それは恋バナかしら?
「いきなりなのですが…
秋の夜会に出席することになりまして」
「うん?なぜ、リュネシュカが、夜会に?」
「やっぱり、そう思いますよね?」
商人になる予定のサーラシュカと、その妹に、婿入りするカトロン様は、人脈を広げるために秋の夜会に参加しております。
しかし、私は、商会を継ぐわけでもない、侍女見習いの一人です。
カトロン様が、お父様の爵位を男爵を受け継ぎましたら、ただの庶民になりますから、夜会に出る必要が無いのですよ。
「先輩侍女の、クロワーヌ男爵令嬢メアリー様とアレイシオ辺境伯領に行っていたのは、送ったお手紙に書きましたので、ご存知ですね?」
「ああ、うん、その手紙なら、届いたけれど。」
今年の夏休暇は、実家に帰省しません。先輩の侍女、メアリー様と旅行に行って来ます。
というお手紙を、この実家に送りました。
「アレイシオ辺境伯閣下の実弟、ヴィンゼン伯爵閣下、アイラード様に誘われまして…」
「………んんん!? 伯爵様??」
「まあああ! そうなの!?
リュネちゃん、それは恋バナかしら?」
「い、いえ、恋バナという訳では…!」
「あら?そうなの?」
「んん??」
普通ならば、異性から、夜会に誘われるのは、婚約者候補に考えています、ということだ。
しかし、アイラード様は、シングルファザー、次期当主の嫡男アストゥロ様もいる。わざわざ再婚される必要性が無いのだ。
ただ単純に、モテすぎてしまう為に、女避けの可能性が高いのである。
「その伯爵様は、どんなお方なのかな?」
「アイラード様は、いま、32歳だそうです。
完全なる政略結婚の離縁された奥様との間に、8歳児の嫡男様がいます。父子揃って、美しい海の妖精のような青髪銀目の方々なのですよ。
アイラード様が、王族として久しぶりに夜会に出るそうなのですが、奥様と離縁された身ですから、夜会のパートナーになって欲しいと。」
「あらあら!まあまあ!リュネちゃんが気にいるってことは、かなり素敵なお方なのね?」
「ふむ、なるほど、伯爵様は、いろいろと事情がありそうなお方なんだな?」
「いろいろと事情はありそうなのですが、とても優しくて、穏やかな真面目なお方ですね。」
「うふふふ。そうなのね、素敵ね!」
「う、うむ、なるほど………」
優しくて、穏やかな青年、アイラード様の姿を思い出して、思わず、微笑みました。
その姿を見たリュネシュカの両親は、お互いに顔を合わせて、なぜか、頷きました。
「リュネちゃん」
「はい、何でしょうか、お母様?」
「本当は、その伯爵様のことを、異性として気になっているんじゃなくて?」
「………えっ!? お母様っ!?」




