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第6話

話が展開していきます。

休むことなく講堂から走ってきたつばさは、図書館に入っていった。

講堂ではまだ集会が続いているらしかった。図書館のスピーカーからは騒がしい生徒たちの声と、それを制止する生徒会役員の声が聞こえていた。

つばさはゆっくりと窓際のベンチに近づくと力なく座り込んだ。

心臓の音が体中に響き、無意識のうちに自分の手を握り締めていた。誰もいない空間にはスピーカーから流れる声だけが響いていたが、つばさのなかにはさっきの言葉が何度も流れていた。


『遅くなってごめんな、翼。もうすぐ会いに行くから。』


思い出すだけで体が震えた。必死に肩を抱くが震えは止まらなかった。

言葉とともに会いに行くと告げた彼の顔を思い出す。やさしく微笑んでいたように見えたが、つばさにはその微笑みに、その瞳に狂気を見た気がした。


気付けばスピーカーからの音は途絶え、代わりに授業開始のベルが鳴った。今のつばさにはいつものように授業を受けることはできなかった。元々特待生制度により、成績さえよければ授業は免除されていた。何も考えずに座り込んでいると制服のポケットが振動した。携帯には上総からのメールが届いていた。集会の途中でつばさが出て行ったのをほかのクラスメイトに聞いたらしく、「今どこにいるの?」「何かあった?」と何通も送られてきていた。

深呼吸して落ち着くのをまってから、つばさは上総にいつもの調子で「天気がいいから寝てく。」とだけ返し、携帯の電源を落とした。


少しずつ冷静さを取り戻し始めると、つばさはくすりと笑った。

「ここの生徒会長とはね。まったく、神様はいじわるだなぁ・・・。」


離れていた時間はそう長くはなかったが、穏やかな日々に慣れつつあったつばさにはとても懐かしく感じていた。

数ヶ月前まではすぐそばにいた存在だった。


失うことが怖くて手放してきた存在。


彼がくれたピアスに触れながら瞳を閉じる。


思い出すのは入学する前のこと。


つばさが”(よく)”と呼ばれていたあの頃―――、


長く放置してしまってすいません。


これからも亀更新になりますが、読んでいただけたらうれしいです。

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