やるべきことに集中するわ!
「辺境伯領は、どんな感じなのかしら!?」
「そうね、中心地区は要塞都市のような感じね。
商業地区、冒険者ギルド地区、騎士団地区等の街があるみたいよ。」
「未知の世界で、ワクワクしそうだわ!」
「ラベンダー畑で、アイラード様と初めてお会いした時、お茶会にご招待して下さいましたが、残念ながら、伯爵邸に行けるような、手持ちのドレスが無くて、ダイヤー商会に行きました。」
「そこで、ダイヤー商会が関わってくるのね!」
「ええ、そうよ。クロワーヌ男爵家テレサ夫人とダイヤー商会長が、いとこ同士なの。」
「なるほど! その繋がりが…!」
ここで、ダイヤー次期商会長夫人が、不穏だというお話しはしない方がいいでしょうね。
まだ、今のところは、どうなるかの公表自体がされていないみたいですから。
「義姉上、夏休暇は、いつまでですか?」
「私は、来週あたりから、仕事に戻るわ。」
「そうなんですね、清掃担当の侍女見習いって、かなり大変そうなのですが…」
「ええ、そうね、確かに、大変よ。
王城は、あちこち、お風呂やトイレがある上に廊下が長くて、広いんですもの。」
「想像したら、かなり、大変そうです。」
「ふふふ、でしょう?」
私は、まだ、見習いだから、お風呂やトイレ、廊下などが清掃の担当する場所なのです。
メアリー様は、私と同じ場所を手伝って下さる方なのですけれど、それは、教育係的な役割。
本来なら、メアリー様は、会議室や事務室等、主要な場所の清掃担当者なので。
そのような場所は、王城の侍女長や信用できる侍女しか、入れない場所なのですよ。
「しばらくは清掃担当の部署にいようかしら?」
「でも、お姉様、もしも、アイラード様に嫁入りするのなら、辺境伯領に転職を考える必要性が出てくるかもしれないわよ?」
「サーラシュカ………それは、どうなるか、まだ何にも分からないことなのよ?」
「それは、もちろん、そうなのだけれど…」
「今は、目の前の、やるべきことに集中するわ!そのうち、選択肢として、そちらの扉が開くのなら、その人生に何か意味があるのでしょう。」
「なんか、お姉様って、かっこいいわよね!」
「確かに、義姉上は、なんだかんだ浮かれずに、サッパリしてて、かっこいいです。」
「あら、そうなの? ありがとう。」
翌週から、リュネシュカは、普通の、清掃担当侍女見習いとしての日常に戻りました。
2ヶ月間くらい、いつも通りの日常ですから、時々、アイラード様のことを、ふとした瞬間に思い出したとしても、変わりのない日常。
ちょっと変わったことは、メアリー様からは、アレイシオ辺境伯領について、学ぶ機会が少し増えたくらいでしょうか。
そのように、2ヶ月間、ゆっくりとした時間の流れでありました。




