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十四 写鬼②

「そうよね」

「そうだ、小説やサスペンスドラマは平気で日本のあちこちに移動するけど

交通費や宿泊代どうしているんだろう?」

「夜野さん鶴岡へ行ったこと無いの?」

「あれば交通費の心配は要らないんだが」

「うん」


そこに、広尾病院へ行っている浜田から連絡があった

「夜野さん大至急来てください」

「わかった」


礼司と魔美は電車に飛び乗った

30分たたないうちに広尾に着くと

病院の前に浜田が待っていた

「お待たせ」

「すみません、実は富田さんは三年前まで老人病棟にいまして

凄く有能な看護師だったらしいんですけど」

「医療事故か?」

「いいえ、彼女が担当した患者が次々に亡くなるので気味悪がられ

外科病棟に移動したらしいんですけど

そこでも重病の患者が次々に亡くなってそれが噂になって辞めたそうです」

「まるで死神だな」

「まさか彼女が患者を殺していたと言う事ですか?」

「いや、彼女に鬼が憑いている方かも知れないな」

「鬼ですか?」

「ほら、さっき魔美が言っていた、呪鬼」

「彼女が呪鬼の依頼者?」

「昔、苦しんでいる患者を安楽死させていた医者が捕まったことあるな」

「そうですね」

「富田さんも?安楽死させていた・・・」

「うん、やさしくて良い看護師なら痛みで苦しんでいる患者を呪鬼に頼んで

あの世に送ってもらう」


「そうか、でも彼女がなぜ死んだの?」

「別な鬼が食ったんだよ」

「どんな鬼?」

「そりゃ調べなきゃわからんよ」

「じゃあ、もう被害者は出ないと言うことですか?」

「一応そういう訳だ被疑者死亡だな、お疲れさん」

礼司はもう諦めていた


「ちょっと待ってよ、他の被害者の心臓を食った鬼を退治しなくちゃ」

「ああ、でも現れるかな?」

「そうか」

「どうしたんですか?元気がないですね」

浜田が元気の無い礼司に声をかけた。

「いや、ちょっと引っかかるところがあってな」

「では、私はもう少し聞き込みしてみます」

「ああ、頼む」


礼司はポケットに手を入れて

歩き出した

「彼女が誰に食われたんだろう?」

「ええ」

病院からしばらく歩き

商店街の入り口に

お寺があった

「どこへ行くの?」

礼司は返事もせず吸い込まれるように

お寺の境内に入ろうとすると

その門が白く点滅していた


それをくぐった礼司は両手を大きく開いて空を見上げると

が光りだした

そして、お賽銭の箱がおいてある向こうの戸が開き

仏像が見えるとそこから一線の光が

放射され

その光が礼司を包むと

礼司の頭に色々な映像が浮かんだ

そして礼司は大きく目を開いた

「なるほど、これが向こうの夜野礼司さんの能力か」

「どうしたの?」

「いいもの見たよ」


そこに礼司のスマフォが鳴ると

それはタクシー会社からだった

「もしもし」

「夜野です」

「すみません、お休みのところ」

「なんですか?」

「明日の予約が入りました」

「はい」

「羽田空港第1ビルに12時30分 上杉さんです

行き先は山形県です、長距離なので休養を充分とってください」

「はい」

礼司はうれしくて顔がほころんだ

「やったー」


「魔美やったぞ」

「どうしたの?」

「明日山形へ行くぞ、仕事が入った」

「すごい」

「一緒に行こう」

「えっ、まずくない?」

「頼み込めば何とかなるだろう」

「あはは」

「明日8時出庫だから、12時に羽田空港で待っていてくれ」

「わかった、今日は帰るわ」

「俺のところへ泊まってもいいぞ」

「やだよ」

「そうか」

礼司は魔美の冷たい返事に寂しさがよぎった


翌日、礼司が12時羽田空港のタクシー乗り場に着けると

白いショートパンツ姿の魔美は小さなバスケットを持って助手席の前に立った

「お疲れ様」

「おおお疲れ様」

礼司はドアを開けると魔美はシートに座った

「えへへ」

魔美はうれしそうに笑った

「そういえば、お前さんこっちに来るのにどんな機械を使うんだ?」

「説明が難しいんだけど、空間転送機かな」

「他の人たちは来ないのか?」

「私専用に作ったから他の人は無理」

「なるほど、俺も向こうへは行けないのか」

「今のところは」

「ん?、ひょっとして鬼のノブそれように使うのか?」

「うん、そうよ」

「なるほど」

礼司は時計見てターミナルの出口を覗いた

「機械のある場所は白い建物の1階の奥の部屋か?」

「えっ?」

魔美は突然家の様子言われて驚いた

「ん?違うか?」

「そうだよ」

「親父さんの研究室か?」

「そうよ、見えるの?」

「見えると言うより、目線が違うんだよな主観的な」

魔美はその言葉で礼司がいずれすべてを知ることになる事を確信した

「さてお迎えにあがろうか」

礼司はタクシーを下り出口から中を覗いた

「いた」

礼司は

三日前に東京駅から載せた二人とわかっていた

「お疲れ様です」

「ああ、夜野さん」

上杉夫婦は頭を下げた

「いかがでしたか?」

「いやあ、妻がすっかり良くなって驚きました」

「それは良かった」

礼司は二人の荷物を持って

止めてあるタクシーへ向かった

「実は上杉さん、お願いがあるんですけど」

「はい?」

「うちの娘を一緒に載せて行っていいでしょうか。帰りが長いので」

「ああ、いいですよ」

上杉夫妻は笑って返事をした


タクシーへの所へ着くと魔美が立っていた

「こんにちは」

「ああ、かわいいお嬢さんだこと」

妻の勝子が微笑んだ

「ほんと、ほんとかわいいお嬢さんだ」

「よろしくお願いします」

魔美は普段と違った雰囲気で挨拶をした

「おい、お嬢様風か?」

「夜野さんのためよ」

「ありがとう」


四人がタクシーに乗ると

「あっ、すみません」

「はい」

「料金が高速代金を含めますと15万くらいになりますが」

「あはは、それは昨日聞いて知っていますよ」

「そうですよね」

「それより、せっかくだから向こうで温泉でも浸かってゆっくりしてください」

「はい、ありがとうございます。もう一つお願いが」

「はい?」

「手を握らせてください」

上杉は一瞬きょとんとして手を出すと

礼司はそれを握り頭に映像を浮かべた

「はい、データ入力完了」

そう言って礼司は魔美から鬼のノブを受け取って

取り付けエンジンをかけた

「皆さんシートベルトをしてください」

そう言って後ろを振り返った

「上杉さん私を信じてくださったついでに、もう一つ不思議なことがおきます」

「は、はい」

「それは、誰にも言わないでください」

「わかりました」

上杉は何が起こるのか緊張した

礼司はタクシーをゆっくりスタートさせると

「所で石のほうは?」

「今朝から作業に入っていますから私達が帰る頃には

石が移動されています」

「わかりました、お祓いのほうは私がお手伝いいたします」

「ありがとうございます」

しばらく走って目の前にトンネルが見えると

「魔美、あそこでやるぞ」

「はい」

「では行きますね」

礼司はアクセルをいっぱいに踏み込むと

目の前が真っ暗になり

明るくなった瞬間

礼司はブレーキを踏んだ

「あっ」上杉は大きな声を上げた

「ここは鶴岡の駅」

「はい、着きました。所要時間5分、あはは」

上杉夫妻は呆然としてしばらく口がきけなかった



「ご自宅は」

「は、この道を真っ直ぐに」

「はい」

礼司はタクシーを走らせた

「ところで私たち鶴岡に住んでいる

富田さんの事を調べたいんですが」

「富田さん?」

「はい」

「私の家の先にお寺の住職で富田さんと言うのがいるが」

「お寺だって」

魔美が礼司に向かって囁いた

「そうですか、順子さんという名前です」

「ああ、それは富田さんの所の娘だ」

「そうですか」

「どうしたんですか?」

「昨日亡くなりました」

「えっ」

上杉は体を乗り出した

「どうして?」

「あ、心臓の発作です」

礼司は本当の事を言いそうになって

それを抑えた

「それで何をお調べに?」


その時、四人の乗るタクシーは

上杉の家の前に着いた

「案内せんでもよくわかりましたな」

「あはは、見えていましたから」


庭ではちょうど大きな庭石を滑車で

持ち上げているところだった


「お帰りなさい」

30代の女性が玄関から出てくると

「うちの嫁です」

上杉が紹介すると

「はい、ご苦労様です」

その女性がそう言って頭を下げた

「ああ、おかあさん」

嫁の文恵は勝子の手を握った

「夜野さんのおかげで、良くなりました」

礼司は荷物を家に運び入れると


「でたぞ~」

庭先で声が聞こえたみんなが手を離して

庭石のところへ行くと土のような色をした

人骨が埋まっていた


「夜野さんが言っていた通りだ」

「はい」

礼司が覗き込むと

目の前に女性の霊が立って

礼司に頭を下げた

「住職を呼んでこよう」

作業をしていた男が言うと

「大丈夫です、私がやります」

礼司は右手を前に差し出すと

指先が光りだし、目の前にいた霊が

空へ向かって昇っていった

「終わりました」

「もう終わったんですか?お経は?」

上杉は不安そうに尋ねた

「ないですよ」

「そうですか」

「この女性は最上氏の血を受け継ぐ女性で」

礼司はそこで話を止めた

「どうしました?」

「あはは、その先は見えません、丁重に弔ってください」

「は、はい」

「それとこの石は・・・・、すみません水をバケツいっぱい持ってきてください」

男の一人が水を持ってくると

礼司は石の抜けた穴に水を注ぎ込んだ

「ではここに戻していいですよ」

「はい」

作業をしていた男達が返事をした


「さあ、お茶でも」

上杉が礼司たちを家へ向かえ入れた


「ねね、最上氏の話は?」

魔美が小さな声で聞くと

「ここのご先祖様が彼女を殺して

あの石の下に埋めたんだよ、そんな事言えないだろう」

「そうだね」


礼司たちは庭の作業していた男達とお茶を飲んで話をすると

富田順子が11歳の時に神隠しにあった事を

誰かが話をしはじめ富田順子は三日で戻ってきたが記憶が無くなっていて

どこへ行っていたか分からなかったという話だった


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