風物詩?
「あーー、話の続き思い付かないよぉ~」
「今描いてる漫画の続き?」
「そー、全く思い付かない、故にネームも出来ていない。キリッ」
「そんな自信満々に……」
昼休みの教室 騒々しい位の話し声
春、新しい教室にも慣れてきた頃ポカポカと暖かい季節になってきた
「なんか話のネタ、ない?」
「ネタはないけど、売店の焼きそばパンなら買ってきた」
「なんと……!!」
教室の窓際で自信気に焼きそばパンを手に持つ女子とそれに向かって「ハハァー」とひれ伏す女子の構図は異様空気を醸し出している
彼女の手の中にある焼きそばパンは何処の校買でもある所謂「ハヤクイカナイトウリキレルアイツ」である。
椅子に座りそれぞれ「いただきます」を合図に焼きそばパンを口一杯に頬張れば幸せになれる
「あっ、!!」
「んー?」
漫画の続きを思い付いたと嬉しそうに話しまた焼きそばパンにかじりつき、紙パックのジュースを吸い上げる
「ズズズ~ッ、なんとなくネーム出来そうだなあ」
「お、よかったじゃん」
「うん、順調だあ~」
ーーーーーーー
食べ終わり「ごちそうさまでした」とごみを片付けるとノートを机から引っ張り出す
「簡単に描き出しとかないと忘れちゃ……は、」
「は?」
「はっ、」
「はあ…なに?」
「ハックショョョイイイ」
それはもう大きな大きなくしゃみである
「あーー、ああ!!!」
「あーあ、まさか今のくしゃみで全部とんだか」
春と言えば花粉症、ある意味春の風物詩なのか
泣きながら空を掻きくしゃみと共に飛んでいってしまったアイデアを一所懸命にかき集める姿は間抜けそのものだ
「あああああーーーーーーーっ!!」