表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オタクは好きをまかり通す!?  作者: エターナル永田
2/2

1話~取扱注意超危険物『イケメン』~

(。・ω・)ノこんちゃーす。エターナル永田です。

 さっそく始まりました『オタクは好きをまかりとおす』1話目です。

 最初なので、キャラ紹介とか多目ですが楽しんでいただければと思います。

 では、長々とここ書いてもしょうがないので、ここからは作品を楽しんでください。

『さち、起きて。朝だよ』


 私こと阿久戸幸子(あくどさちこ)。御歳二十七の私を優しく起こしてくれるのは私の大好きなアニメ『僕のヒロインアカデミア』で主人公の親友役をしている矛路木炎也(ほころぎえんや)くん(の声が流れる目覚まし時計)だ。


「おはよう、矛路木くん」


 私は朝の挨拶をすまして伸びをする。私はいま独り暮らしで築うん十年のボロアパートで寝起きしている。


 畳の一部屋と名前だけのキッチン。そこに併設される玄関と廊下。ボロっちいけど、駅まで徒歩五分という高立地で家賃三万円代という格安物件。社会人五年目ならもう少し良い物件住めよと親にはよく言われるが私は気に入ってる。


 すぐ隣の広場で行われている老人会のラジオ体操を一緒にやって、寝巻きのまま冷凍食品とトーストで簡単な朝食を済ますと使った食器を片付けて、私は仕事着に着替える。そして伸びた後ろ髪をゴムでまとめる。ポニーテールというやつだ。


 玄関で革靴を履いて頬をたたく。簡単な気付けだ。そして、私は部屋のなかに向かって声をかける。


「いってきます、矛路木くん」


 ここまでが私の朝のルーティン。

 オタクだからね。仕方ないね。


「あ、忘れてた」


 私は鞄から眼鏡ケースを取り出す。度は入ってないが、私にとって御守りみたいなものだ。私は昔から目付きが悪い。小さい頃はよくそれで虐められてた。まぁ、田舎のやんちゃ娘だった私は平気な顔でいじめっこ達を逆にボコボコにのしてやってたが。これだとどちらがいじめっこかわからないね。


 私は音楽プレイヤーでアニソンを聞きながら駅に向かう。通勤ラッシュでごった返す中、馴れた感じに改札まで進む。


 ピッと電子カードで改札を通るとため息をつく。


 私、この瞬間が嫌いなんだよね。だってこの人混みの中進んで、ぎゅうぎゅう詰めの満員電車に乗るんだ。まるで牢獄にいれられる瞬間みたいで嫌な気分になる。しかも、わざわざお金はらって。そういう意味だと出社時のセキュリティカードを押す瞬間も会社という名の監獄に詰め込まれるから嫌いだ。会社に隕石でも降らないかな。


 そんなネガティブな考えをしているうちに電車は到着。我先にと自己中な皆様が押し合い、私はそれに流されて乗車。痴漢だなんだ気にできないほどの人。後ろでもぞもぞされても大抵が鞄をいじってる方々だ。最近じゃもう馴れたもので、むしろ私なんかに痴漢する物好きなんていないと思ってる。むしろ、痴漢されたら良い女だと思われてるんだ、なんて気分があがるとさえ思ってしまっている。


 暑苦しい車内をなんとかアニソンの力でのりきり、一時間をじっと立ち過ごす。

 最寄り駅につくと、また人の流れで車外に押し出してもらい、改札を出る。改札を出ると少しだけ清々しい気分になれる。私、出所しました。

 まぁ、すぐに会社に行くんだって考えで気分は落ち込むのだが。


 とにもかくにも、駅から出て徒歩10分。そこそこ大きめなオフィスビルにたどり着く。こういうと大きな会社に勤めているようだが、うちはそこの七階だけを使っている文房具メーカーだ。いわゆる中小企業ってやつですよ。


 私は入り口の前にある自動販売機でUGGコーヒー無糖を買う。ブラックですよ、かっこいいでしょ。まぁ、私はブラックしか飲めないんですけどね。中二特有の持病を持っていた私はブラック飲める私かっけーでブラックばっかり飲んでた結果、甘いコーヒーが飲めなくなりました。はい。 私はそのコーヒー缶を鞄に投げ入れると受付の前に立つ初老のおじさん警備員にぺこりと挨拶をして中に入る。名前もわからないおじさんはいつも笑顔でぺこりと挨拶しかえしてくれるから何気に癒しだ。


 そのまま通路を進むとエレベーターの前につく。数名そこで待っているが、多分違う会社の人たち。多分ってのは、私は会社の人全員の名前と顔を覚えてないからだ。もう五年もいるけどね。

 そして、開いた扉から中に入り、小さな声で

「七階、お願いします」

 という。イヤホンから聞こえるありがたい声を聞きながら、その密閉空間で時間が立つのを待つ。人がのってるエレベーターってなぜか早く出たくなるんだよね。なんでだろ。


 目的地に着くとイヤホンを外し、音楽プレイヤーの電源を切る。そして、再度セキュリティカードをぽちっと。そうすると扉のロックが解除される。それを確認してから私は扉を開く。まだ人は閑散としていて、静かだ。私は打刻カードを取り機械に通し、元あった棚に戻す。


 自席に着くとすでにお隣さんは出社されていた。


「おはよう、ますみん」


「おっは~さっちぃ。今日も生気のない顔してるね」


 と気兼ねなく挨拶をかわす彼女は坂堂真澄(ばんどうますみ)さん。ショートで少しボーイッシュな感じだけど、顔はすごく童顔で可愛くて、なんか読モやってそうな見た目。『ますみん』なんて呼んではいるがひとつ上の先輩社員だ。最初は真澄さんと呼んでいたが、本人が堅苦しいのは嫌だと拒否され続け、今ではタメ語で会話をしている。もちろん、時と場所は選んでますよ。社会人ですもの。


 あと、ほとんどの人の顔と名前を覚えていない私が、ますみんと仲が良いのにはもうひとつ理由がある。


「そういやさっちんは昨日のイナズマナイン見たかい?」


 そう、彼女は同士(オタク)なのだ。


 イナズマナインとは中学生が超次元野球をしているアニメである。通称『イナナイ』超次元とは何かと言えば何かと言われれば超次元だ。例をあげると燃える魔球とか魔神を出現させてそいつがホームランを打ったりする。つまり、考えるな感じろってことだ。


「見た見た。敵になった佐久田が倒れたあとに木藤に向けた台詞は萌えたよね」


「あれは絶対惚れた男に振り向いてほしいから敵になった感じだよね。胸キュンだよ。あとそれを見守る渕東(えんとう)は密かに木藤に恋心を抱く乙女みたいで三角関係キターと思ったね」


「えー、渕東は高円寺とバッテリー組んでるから私的になしだな~」

「え~そこが燃えるんじゃないですか」


 なんてオタク(腐)話に華を咲かせながら、仕事の準備をしているとどんどん人が増えていく。その中の一人が左隣にやってきた。


「おはようございます。イナナイの話っすか」


「おはよう、後藤くん」


「おっはー後藤二等兵」


 短髪でビシッとスーツを着こなす爽やか青年の彼は後藤敦(ごとうあつし)くん。私の二つ下の後輩社員。そして、もうお分かりだろうがオタク仲間である。


 後藤くんは鞄を置いて、ジャケットをハンガーにかけてくると話に参加してくる。


「最高でしたね~昨日の話は。佐久田の命がけのトビウオくん一号を木藤が打ち返した瞬間の笑顔は胸熱でした」


「あれはヤバイよね(じゅるり)。やっべ、思い出しただけで涎が」


「無いけど勃ったわ~、ますみん心のバットガン勃ちでしたわ~」


「あ、あの~一応お二人は女性なんだからもう少し控えましょ、あはは」


 腐女子二人の反応に苦笑を浮かべる後藤くん。一応とは失礼だな、まったく。

 そんなおふざけをしつつ、オタク話を楽しんでいると手を叩く音がする。


「朝礼始めるぞ」


 声のする方に視線をむけると、スーツがパンパンなガチムチなスキンヘッドのハゲタ係長が声を張っていた。ハゲタ係長とはもちろんあだ名だ。その由来は、迫田源蔵という名前とスキンヘッドにしてる理由が「将来禿げるなら最初からないほうが見た目変わらんやろ」というぶっとんだ理由だったからだ。


 ハゲタ係長が連絡事項を話して、社長(名前忘れた)が話を少しして朝礼終了……かと思いきや、ハゲタ係長の話がそこから続いた。


「今日から新しくここで働く仲間が一人増える。庵治(おうじ)くん、じゃあ簡単に挨拶を」


 拍手に出迎えられて出てきた男性はペコペコと頭を下げながら、にっこりと白い歯を見せてきた。なんというか、一言で言うならイケメンだ。チャラい感じに整えられた髪の毛、指にはめてるリング、これだけ言うとホストみたいだけど、なんかそれもまとめてなんか優男感がやばい。


 陽キャだな。関わらないでおこ。

 そう心に決めた私だった。


「ご紹介に預かりました。庵治亮介(おうじりょうすけ)です。前の会社では営業をしていました。まだまだ経験も知識も足りないぺーぺーなので皆さんのもとでたくさん勉強させていただく所存です。よろしくお願いします(キラン)」


 歯を見せるな、まぶしいわ。私が余計に心の壁を建設してる中、他の女性社員立ちは黄色い声をあげていた。まぁ、イケメンだしな。私は興味はないが。


「勉強って夜のかね~。やらし」


「ま、真澄さん!聞こえますよ」 


 ますみんと後藤くんが小声でそんなやり取りをしてる。私を挟んでやるのはよしてほしいぜ。


「じゃあ、仕事はじめますか。庵治くんはとりあえず坂堂のチームで面倒を見てやってくれ」



 ……マジかよ。


 私は屋根を見上げて、嘆きのため息を吐き出した。後ろを振り返るとますみんも眉間にしわを寄せていた。



 他の女性社員が黄色い悲鳴をあげる中、オタク三人衆だけは盛大にため息を吐くのだった。



どうでしたか?

色々と勢いで書いたもので女子感薄いよって思いましたが、自分のなかでのオタク女子っぽさを出せたかなって思ってます。

【感想・ご指摘・続きはよって催促、随時募集中です】

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ