優しいお父様ですね
「アステリノ男爵令嬢は、
サイディー伯爵領を知っているかい?」
「先日、旅の途中で、通って参りました!
あの硝子細工の街のことですね?」
「前妻のメルフィーは、あのサイディー伯爵家の長女として、誕生したんだよ。」
「まあ………!」
「今は、あの街で、一番裕福な商会の、商会長の妻として、仲睦まじく暮らしているよ。二人の間に跡取り息子も誕生しているみたいだから、もう遠い親戚みたいな感じかな?」
「今は、商会長夫人になられて……」
「あの街は、富豪だらけの街なんだ。」
「確かに、あの領地の方なら、お金持ちですね。
あの街並みを、初めて見た時に驚きました。」
「だろう?あの裕福すぎる生活に慣れていたら、さすがに、辺境伯領じゃ合わない。」
「そ、そうなんですね…?」
庶民でも豪邸を持てるのが普通な伯爵領の中で生まれ育ったのなら、要塞のような辺境伯領の土地は、不慣れだったことでしょう。
アイラード様は、前の奥様との関係には、ある意味、すんなりと受け入れていらして、悲観はしていなさそうです。
「妻は、残念ながらいないけれど、俺に瓜二つの可愛い息子に恵まれたから、良いんだよ。」
「ふふふ、優しいお父様ですね。」
「えっ?そうかな?ありがとう!」
「そういえば
アステリノ男爵令嬢」
「は、はい! なんでしょうか?」
「セナやメアリー嬢は、ここに実家があるから、帰省するためなんだと思うけれど、アステリノ男爵令嬢は、何故、王都から辺境伯領に?」
「メアリー様が誘って下さいまして…!」
「メアリー嬢から?
どういう繋がりなのかな?」
「私が、侍女として働いているのは知っていますでしょう?彼女は、私の後輩ですよ。」
「はい、今現在、王城の清掃担当の侍女見習いとして働いていまして、メアリー様は、そちらの直属の上司、先輩の侍女様なのです!」
「王城内で仲良くなりまして、夏休憩の期間中、こちらに一緒に来ないかと私が誘いました。」
「ああ、なるほど!
侍女同士の繋がりなのか!」
「はい! そうでございます!」
「あ!ごめん、警戒をさせてしまったかな?
私は、辺境伯領の伯爵家当主として貴女が来た目的を聞かなきゃいけない立場でね。」
「いえいえ!構わないですよ!」
「構わないのかい?」
「はい、辺境伯領は、要塞の街らしいので!
見知らぬ男爵令嬢が来ていましたら、調べたくなりますよね?それが、そちらの、当たり前の風習なのではありませんか?」
「ふふふ、そうか、そういうことか」
「はい! そういうことです!」
伯爵様くらい、お偉い方なら、そういうことを気にしなくてはいけないのでしょう?
私は、気にしないので、構わないですよ!




