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【番外編】 お坊ちゃま影護衛と忍びよる苦難


1000文字企画参加用の短編です。


ハッピーエンドの余韻を大事にしたい方は、時間をあけてからお読みください。









「それでは王子の護衛、ヒンレック氏の忍者化会議を行います。」


「影の護衛と言えばニンジャじゃな。」


「そうですね、異世界の常識です。」






 異世界聖女と森の賢者の前に立たされたヒンレックは、目を泳がせた。国中を巡回する主の為に、影ながらの護衛を命じられたのだが、ニホン出身の聖女殿と、ニホン研究家の賢者殿に、何故かニンジャの衣装を着せられる事になったのだ。



「まずそのチャラチャラした護衛騎士服は脱ごうかの。」


「防刃化した布で、城の衣装部の方に作成して頂いたのが、こちらの忍者服です。」



 衝立の裏で着替えようにも、ヒンレックには着方がわからない。何故かこなれた手付きの賢者の手助けにより、何とか着替えた。







 次はニンジャの装備品だ。



「装備品は例の四次元ポ……」


「しっ! それは秘匿案件です。口にしてはなりません。異世界の常識です。それに今回は準備していません。」



 剥き出しの変形ナイフの様な物を、服の内側に沢山入れられ、短く細い片刃の剣を背負わされる。







 次はニンジャの術を決める。



「土埃を利用した隠れ身の術、部下を使った分身の術。それからあれじゃな、必殺技は……マンジカイ!」


「違います……色々間違っています。そもそも必殺技を叫ぶのは侍です。忍者は黙って切るのですよ。異世界の常識です。」



 必殺技を叫ぶ……。ヒンレックは自分がサムライでなくて良かったと思った。賢者の森の小屋を訪問した際に、「ごめんください」と叫ぶ聖女殿に驚嘆したせいで、お坊ちゃまと呼ばれるようになってしまったのだ。ヒンレックは一応、貴族の出だった。







 それよりも、先程から気になっていた事を問う。



「あの……。発言してもよろしいでしょうか?」


「なんじゃ?」


「今日は衣装合わせの予定では?」


「お答えしましょう。本日は忍者化会議です。衣装ではなく役を着るのです。私も聖女の役を肌見離さず着ています。成りきる為には細かい設定も大事なのですよ。」


「ふむ……。とはいえ王子を待たせておる。ヒンレックよ。そろそろあそこに見える木まで行くのじゃ。風の様に走り、蜘蛛の様に登るがよい。」


「あの……。」


「どうかしました?」



 聖女が訝しげにで問うてくる。



「木には登った事がありません。」


「ではとりあえず木まで走るだけでよい。王子が待っておる。」


「あの……。」


「今度はなんじゃ?」



 賢者が怪訝な顔で問うてくる。



「重くて動けません……。」





おしまい






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