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十二章 武鬼 

しとしとと雨が降る夜、日曜日の有楽町一丁目

急に降ってきた雨のせいか手を上げるカップルが多かった

その中必死で手を振る男性を礼司は見つけタクシーを止めた

「東京駅へ、急いでください」

34~5歳の紺のスーツを来たなかなかハンサムサラリーマン風の

男だった。

「新幹線ですか?」

「はい、京都まで」

礼司はタクシーの時計を見ると21時15分を過ぎていた

「お客さん、間に合いませんよ、最終は21時20分ですから」

「ええ!!」


男は肩を落として、しばらく考えると

「じゃあ京都まで行ってください」

「えっ、えええ」

「京都まで500キロ 20万円くらいかかりますよ」

「お金は良いんですけど、時間はどれくらいかかりますか?」

男は体を乗り出して言った

「休憩無しで五時間以上かかりますけど」

「そうですか。着くのは2時過ぎか・・・」

「どうしますか?」

「分かりました。お願いします」

男は頭を下げた


「はい、急ぎます」

礼司は八重洲口から宝町のランプへ向かった

そこへ、魔美から電話があった

「夜野さん、仕事です」

「今、お客さんを乗せているんだけど」

「ええっ、どれ位で降りそう」

「長距離だから」

「1時間くらい?」


「いや、5時間」

「ええっ、どこへ行くの」

「京都だよ」

「ちょうど良かった。仕事は京都よ」

「23時には間に合わないぞ」

「大丈夫よ」

「ん?間に合う方法があるのか?」

「あるわよ、とにかく浜田さんの入院している

南里大学病院いるから迎えに来て一緒に行きましょう」


「お客さん」

「はい」

ウトウトしていた客は返事をした

「あのう、もし京都に早く到着する方法が有ったらどうしますか?」

「えっ?、そんな方法があるんですか?」

男は体を乗り出した

「ええ。あるんです」

「お、お願いします、1分でも早く着けば」

「分かりました」

礼司は南里大学病院前で魔美を乗せた。


「こんばんは」

魔美は後ろの男に頭を下げた

「は、はい」

魔美は鬼のノブをこっそり下から渡した

「こ、これで行くのか」

「うん」

「時間前でも大丈夫か?」

「もちろん」

礼司は後ろを振り返って


「お待たせしました。出発します」

「大丈夫なんですか?」

「任せてください」

礼司はシフトノブを交換してエンジンをかけると

周りから人の気配も走っている車も消えた

そして礼司がアクセルを思いっきり踏むと

タイヤからキュキュキュと言う音を立て

白煙を出して金色の光を放った。


「運転手さんずいぶんスピード出しているようですけど捕まらないですか?」

「あはは、それも覚悟です」

「ありがとうございます。気をつけて運転してください」


「はい」

「でも、今日はずいぶん空いていますね。しかも信号が全部青」

「そうですね」

そこに、魔美が小さな声で囁いた

「ねね、夜野さん。うるさいから彼に寝てもらってくれるかな」

「うん、そう願いたい」

「じゃあ、願って」

「ん?」

「眠れって思えばいいのよ」

「ね・む・れ。これでいいのか?」

男は一瞬で崩れるように眠った

魔美は後ろを振り返って

「ほら、眠った」


「ど、どうしてだ?」

「夜野さん、鬼のノブを使ってこの世界に来ているから

霊力が上がって人を眠らしたり記憶を消したりできるようになっているのよ」

「そうなのか?」

「そうよ、私毎回善然寺の住職さんたちの記憶消しているわ」

「お前も霊力あるのか」

「まあね、こっちの世界の人よりはね。夜野さんほどじゃないけど」


「おお、ところで浜田の具合は?」

「まだ、意識が無いの」

「でも変だな、奴は何の被害も無いんだよな」

「うん、なんの怪我もショックも受けて無くて脳波も安定してるわ」

「俺も明日見舞いに行く」

「うん、夜野さんが行けば意識が戻るかも」

礼司はアクセルペダルが床に付きっぱなしでノーブレーキ

運転を続けていた。

「なあ、魔美。この車時速何キロ出るんだ。

メーター180kmで止まっているから」


「夜野さんの気持ちしだいよ。夜野さんが出ろと思えばもっと出るかも」

「なるほど」

するとタクシーはスピードを上げた

誰も走っていない高速道路にはたくさんの地縛霊立っていた

その地縛霊は礼司が運転するタクシーが通り過ぎると

次々に空へ昇って行った

「魔美、霊が上がっていくぞ」

「うん、このタクシーのパワーで浄霊されているのよ」

「今までそんな事今まで無かったろう」

「夜野さんの霊位が上がったのよ」

「そうか」

「早く夜野さんのパワーを上げてもらわないと・・・。」

「ん?」


「そうそう、途中鬼が二匹居るからね」

「どこだ?」

「大井松田と岡崎」

「両方とも事故のメッカじゃないか」

「そうよ」

「分かる気がする」

東名高速に乗って十分もしない内に中井PAを通り過ぎると

「そろそろ出そうだな」

「うん、右ルートのトンネルを過ぎたところ居るわ」

魔美はGPSを見て言った


「OK昔の上り線か」

「そうね、東京に荷物を運ぶトラックがよく事故を起こしたから」

「どんな鬼だ?」

「双鬼に似た鬼よ」

「じゃあこれで轢けば良いんだな」

「うん」

礼司はトンネルの中をに入るとスピードを落とした

トンネル内のオレンジの明かりの中からトンネルの出口を見ると

トラックくらいの大きさの巨大なライオンに似た、双鬼が立っていた


「ま、魔美でかいぞ」

「あはは、大きいねえ」

「相当人を食ったんだろうなあ。時間かかりそうだなあ」

この双鬼も人間の顔をベースに口が大きく裂け、

牙が伸びていて頭の両側に角が生え身体は茶色い毛で覆われていた。

「こっちに向かってくるぞ」

「以前やっつけた双鬼はかかってこなかったけど・・・・大丈夫かな」

「なんとかやってみるぞ」

礼司はアクセルを思い切り踏み込み音を出して走り出した


双鬼は体を翻し逃げ出した

上り坂のカーブの多い高速道路は双鬼を簡単に轢殺す事はできなかった


「武器はないのかよ。ミサイルとかレーザービームとか」

「ハイビームライトだけだよ」

「やっぱり、それかよ」

「3回だけね」

「ああ、しかし右へ行ったり、左へ行ったり困ったな」

「大きい分だけこっちは動きが鈍いわ」

「うん」

大きな左カーブを過ぎた瞬間直線道路になった。

「おお射程圏内はいったぞ」

礼司はライトをハイビームにした。

ヘッドライトから赤いビームが双鬼に向かって発射された


「ああ、赤いビームが出た」

「きゃー凄い!!」

ライトを浴びた鬼は赤くなって体が燃え出した

「魔美このまま突っ込んでも壊れないだろうなあ」

「大丈夫よ・・・・・。きっと」

「壊れるな!」

礼司の運転するタクシーは巨大な双鬼を弾き飛ばし

崖のそこへ落とした

すると、谷底から数十の白い塊りが空向かって上がっていった


「魔美何時だ?」

「21時40分」

「後1時間ちょっとか?」

「そうだね」

「時速500kmで走れるのか?」

「それはリニアモーターカーに任せて」

「だよな」

礼司はアクセルを踏んだ

するとスピード感より礼司の目の前の景色がはコマ落しの様になって

移動してあっという間に浜名湖を過ぎていた

「もうすぐ岡崎よ」

「うん」

魔美がGPSを見ると長い下り坂のカーブの先に双鬼の赤い点

が見えた

「このカーブの先に居るわ」


「うん」

礼司がはもっとアクセルを踏むと車はキーンと音を立てた

礼司が双鬼の姿を目認すると

ライトをアップにし真っ赤なレーザーピームを放った

それが双鬼に当たった瞬間、真っ赤な炎を上げ消滅した

「早い!!」

「乗りだよ、乗り。あはは」


「ところで、今日の鬼は?」

「武鬼、京都で死んだ武士達の霊が鬼になったの」

「墓でも動かしたのか?」

「うん、旧家を取り壊してマンションを建てようとしたら大量の人骨が出たんだって」

「ああ知っている。それで」

「それがね、古い人骨で業者がちゃんと弔わなくてゴミみたいに処理したらしいわ」

「それで、どんな事件が?」

「工事現場の従業員六人が首を切られて死んだわ」

「おお、可愛そうに・・。つぎ狙われるのは?」

「たぶん・・・・・」

「そうか、それで鬼の居る場所は?」

「ええと、本能寺」


「おお、織田信長。本能寺の変のあったところか」

「うん」

「織田信長が鬼になっていたりしてな。あはは」

「うんそうかもね。でも鬼はかなり強いよ」

「それで、武器は?」

「その小柄じゃ力が足らないから、刀を使うわ」

「刀だけで勝てるのか」

「だから、いい刀じゃないと」

「ああ、京都ならいい刀があるな」

「うん、京都国立博物館」


「な、なに?盗むのか?」

「違うわよ、借りるのよ」

「そうか、借りるのか。まさか国宝だったりして」

「そうよ、国宝のね。ええと」

魔美は持っていた紙を見た

「京都国立博物館にある陸奥守吉行、坂本龍馬の佩刀はいとうだった」

「じゃあ向うに着いたらまず刀を盗むことか」

「場所は清水寺の近く」

「OK」


礼司の運転するタクシーは京都駅に22時50分に着いた

「魔美鬼退治の時間に間に合ったな」

「うん」

「お客さん着きましたよ」

礼司は自慢げに声をかけた。

「ん、今何時ですか?」

「23時ちょっと前です」

「えっ。えええ?本当に着いたんですか?」

男は不思議な顔で時計を見た

「よ、よかった間に合う。ちょっと待っていてください人を連れてきますから」

「いいですけど、金額が金額なので・・・」

礼司は疑った目で男を見た

「ああ、そうか。私、佐々と申します。待っていてくださいね」

「は、はい。お待ちの方は2号車です」

「えっ?」

佐々は10万円と名刺を礼司に渡して車を降りた。


「なあ、魔美」

「はい?」

「今気がついたんだけど・・・・。メーターが5360円だ」

「あはは、鬼の世界はメーターが動かないから」

「じゃあ、もらい過ぎかな? 会社になんて言おう」

「ねえ、夜野さんってどうしてこういう時は弱気なの?」

「あはは、サラリーマンが長かったから」

名刺を見ながら魔美は

「あら、あの人大学の準教授よ」

「ん?」

「佐々宗則 東京都市大学文学部民族考古学だって」


「ほう」

「ところで、彼はどうして20万円も払ってタクシーで京都に来たのかしら」

「うん、人を追ってきたみたいだ」

「鬼退治の時間過ぎちゃうよ」

「大丈夫だろう24時までに鬼を退治すればいいから」

「そうね、今度は強力な武器があるから」

「ああ」


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