十六章 眼鬼④
タクシーも黄金色に輝き
高尾山全体が黄金色に輝きだした。
「桃田さん、薬王院に着いたらすぐに降りろ」
「は、はい」
礼司は薬王寺の前で急ブレーキをかけ、止まると
目玉が追いつき正面を向いた。
「降りろ!」
桃田はゴロゴロと転げ落ちた。
「行くぞ!」
礼司は車を止め、天狗の団扇を大きく扇ぐと薬王寺の天狗の像の目が光って
動き出し礼司たちの前に立った。
「何なの?」
「なんだ!」
由美と麻実と桃田がありえない出来事に呆然とした。
「見ろ!見方が来た」
目玉は真っ赤になり赤い光線を桃田の乗ったタクシーに放ったが
石でできた天狗は自分の持っていた団扇で扇ぎそれを跳ね返した。
跳ね返った光に包まれた赤い雲は空を覆うほど大きな目玉は黒くなり
次第に小さくなって重たそうに降りてきた。
「天狗様行くぞ!」
礼司はライトをハイビームにして
ギアを入れアクセル思い切り踏んだ。
「キュキュキュ」
タイヤが音を立て白い煙を出して回った。
「行け―!」
赤い目玉は礼司の乗っているタクシーに向けて光線を放った。
行燈に付けた鏡が赤い光線を跳ね返し
礼司のタクシーは目玉に向けって突進し宙に浮き突進していた。
「魔美!矢を放て!」
魔美は弓を引き弦を顎まで引いて、
矢を放った。
その矢は目の中央に当たるとピリピリとヒビ入り
続いて礼司の運転するタクシーがぶつかった。
「バーン」
目玉は肉片となり花火のように八方に散り
肉片と血しぶきが地面に落ちて来ると
高尾山のいたるところから白い物体が空に向かって上って行った。
「やった!23時50分任務終了」
魔美が飛び上がると礼司の車が消えていた。
「夜野さんどこに行ったんですか?」
桃田が谷底を見渡した。
「向こうに帰ったんじゃない、空を飛んで」
魔美が笑っていた。
「俺はどうやって帰ればいいですかね?」
「歩いて下山をして、私たちはケーブルカーで降りるわ」
由美はあきらめたように言った。
「それより桃田さんこの事は秘密にしてくださいね」
「もちろんですよ。言っても誰も信じないし、あの二人はどうしますか?」
「大丈夫、もう記
「どうして?封印した鬼じゃないのに・・・」
「ええ」
由美と麻実は首を傾げた。
「あっ、銅鏡どうするんだろう?」
「ゴー」
大きな音がすると目の前にタクシーが止
まった憶が消えているはずよ」
由美は右目を抑えた。
「魔美、右目の視力が戻ったみたい」
。
「夜野さんどうしたの?」
「気が付いたら登山口にいた。勢いで帰ろうと思っていたのに」
「本当?」
由美は口を押えて笑った。
「とりあえず、自宅に送ります」
礼司は銅鏡を社殿に戻してきた。
「由美さん、どうして向こうの世界は鳳神社が
無いんですか?3つ世界はすべて同じじゃないわ」
「なるほど、ところで由美さんは由美の記憶は有るんですか」
「さあ、どうかしら。じゃあ、また礼司さん」
由美は車に座ったまま両目をしっかり見開いてお辞儀をしてた。
礼司はタクシーで中野へ向かうと桃田が話しかけた。
「すみません、妖怪と鬼ってどう違うんですか?」
「妖怪は想像上の物体で昔何か奇怪な事があると
妖怪のせいにしていた、鬼はあなたが見た通り人間を食う事だけよ」
「鬼は人間を食ってどうするんですか?そしてどこから来るんですか?」
「地獄!」
魔美は地縛霊とパラレルワールドの話を省略した。
「わっ」
「じゃあ、みんな食われてしまうんじゃないですか」
「地獄とこっちの世界は簡単に行き来できないから、簡単に鬼は来れないわ」
「高い塀があったりして」
礼司はまた冗談を言っていた。
「そもそもあなたたちが私に変なことしたから鬼が来たのよ」
魔美は桃田を脅かしていた。
「すみません・・・でも良かった鬼を殺してくれて」
「また、誰かが空間を破る事をしたら現れるかも・・・」
「怖い!」
桃田は体を縮めた。
礼司たちは桃田、梨田、柿本を乗せて元の世界に戻り
鬼のノブを持って魔美は帰っていった。
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「魔美、パパとまた一緒に暮らしたい?」
「うん、パパはこっちに戻れるの?」
「ええ、鬼を退治して三つの世界のバランスが整ったらきっと戻れるわ」
「そうか・・・良かった」
「ママ、さっきの夜野礼司さんはパパじゃないわよね」
「ええ、良くわからないわ。パパに様な気がするし、
そうじゃないような気がするし」
「向こうの夜野礼司さんは血が繋がっていないから他人だよね」
「まあ、そうね。遺伝子は同じだと思うけど」
「じゃあ、危険かな?あの人女好きの特に女子高生好きの中年だから」
「うふふ、その時は本当のパパが抑えてくれるわよ」
「そうか、じゃあ安心だ」
魔美はそう言いながらも心の中で向こうの
世界の礼司が好きになっていて
甘えたくなっていた。
眼鬼 終




