度目の光を撃たれる前に倒す。


全員の考えは同じだった。


ロディオが横へ回る。


エイルが正面で注意を引く。


メルディアの火球が腹へ当たる。


ストーンリザードが身体を反らした。


「エイル、今なら首の下が空いてる!」


「分かった!」


エイルが踏み込む。


硬い背中ではなく、首元。


剣が入った。


反対側からロディオも攻撃する。


巨体が大きく揺れる。


それでもストーンリザードは一度踏ん張った。


だが、次の一撃には耐えられなかった。


そのまま床へ倒れる。


しばらく誰も近づかなかった。


ロディオが様子を見る。


「……動かないな。今度こそ倒したと思う」


「思う、なんですね」


ルシエラが言う。


「初めて見る魔物なんだから仕方ないだろ」


「近づいて確認しますか?」


「それはエイルに任せる」


「なんで俺なんだよ」


「前衛だから」


「そういう時だけ役割を持ち出すなよ」


エイルが慎重に近づく。


反応はない。


「大丈夫そうだ」


ようやく全員が息を吐いた。


クラウスはすぐに怪我を確認した。


軽い擦り傷程度。


治療が必要なほどの傷はない。


「結構強かったな」


エイルが倒れたストーンリザードを見る。


ロディオも頷く。


「でも、最初にオークと戦った時ほど無茶苦茶じゃなかったな」


「私たちも前より強くなっていますからね」


ルシエラが少し嬉しそうに言った。


メルディアは自分の状態を確認していた。


しばらくして、そのまま表示を見つめる。


「……九になってる」


エイルが振り返る。


「レベル?」


「肉体も職業も」


エイルも自分の状態を開く。


「本当だ。俺も九」


「俺もだ」


ロディオも確認する。


クラウスとルシエラも同じだった。


ルシエラは、自分の表示をもう一度見る。


肉体レベル九。


そして、


《光と闇の聖女》職業レベル九。


「ダンジョンに入った時は七でしたよね?」


「二つ上がったな」


エイルが言う。


ロディオが今日倒した魔物を思い出す。


「コボルトに蝙蝠、それからまたコボルト。最後にこいつだろ。考えてみたら結構戦ってるな」


「野外より戦闘回数が多い」


メルディアが言った。


「最後のストーンリザードも、今までの相手より強かった。これくらい上がってもおかしくはないと思う」


クラウスも頷いた。


「ダンジョンは経験を積みやすい場所なのかもしれませんね」


ルシエラが嬉しそうに自分の表示を閉じる。


「じゃあ、今日だけでもかなり強くなったんですね」


「そういうことになるな」


エイルも笑った。


「でも今日はもう戻ろう。十分だろ」


誰からも反対はなかった。


その時。


ロディオが、先ほど崩れた壁を見た。


「……ちょっと待って」


エイルもそちらを見る。


「どうした?」


ロディオはランタンを持って、壁へ近づいた。


崩れた石の向こう。


暗闇が続いている。


「これ、ただの穴じゃないぞ」


光を向ける。


奥には、明らかに人工的な石床があった。


左右には整えられた壁。


天井。


そして、その先へ続く細い道。


「通路?」


ルシエラが近づく。


「みたいだな」


メルディアが地図を取り出した。


現在地を確認する。


壁の向こうを見る。


もう一度地図を見る。


「載ってない」


「本当に?」


ロディオも覗き込む。


地図の上では、そこはただの壁だった。


クラウスが崩れた石を見る。


「昔使われていた区画でしょうか」


「たぶん」


メルディアは、通路の奥を見ていた。


ロディオが横から顔を見る。


「行きたそうだな」


「少しだけなら」


クラウスがすぐに釘を刺す。


「奥まで行くのはやめましょう。今日は帰ると決めたばかりです」


エイルも頷いた。


「入口の近くを見るだけ。それで何もなかったら戻ろう」


ルシエラも同意した。


「それくらいなら大丈夫だと思います」


古い通路へ足を踏み入れる。


先頭はロディオ。


床には埃が積もっていた。


今までの通路とは違い、人が通った形跡がほとんどない。


ロディオが足元を見る。


「本当に誰も使ってないみたいだな」


メルディアが後ろから言う。


「壁の中に埋まってたんだから当然じゃない?」


「そういう意味じゃなくて、長い間って話」


「それなら分かる」


十数歩ほど進む。


通路はすぐ、小さな石室へ繋がっていた。


そこで五人は立ち止まった。


部屋の中央。


ひとつだけ。


古びた木箱が置かれている。


金属で補強され、大きな錠前がついていた。


どう見ても。


ロディオが呟く。


「……宝箱だよな」


エイルも頷く。


「どう見てもそうだな」


ルシエラが少し目を輝かせた。


「初めて見ました」


メルディアが言う。


「私も」


「もっと反応してもいいんじゃないですか?」


「宝箱だと思ってる」


「思ってるだけなんですね」


ロディオが一歩前へ出た。


「こういう時こそ俺の仕事だろ。開ける前に罠を見る」


クラウスが聞く。


「分かるんですか?」


「そこは信じてくれよ」


しゃがみ込む。


箱の周囲。


床。


蓋。


錠前。


側面。


時間をかけて一つずつ確認する。


他の四人は少し離れた場所で待った。


やがてロディオが顔を上げる。


「少なくとも、俺が見た範囲では罠はなさそうだ」


エイルが聞く。


「大丈夫そう?」


「絶対とは言えない。俺もダンジョンの宝箱を見るのは初めてだから」


「急に慎重になったな」


「罠の前で自信満々な方が怖いだろ」


クラウスが頷いた。


「それは確かに」


ルシエラは宝箱を見つめる。


「開けても大丈夫でしょうか……」


ロディオも宝箱を見る。


「ちゃんと調べた限りでは、大丈夫だと思う」


メルディアが言った。


「じゃあ、開けるなら慎重に」


「分かってる」


ロディオが錠前へ手を伸ばす。


古い石室に、金属の小さな音が響いた。


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