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十章 汗鬼③

礼司はバスタオルを巻いて体を震わせている真理子に

駆け寄った。


「鬼退治して来るから安心してください」

「そうよ。夜野さんがやっつけてくれるから」

魔美が自慢そうに言った

「ありがとう」

真理子がやっと返事をした

「あっ、タクシーで送って行けなくてごめん」

「がんばってください。夜野さん」

「ああ」

真理子は礼司の後ろ姿を見て安堵していた

「かっこつけちゃって」

魔美は笑っていった


「いくぞ!」

礼司たちは車に乗り込んだ

「ぼ、僕はどうしますか?」

浜田が礼司を追いかけて言った

「行きたい?」

「はい、是非」

「でも、鬼の世界を知っても誰も信じないぞ」

「分かっています、でも人が死んだのは事実ですから」

「乗せてあげようよ」

魔美が礼司に頼んだ。

「ああ」

「ありがとうございます」

浜田は嬉しそうに助手席に乗った。

定位置だった助手席を取られて不機嫌になった。


礼司はタクシーを走らせると、

向うの世界の事件と礼司との関係説明した。

「なるほど、僕は向うの世界で死んでいるんですね」

「うん、その可能性がある」

「それで夜野さんが懐かしい感じがしたのか」

「たぶん」

「ところでなぜ鬼がいるんですか?」

「それは、魔美の専門だ」

「それは、この世に残った霊魂がなんならの

形で鬼になってしまうのよ、そして人間を食うの」

魔美は後ろの席から鬼の存在を説明した。

「今回はサウナで死んだ人の霊魂が鬼化してしまったわけなの」

「で鬼はどこにいるんですか?」

「いまから移動する場所。つまりみんなの言う地獄」

「どうやって移動するんですか?」

「これが鬼のノブ、このタクシーにつけると移動できるの」

浜田にノブを見せた

「いつ移動するんですか?」

「夜の23時から24時の1時間だ」

礼司が言った

「ね、夜野さん。さっきの小柄見せてくれる」

魔美が体を乗り出して言った

「おお」

礼司は胸のポケットに入っていた小柄を魔美に渡した

「やっぱり、これはノブと同じ目的で作られたものよ」

「鬼退治用か?移動用か?」

「こっちは鬼退治用だね」

「了解、でも小柄より刀のほうが良かったのに」

「夜野さんさっきのベレッタはなんですか?」

浜田が急に大きな声で言った

「あれは魔美が持っている鬼退治用のツールだ。

自動装填で永遠に弾がなくならないマガジンだ」

「へえ、凄いですね。ところで魔美さんて・・・」

「ははは、俺もわからん」

礼司は魔美を見つめた

「ごめん、いずれ話します」

22時30分タクシーは池袋前に着いた

「ところで、浜田さんは何課なんですか?」

「これでも警視庁捜査一課、警部補ですよ」

「ええ、エリートじゃん」

「ええまあ」

浜田は照れて額の汗を拭いた

「ところで、今日の売り上げどうしよう」

礼司は突然大きな声を上げた

「まったく」

魔美は笑った

「笑い事じゃないぞ、会社に怒られる」

そう言うと嵐丸が慰めるように礼司の手を舐めた

礼司は小柄とモデルガンのベレッタを取り出した。

「浜田君、彼女いる?」

「いいえ」

「じゃあ、もしもの事が有っても大丈夫だね」

「ぼ、僕も参加するんですか?」

「うん、手ごわそうだから手伝ってもらうよ」

「は、はい」

「さて、鬼退治の時間だ! 行くぞ」

22:58分の時計を見て言った

「はい」

魔美が鬼のノブを礼司に渡した

タクシーのノブをはずし鬼のノブに付け替えて23時なってエンジンをかけ

「キーン」

と言う甲高い音がすると周りが暗くなり今まで駅のほうから

歩いてきた人が突然消えた。

「浜田君ここが鬼のいる世界だよ」

そして、金色のマガジンをベレッタに入れスライドさせた

「ここが地獄で・す・か?」

「うん、そうだよ」

魔美が浜田の顔を見て言った。

「さて鬼を探すぞ」

「はい」

礼司がタクシーの後部座席の自動ドアを開けると、

ポチと嵐丸が飛び出しスポーツクラブの前に立って待っていた。


2階に登って右に曲がると大きな浴槽の前に

閉鎖されたままのサウナがあった

「ここで人が死んだんですね」

「うん、ここにはいないな」

「あの2匹は?」

「各階を走りまわっているよ」

魔美は3階から降りてきた。

「上の階は?」

「いない」

「夜野さん一体どこへ行ったんでしょうね?」

そこに「ワンワン」とポチの吠える声が聞こえた。

「あっ女湯」

礼司と浜田が顔を見合わせた

そしてポチの吠えているサウナルームへ走っていき

ピストルを両手に構えて廻り見渡すと

そこにはスエット姿の1人の女性が横たわっていた

「彼女生きている?」

魔美が驚いて聞いた

「生きているみたいですね」

「こいつら餌を集めているのか?」

「鬼は?」

「ここにいるはず」

礼司の鬼の根付が光った

「そこか」

魔美のちょうど上の天井に肌色のアメーバーの

ような形でゴムのように張り付いていた、

礼司は迷わずピストルを撃ったそれは一瞬で消えた。

「駄目だ」

「当たったみたいですけど」

「液状のやつらには効果がない」

「そうか」

「浜田頼む」

礼司はピストルを浜田に預けて更衣室へ行った

浜田は横たわっている女性の前に立って天井に銃口を向けていた

そこへ、礼司が戻ってきて

「そこだ」

そう言って青いバスタオルを浜田の右横に投げつけた

そこには汗鬼が口を開いていた。

そこに落ちたバスタオルが汗鬼を吸い取った、

そしてブルーのタオルが肌色に染まった瞬間

「浜田撃て!」

浜田が3発目を撃った時

「ぎゃー」

という声を出して汗鬼が飛び散った。

「きゃー、やった」

魔美は飛び跳ねて拍手をした

「まだだ」

「どうして?」

「汗鬼はもう一匹いる、行くぞ!」

礼司が階段を下りてタクシーに向かうと

「待ってこの女性は?」

「あっそうか」

「浜田3階のスタジオに置いてこい」

「はい」

浜田は女性を抱き上げ誰もいないスタジオに横にさせると

外に走って出た。


浜田がタクシーに乗ると礼司が言った

「高田馬場へ行くぞ」

礼司タクシーを走らせた

「魔美今何時だ?」

「23時34分」

誰もいない鬼の世界の道路を200キロ近いスピードで

高田馬場方面に向けた

「真理子さんを狙った一匹いるはずだ」

「なるほど」

「さっきのはまだ人は食っていない」

「魔美後何分だ」

「あと10分だよ」

「どうしてそんなに急ぐんですか?」

浜田が不思議そうに聞いた。

「一晩、つまり夜の0時を過ぎると鬼は強くなるんだ。

しかも人間を食うと巨大化する」

「そうか弱いうちに退治するんですね」

「そうだ」

礼司が運転するタクシーが駐車場に入った瞬間

フロントが溝に入ったように頭を下げた.


「どうしたの?」

「汗鬼に飲み込まれた」

礼司はギアをバックに入れたと同時にライトをハイビームに入れた

すると汗鬼は3mほどの高さに立ち上がった、

それに向かってUターンした礼司は

ハイビームを当てると「ギャー」と言って今度は地面に這った

それを礼司は思い切り轢いた。

「よし!」

礼司がタクシーを止めてタクシーの下を見ると汗鬼は見あたらなかった

「逃げられた?」

魔美も浜田も辺りを見渡した

「どこへ行った?ビルの中か?」

礼司がビルに入って走って1階の浴室に向かうと

鬼が天井に張りついて礼司を狙っていた

それに気付かない礼司の上に落ちて来て

礼司の全身から体液を吸い始め

体中に痛みが走った

「痛てて・・・・」

そこへ、タオルを口に咥えて運んできた嵐丸とポチが汗鬼にかぶせ、

両手いっぱいにバスタオルを抱えた魔美と浜田が汗鬼に投げつけた

青いタオルがベージュに変わった瞬間、

「夜野さん!!」

浜田がそう言ってピストルを投げた。


礼司がピストルを受け取るとそれは黄金の光を放ち

15発立て続け弾丸を発射すると汗鬼がよれよれになった

そして、礼司は小柄を握ると金色に輝いて刀のように伸びた

そして、ジャンプしてバスタオルを縦に切ると

汗鬼は凄い音を立ててバラバラに飛び散った

そして、品川区のスポーツ施設から5人の白い塊りが空に向って飛んでいった

「きゃー、やったー」

魔美と浜田が拍手をした

「23時55分任務完了!」

礼司が雄たけびを上げた

「夜野さんお疲れ様でした」

浜田は握手をした

「さあ帰るぞ!」

「はい」

3人と2匹はスポーツクラブを出てタクシーに乗った

「浜田さんなんて報告するの?」

「まあ、事実は無理ですね。でも安全宣言を出さないと」

「うん、とりあえず汗鬼は退治したけど、まだまだ出てくるぞ」

「本当ですか?」

「うん、また手伝ってね」

魔美がニッコリ笑った

「はい」

浜田も笑った

そう言った礼司は向うの世界の由美達の様子が気になっていた。


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