僕のご主人様
大好きなご主人様。
僕に向けられる優しい笑顔、あの手で撫でられる時の至福の時間といったらもう・・恍惚としてしまう。
時には厳しく叱られて、お尻をぶたれてしまうこともあるけれど、それはおいたや粗相をしでかしてしまった僕のせいだから、仕方がない。
夜中の散歩の時間も大好きだ。
ご主人はいつも僕のペースに合わせて近くの公園や川沿いに沿って歩いてくれる。
時々はリードをはずして思い切り走らせてくれたりもする。
ご主人の帰りが遅いのだけが、僕の不満。昼間は家でお留守番。
帰りを今か今かと待っている。
今日も待ちわびてウトウトしていたところ、扉がガチャリと開く音がして、僕は喜んでワンワンなきながら玄関へ走っていった。
あれ?ご主人様、そいつは誰?何で僕みたいなヤツ連れて帰ってきたの?
今日から家族になるから仲良くしてやれって?
嫌だ嫌だ。どうしてそいつに笑いかけてるの?僕にするように優しく撫でてやってるの?
何僕より先にごはんあげてるの?
嫌だよ ご主人様は僕だけのものだ。
僕はうなり声をあげて、牙をむき、猛然とその侵入者に飛びかかった。
「しかし、凄まじい現場だね」
「ああ。ガイ者は二人。まるで、獣だね。喉笛噛み千切って、血飛沫と血溜まりの海だ。」
「奴は数年前に行方不明になっていた男児だろ。監禁生活が長すぎて、言葉も話せないようだな。
しかも四つんばいでまるで狼に育てられた狼少女だよな」