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十三章 獣鬼

新宿歌舞伎町の東宝ビルの前で、金色の髪男が

毛皮のショートコートを素肌に着て歩いていた。

その男は有名人であるらしく、道行く女性たちが

振り返ったりスマフォで写真を撮ったりしていた

その時。突然男は一緒にいた男に向かって

「痛てて・・・」

「ん?どこが?」

「あちこち」


そう言って痛みに耐えながら毛皮のチャックを下ろし続けたがピクともしなかった

男の額に汗が浮かび上がってきた、そして苦痛で男が地面に倒れ転がり回った。

その後はジュルジュルとストローでジュースを飲むような音がすると

「大丈夫ですか?」

一緒に居た男が近づいて手を触れると

体をピクピクと痙攣させそして、

袖口とウエストから真っ赤な血が流れた


翌日、礼司と魔美は新宿大学病院の903号室に浜田を見舞っていた。

「まだ、意識が戻らないのか?」

「ええ」

一緒に病室に入って来た女医が言った

「原因は?」

礼司が尋ねると

「わかりません、何の異常もありません」

その女医は向うの世界の由美になんとなく似ていた

「あの~先生」

礼司は胸章の川島の苗字を見ながら聞いた。


「まさか由美さんて言うんじゃないでしょうね」

「そうです。どうして?」

「いや、ちょっと知り合いに似ていたから」

「確かに、由美さんに似ているね」

魔美が礼司の腕を突っついた

「浜田どうした、目を覚ませよ」

礼司が浜田の耳元で囁いた。


すると、礼司が持っていた根付が光りだした

「何かの合図か」

礼司が浜田の顔に根付をかざすと、浜田が顔を左右に振りゆっくり目を開けた

「先生!目を覚ました」

「はい、担当の先生を呼んできます」

川島は病室を出た

礼司が浜田の顔を覗きこむと

「ああ、隊長」

「隊長?」

医師が聞きなおした。


「思い出しました。夜野隊長」

「久しぶりだな、浜田」

「はい」

「お前は向うで死んだのか?」

「いいえ」

浜田は首を横に振った

「浜田さん、大丈夫?」

魔美がニッコリ笑った

「実は向うの世界でクーデターが起ったんです」

「クーデター?」

「はい、国民は知りませんが」

「なんか解かるよ」

「それで隊長に会うために命を懸けてきました」

「それで、用件は?」

「隊長、もう一度我々の世界に来ていただけないでしょうか」

「何のために?」


「我々は命を狙われていて、和久井警視正の指示で仮死状態になったのです」

「どうしてお前達が命を狙われたんだ?」

「SSATはヒーローだからです」

「なるほど、SSATの名前を使って警察を誰かが掌握したのか?」

「その通りです、政治もです」

「政治もか?」


「はい、今までの政治家、役人は小さな犯罪で

次々に逮捕されクリーンな国づくりと言う名目で

警察官、法曹界のOBで作られた正議党という

新党が国会の過半数を握ったのです」

「なあ、浜田それもいいじゃないか、腐った政治家と役人がいなくなって」

「いいえ、新しい法案ですべての個人情報を

国が管理することになってしまうのです」


「なるほど、もしその情報が海外に流れたら日本は終わりだな」

「はい、日本は乗っ取られます」

「うん、他の川島、沢村、山野、白尾は」

「私と数日遅れで全員こちらへ飛ばされたと思います」

「うん」

「それで、隊長と我々で作戦を立てて向うの世界へ乗り込みたいのです」

「たった六人で世の中を変えられると思うか?」

「はい、隊長がいれば」


「あはは、俺を買い被っていないか?」

「そんな事ありません」

「それで、浜田勝算はあるのか?」

「はい、向うの世界でクーデターが起こる前に移動するんです」

礼司は魔美のほうを見て言った

「え?魔美そんな事できるのか?」

「かなり、難しいけど可能だよ」

「どうして?」


「鬼の世界は3つの世界をつないでいるし、

時間の観念がないから何かのパワーで

時間をさかのぼれば可能だと思う」

「何かのパワーって?」

「夜野さんと五人のパワーかな」

「ん?」

「大丈夫よ、京都から1分で帰って来たんだから

パワーはついているから」


「わかった、浜田 とりあえずこの世界で残りの

四人を探し出すことから始めなくてはな」

「はい、警察の情報を駆使してあたりを付けてみます」

「うん、俺や浜田のように顔、体型は同じだろうから外国人は考え難いな」

「そうですね、免許の写真から探し出しましょうか?」

「あはは、何千万人もの人の顔をチェックできるか?」

「む、無理です」

「顔、体型が同じだと言うことは環境が近いということだ。俺以外は」

「そうね、夜野さんは警察とTVマンと学者だからね」

「あはは」

浜田は夕方に退院した。


その夜の午前1時過ぎ銀座八丁目近くの寿司屋の前

戸が開くと板前と次にホステスが出てきた

その女性はシルバーフォックスのロングコートを着ると

後から出てきた恰幅の良い男性に

「先生、ご馳走様でした」

「いやいや」

板前は二人に頭を下げた

「ありがとうございました」


女性は笑みを浮かべ甘えるように

男の右腕に左手を通した

「先生、お車は?」

「そこの通りに待たせてある。送って行くか」

男はニヤリと笑うと

「いいえ、先生と方向が違いますからタクシーで帰ります」

「そうかそうか、残念だな」

「じゃあ、また遊びに来て下さいね」

「おお」

女は男と別れると

タクシー乗り場に向かった


最近の不況でタクシー乗り場には人が並んでおらず

タクシーに乗ると気取った口調で

「月島お願い」

「はい」

運転手が返事をすると女はタバコを咥えた

それを見ていた運転手は

「すみません、禁煙なんですけど」

「窓開けりゃいいでしょ」

「困ります」

プライドを傷つけられた女は

不機嫌に口をならしてバックにタバコを戻した


5分ほどで月島の高層マンションが立ち並ぶ

道路に止まると女はコートの襟を立てた

その瞬間、女の体に激痛が走った

「痛い!」

首からぴゅっと血が飛ぶと

顔の血の気が引き真っ白になり

女が脱ごうとしているコートが脱げず

力尽き

マンションのフロントへ向かう途中で

倒れた。

すると、コートの下からくちゃくちゃと

物を食べる音がし続けた


******

翌日、浜田が出勤すると

課長の前原が浜田に声をかけた

「浜田大丈夫か?」

「はい、ご迷惑をかけました」

「それで、病気の原因はわかったのか?」

「はい、判明しました。問題ありません」

浜田は笑った


「そうか、良かった。早速だが。また変死体だ」

「はい、今度は毛皮を着た女性の中身が白骨になっていた」

「えっ?白骨」

「ああ、綺麗な白骨だ。舐めたような」

「鬼かな?」

「ん?」

前原が不思議そうな顔をして

「これが資料だ」

ファイルを浜田に渡した。


「ところで、夜野礼司って何者だ?」

「はい?」

「いや、小島を助けてしてくれた件で歌手の真理子さんには

感謝状を出すことに決まったんだが

彼女が夜野礼司にこそ感謝状を出すべきだって言ってな」

「なるほど、その件は後ほど詳しく、ところで小島はどうしています?」

「ああ、1ヶ月半前の暴行致死を認めたよ」

「よかった」


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